鉱物の顕微鏡写真18 ―鉛丹―
母岩のサイズ:約70mm×45mm×37mm
産地:Tonopah-Belmont mine, Mt Belmont, Tonopah,
Osborn district, Maricopa Co., Arizona, USA.(非売品)
Minium 鉛丹
(別称 光明丹・赤鉛)
組成:Pb3O4 正方晶系
色:赤色・褐赤色・赤橙色・帯赤橙色油脂光沢.PbOが多くなると
黄色味が増し,Pb3O4 が多くなると赤色味が増す.
モース硬度:2.5 比重:8.9-9.2
劈開なし.硫化水素で黒変し,炭酸ガスで白変する.
500度で分解し酸素を生じる.酢酸に可溶.有毒.
いまのところ本邦未産.
古くから顔料や釉薬として使用される鉱物で,いろがきれい
なため登場してもらいました.辰砂に似ていますが,黄色味が
強く,光沢も弱い鉛の酸化物です.本邦でも鉛丹を使用した
建造物がありますが,鉱物としては本邦未産で,鉛から生産
したものや,海外より輸入したものを使用していたと思われま
す.
(以下顕微鏡写真)
顕微鏡で拡大したものです.この産地は先カンブリア時代の
結晶片岩や片麻岩を切る安山岩中の鉱脈鉱床で,その酸化帯
からのものだそうです.
別の部分の拡大.黄橙色部が鉛丹で,周囲のザラメのように
見える白色部が白鉛鉱.赤っぽい部分はおそらく酸化鉄で
染まった母岩の変質した安山岩か,安山岩質凝灰岩.
そのほか母岩の一部に黒色の染みのようなものを伴って
いて,ある程度の大きさの部分を拡大していました.
はじめは轟石(Todorokite)かと思いましたが,
Chalcophaniteカルコファン鉱というマンガン鉱物だそうです.
亜鉛とマンガンの酸化鉱物で少量の鉛も含んでいそうです.
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