露頭巡り
横山石灰山
京都府亀岡市馬路町
台風が来る前に但馬方面の金山跡を見てきたのですが,谷沿いに数メートル入ったところでヤマビルに3箇所もやられていて,溜飲を下げて下山しました.そのあと,ヤマビルを引っ剥がして,小石の間ですり潰してヤマビルのいないところへ赴きました.
だらだら国道9号線を南下していると,観音峠まで帰っていました.どこか近くでと思って川東方面に向いて走らせたところ,横山石灰山があるのを思い出して,露頭でも残っていたら画像に残そうと赴きました.
水鳥公園の駐車場まで行って,その脇から山手に入る林道を僅かに登ると現場に着きました.
石灰山への道.
露天掘り跡の入口あたり.
露天掘り跡の一部.
現場は露天掘り跡で,明治の中期ごろにはやっていたらしく,当時の地形図に石灰窯のマークが入っていました.もともと石灰山への道は東西に延びていて途中,府道の切通しで切断されたような感じで,西部の山際にその道路の一部が延びているのを以前に確認しました.道らしきものは篠竹が密集し猪の寝床や獣道がたくさんありました.シイタケの原木が置いてある箇所があって,そのあたりで道が合流しました.古い地質圖に石灰山の施設が2軒並んで建っているように図示してあり,現場を探しましたが,それははっきりしませんでした.府道の切通し工事で消えたのかもしれません.山元から西へ50mくらい下ったところにあったらしい.
露天掘りは草木に覆われていて露頭は見つけられませんでした.奥の方に露頭のようなものが見えたので,寄ってみたところ,千枚珪岩の露頭でした.少し下ったところに粘板岩ホルンフェルスの転石があって,こちらも露頭を探しましたが,藪の中でマムシが居たら難儀なので,やめておきました.
当地の石灰岩はいわゆるラミナ石灰岩に近いもので,黒色の筋の部分と白色の石灰岩からなっています.転石は黒色の筋のよく入ったものが多いようで,白色の部分の多いところが鉱石として利用されたのだろうと思う.
見掛けで白色だが,石灰岩に似た感じの珪岩があって,外観は紛らわしい.石灰岩は塩酸に浸けると発泡するのですぐに見分けがつくが,野外では多少難儀することがあった.
今回は画像として現場の状況をカメラに収めただけで終了しました.過去に露天掘りの入口で表面に水酸化鉄鉱物の染みを伴ったガサガサした集合より珪灰石を見つけました.
珪灰石(Wollastonite).
画像が出てきたので掲載します.中央の白色繊維状部が珪灰石で,割ったときはもう少しふさふさしていましたが,XRD用に試料として取ったので,ほとんど残っていません.周辺の黒色部は石墨かと思ったのですが,一面研磨して顕微鏡をのぞいたところ,細かい硫化鉄鉱物が鉱染したものでした.上の方に映りこんでいる俄かに黄色味かかった白色は珪岩.下の方の白色部は石灰岩.
当地の石灰岩はすぐ近くに露出する行者山花崗岩によって熱変成を受けて大理石化しています.スカルン鉱物としては珪灰石のほかベスブ石が報告されているようです(南桑田郡誌).
ひさびさに寄ってみましたが,道端にちまちま石灰の小石が落ちていたので見当たりませんでした.草木に覆われたのかもしれません.近いのでまた来たらいいか~と思っていたら10年ぶりくらいの訪問でした.