京都府の鉱物
メタスウィッツァー石(Meta-switzerite)
京都府南丹市美山町向山 向山栗谷鉱山6号坑
Locality:No.6 adit, Mukaiyama-Kuritani Mn mine, Mukaiyama, Miyama-cho, Nantan city, Kyoto prefecture, Kinki region, Japan.
(非売品)
Meta-switzerite
メタスウィッツァー石
Mn2+3[PO4]2・4H2O
単斜晶系
含水リン酸マンガンの鉱物.本邦では秩父地方の鉱山ではじめに発見された.
しばらく放置状態だったのですが,2005年ごろに坑道を見に向山栗谷鉱山に赴いたころのサンプルが出てきました.急峻な尾根の中腹にトロッコ道が残っていて,大野ダム方面に行くと,終点(あるいは崖崩れで無くなったのかも)でその上に,6号坑があった.さらに上段に8号坑があってこちらは坑口の確認したに留まった.
おもに6号坑でサンプリングし,帯紫褐色のリッベ石を伴ったヤコブス鉱の黒色の筋が何条も貫く,やや高品位のマンガン鉱石でした.
その中央に二酸化マンガンで酷く汚染された1条の石英脈があって,これに沿って割ると,裂罅にできた僅かな菱マンガン鉱の晶洞が出てきました.その表面に石膏のような鉱物が付いていて,しばらく「石膏」のラベルを付けていました.
その後,他所で調べたところ上記の鉱物だと判りました.
この前,分析値とともにこの時のサンプルが出てきて,掃除したうえで顕微鏡下で撮影しました.片割れは分析に試料として取ったらしく残っていませんでした.
母岩は前述のとおり,帯紫褐色のリッベ石と黒褐色金属光沢のヤコブス鉱からなっていて,僅かな余地に紅褐色のアレガニー石と灰緑色のテフロ石,灰桃色の菱マンガン鉱が付いていました.菱マンガン鉱の一部に緑色の重晶石が付いていたので,鉱石にせず現地に放置された(硫黄分が多いため)ようです.