銅鉱物
黄銅鉱(Chalcopyrite)
兵庫県川辺郡猪名川町民田 千軒銅山鳥越坑
Locality:Torigoe adit, Sengen Cu mines, Tamida, Inagawa town, Kawabe district, Settsu old county, Hyogo prefecture, Honshu island, Japan.
(非売品)
Chalcopyrite 黄銅鉱
CuFeS2 正方晶系.
引き続いて銅鉱物シリーズです.最近7年~8年前くらいにサンプリングした石を整理していたところ,千軒銅山の黄銅鉱が出てきました.2016年の11月ころの訪問で,小さなパックに入れていました.表面を斫って新鮮な面を出していたのですが,長い期間をパックの中に入れていたために,良い感じの黄色になっていました.それを成形して標本として残しました.
当時のサンプルはこれ一つで,当時付けていた野帳にも谷の奥の間歩の下で転石から一つだけサンプリングしたような書き方をしていました.産地名はいろいろ文献で漁っては見ましたが,適当な名称が見つけられず,千軒の銅山跡としていました.
鳥越坑の一つ.
のちに,明治期の文献より「鳥越坑」という名称の間歩が上の石の産出地点に合致しました.鉱山名は無く鳥越坑という名前だけわかりました.沿革は旧幕時代より断続的に稼業されたといい,明治26年―27年ごろにも稼業されたとか.
生産量の記載がなかったので,試掘程度だったのか,のちにほかの鉱山の採掘鉱区になったのかははっきりしません.
上の石は黄色―黄銅色金属光沢部が黄銅鉱で,左下の黒色は閃亜鉛鉱.右下の白色部は石英.その横の灰緑色は緑泥石系の鉱物,表面の茶褐色は酸化被膜です.