鉱山リスト
滋賀県湖西の鉱山2
更新が少し空いてしまいました.前回は高島市域で京都府に隣接する地方まで掲載しようとちょこちょこ更新しているのですが,都市部は少なく空いた間にも地方誌等で調べていました.古くから有名な銅山や金山は地元を代表する産業なので細かい記載がありましたが,小さい鉱山は名前だけや区域内に数字だけという文献もありました.
大部分が丹波帯の堆積岩類と花崗岩類なので,石切場等は考古学の文献で記載はありましたが鉱山はほとんど見られませんでした.
今回は大津市域です.広域合併して市域が広くなりました.掲載順は北から南.
梅の木鉱山 滋賀県大津市葛川(マンガン鉱.日本のマンガン鉱床旧著に古い分布図の掲載がありましたが,近寄ろうにも崖が多く調査できませんでした.昭和11年~終戦までに稼業していたという.二酸化マンガンと炭マンを稼業.)
比良鉱山 滋賀県大津市葛川(マンガン鉱.日本のマンガン鉱床補遺後篇に記載があった鉱山.高龍山(標高817m)の南斜面にあった.オボレ谷という急な谷の北斜面に川西坑という坑口があって,過去に訪問した.崖に沿うように坑口が4つほど並んでいて,坑道の前は1.5mくらいしか幅はありませんでした.その先は崖の続きで下の斜面までは20mの高さがありました.昭和16年頃に稼業されていたという.)
葛川鉱山 滋賀県大津市葛川(マンガン鉱.伊谷川の両岸にあったという.)
久間多賀鉱山 滋賀県大津市葛川(マンガン鉱.恵賀谷鉱山・伊賀谷鉱山ともいうらしい.鉱区が京都府と跨っているため試掘登録は京都府のものになっていた.別の町村にも同様の鉱山名で同じ人が稼業していて紛らわしいと文献にあった.位置は何度探しても行きつけなかった)
木戸口鉱山 滋賀県大津市葛川(マンガン鉱)
坂下鉱山 滋賀県大津市葛川(マンガン鉱.霞ヶ嶽の南に位置する.)
四条谷鉱山 滋賀県大津市葛川(マンガン鉱.四条谷の位置は判ったが鉱山は不明.)
大平鉱山 滋賀県大津市葛川(マンガン鉱.見谷峠の北側付近にあったという.昭和26年ごろの稼業という)
途中旧坑 滋賀県大津市葛川(マンガン鉱.二酸化マンガンがあるらしい)
石山鉱山 滋賀県大津市膳所・石山(マンガン鉱.炭マンを稼業したという.昭和9年ごろの稼業という)
別保鉱山 滋賀県大津市別保(マンガン鉱.地調月報に詳細の記載あり.大部分が新興住宅地になっていた.おもに二酸化マンガンを稼業.)
焼野鉱山 滋賀県大津市焼野(マンガン鉱.昭和の初めごろの開発に係るという.すぐ近くまで団地が迫る)
鳴滝鉱山 滋賀県大津市膳所(マンガン鉱.滝の上の沢にあった.おもに炭マンを稼業.もともとコレクター間で平尾旧坑と呼んでいた.2005年にヘルヴァイトの産出を報告した)
大平鉱山 滋賀県大津市石山(マンガン鉱)
平津鉱床 滋賀県大津市平津町(長石.昭和16年ごろからの開発という.水汲み場になっているとういう情報があった.京滋バイパスから看板だけが見えていた)
渓井平津鉱山 滋賀県大津市平津町(長石.大正2年ごろの開発という.)
渓井南郷鉱山 滋賀県大津市石山(長石.)
笹間鉱山 滋賀県大津市大石(長石.笹間ヶ嶽の南西にあったという)
石倉長石鉱山 滋賀県大津市大石(長石.諸施設が比較的残っていた.アプライトが多い.一部に蛍石が出たという.昭和46年ごろまで稼業していたという)
富川鉱山 滋賀県大津市大石(銀鉱.明治の中期の文献に鉱種と名称と地名だけが掲載されていた.ほか詳細は不明)
北出石炭場 滋賀県大津市大石(木質亜炭.明治20年頃の稼業)
淀山鉱山 滋賀県大津市大石(マンガン鉱.炭マンを稼業したという)
大石鉱山 滋賀県大津市大石(マンガン鉱.炭マンを稼業したという)
黒山鉱山 滋賀県大津市大石(マンガン鉱.鹿跳橋付近から発生した尾根が大石山三角点や志賀良山を経て裏白峠にいたる南北性の山地を黒山山地というが,この付近か?)
ほかに小さい珪長石鉱床がいくつかあって,稼業していたのかしていなかったのか判別できず割愛しました.
この地域の鉱山の画像を探しましたが,行っていた時代が20年くらい前なので残っていませんでした.かわりに鉱物標本の画像を掲載します.
Baryte(Barite) 重晶石 産地:滋賀県大津市比良鉱山川西坑.(非売品)
(Locality:Kawanishi adit, Hira Mn mine, Kohryu-zan mountain, Ohtsu city, Shiga prefecture, Kinki region, Japan.)
.以前に別のところで取り上げた画像を転載します.前述のとおり足場の幅が1.5mほどしかない崖の上にある坑口の前にあった転石より.茶褐色―黒褐色塊状のハウスマン鉱と赤紫色―灰桃色のアレガニー石からなる集合の割れ目に入っていた緑色の重晶石です.集合を切るいくつかの白色の脈は菱マンガン鉱で,黒色の二酸化マンガン鉱を伴っている.
Rhodonite ばら輝石 滋賀県大津市焼野鉱山(非売品).
(Locality:Yakeno mine, Yakeno, Ohtsu city, Shiga prefecture, Kinki region, Japan.)
購入品です.鉱山が稼業中の標本だとか.鮮やかなピンク色ガラス光沢部がばら輝石で,帯赤褐色―灰緑色のテフロ橄欖石や細かい閃亜鉛鉱などの硫化鉱物を含んでいる.
Rhodonite ばら輝石 産地:滋賀県大津市膳所平尾町鳴滝鉱山.(非売品)
(Locality:Narutaki Mn mine, Zeze-Hirao-cho, Ohtsu city, Shiga prefecture, Kinki region, Shiga prefecture, Japan.)
俄かに紫色を帯びたばら輝石です.当地ではけっこうこの手の色のばら輝石が見られました.
Greenockite 硫カドミウム鉱.滋賀県大津市鳴滝鉱山.(非売品)
Locality:Narutaki Mn mine, Zeze-Hirao-cho, Ohtsu city, Shiga prefecture, Kinki region, Japan.)
閃亜鉛鉱の鉱染のあるばら輝石質の集合の割れ目に入っていました.黄色で皮膜状なので硫酸塩鉱物か何かを期待したのですが硫カドミウム鉱でした.光で反射してキラキラして見える黒褐色部は閃亜鉛鉱.色が橙色に近い部分もあったので結晶がみえるかも~と期待して顕微鏡下での撮影を試みたのですが,観察できませんでした.
Chrysocolla 珪孔雀石 産地:滋賀県大津市鳴滝鉱山.(非売品).
(Locality:Narutaki Mn mne, Zeze-Hirao-cho, Ohtsu city, Shiga prefecture, Kinki region, Japan.)
やや風化して脆くなった満礬石榴石の微細なものを伴うばら輝石質の集合の割れ目にありました.黒色皮膜状の二酸化マンガンを伴うもので,薄い皮膜状の緑色を呈しています.
滋賀県湖西の鉱山3 に続く.