顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真200
―フェアフィールド石―
産地:Foote Lithium Co. mine, Kings mountain, Cleveland county,
North Carokina, USA.(非売品)
Fairfieldite フェアフィールド石
[組成] Ca2Mn2+[PO4]2・2H2O
パラブラント石の燐酸置換体.
[結晶及びその形態] 三斜晶系.自形結晶は平行四辺形に近い錐台状.
板状.石膏に似た結晶.結晶およびその集合は脆
い.葉片状・ロゼット状・球状・束状・繊維状・ぶどう
状集合などになる.
[色] 無色・白色・灰白色・灰色・淡黄色・淡橙色・淡桃色
・帯緑白色・淡紅色など.
[光沢] 亜ガラス光沢~油脂光沢.劈開面上に真珠光沢.
透明―半透明.
[モース硬度] 3.5
[比重] 3.08~3.11
[劈開] {001}に完全.{010}に良好.{110}に不完全.
[条痕] 白色.酸に可溶.
[原産地] Fillow quarry, Branchville, Redding,
Fairfield county, Connecticut, USA.
[名称] 原産地の Fairfield county,より.
隔月になってきました.顕微鏡写真シリーズです.最近はこれのために標本を買い求めるようになりました.今回は200回なので,何か別なもの取り上げようと思っていたのですが,先送りにしていたところ,月末になってしまいました.本邦未産の鉱物で画像がそろっているのはこの鉱物でした.
今年の大阪ショーで単斜燐鉄鉱などとともに購入した標本です.外観は白色の母岩の上に束状の束沸石が並んでいるような石でした.白色~やや黄色味がかった微細な結晶で,イロモノではないので残っていたのかもしれない.
カルシウム(Ca)とマンガン(Mn)の燐酸塩鉱物で,似た鉱物は~と探していたところ,砒酸置換体にパラブラント石がありました.本邦産のブラント石は福島県の御斉所鉱山のものがあって,ばら輝石と黒色のブラウン鉱からなる集合の裂罅に白色板状のペラペラしたのがへばりついていました.
外観はよく似ていて,劈開面の真珠光沢が顕著でした.
粗粒の石英の上に,帯黄白色束状をなすフェアフィールド石.
今のところ本邦では見つかっていない種類ですが,顕微鏡を通して全体を見ていたところ,花崗岩質ペグマタイトの産地で束沸石に似た集合という出方で,本鉱物も産しているかもしれない.束沸石と見間違われてわざわざ分析していないのかもしれない.