いくつかの研磨した石73
今回も2点紹介します.
兵庫県養父市妙ヶ谷鉱山の閃亜鉛鉱を一面研磨してみました.
大屋川北岸の金属鉱床の一つで,夜久野岩類の斑糲岩および
閃緑岩質岩中の鉱脈鉱床です.鉛や亜鉛を主とした鉱床のようで
現地にはあまり鉱石になるようなものはなく,ようやく入手した鉱石
です.そのうち標本にしたときに出た端材で一面研磨してみました.
成形した際に母岩からうまく脈が外れたものです.
研磨:上の石の白いところは主に石英で,少量の方解石を混入
しています.大村砥で粗削りしたのちに,青砥で仕上げをしました.
(顕微鏡写真)
閃亜鉛鉱が石英脈に近い所に濃集していて,黄鉄鉱は磁硫鉄鉱
とともに脈になっていました.方鉛鉱は石英脈と黄鉄鉱の境界に近い
ところに挟まっています.
この鉱床ではほかに磁鉄鉱・褐鉄鉱・方解石・白鉛鉱・緑泥石など
を確認しています.
もう一つ.
兵庫県養父市黒台谷鉱山の黄鉄鉱―磁鉄鉱鉱石です.鉱山は
横行渓谷から氷ノ山方面に行く途中の北側の山にありました.
三郡変成帯の泥質片岩(地質図には千枚岩の記載あり)中にレ
ンズをなす鉱床のようです.こちらもようやく入手した石で,標本
に成形した際に出た端材を一面研磨してみました.
研磨:こちらは石英など硬い鉱物があまり混入していないように
みため感じていましたが,実際磨ってから顕微鏡で観察すると
相当量が混入していました.磁鉄鉱も多く含んでいて平滑になる
まで時間を要しました.はじめは大村砥で粗削りしていたのです
が,なかなか前に進まないため合成砥石に変えました.
硬いので光沢が出てくれると期待したのですが,石英の部分
以外は早く磨れてしまい,凹凸がどうしても出てしまう難儀な石
でした.
いろいろな砥石で磨りなおして,やっと何とか邑が無く磨れて
くれました.
(顕微鏡写真です)
磁鉄鉱がたくさん入っているので粒になっていると思ったら
非常に細かい粒の集合になっていました.灰緑色半透明部が
石英で緑泥石が混入しているためか,緑色を帯びています.
黄鉄鉱はレンズ状に入っていて,暗い部分は磁硫鉄鉱でし
た.磁硫鉄鉱の存在は,別の成形した時のレンズ状になった
チップを一面研磨したうえで,磁鉄鉱が混入していないことを
確認してから磁力テストしました.三枚目の写真の一番右側
の脈は石英脈で,こちらに黄銅鉱を伴っていました.脈に近い
部分にも細かい黄銅鉱を伴っています.
この鉱床ではほかに少量の方鉛鉱・赤鉄鉱・褐鉄鉱・方解石・
緑簾石などを確認しています.
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