石の話
フェナク石中の鉱物
Phenakite mine, Khetchal village, Molo quarter, Momelk township,
Kyaukme district, Shan State, Myanmar.
先日，知人よりメールで「ビルマのPhenakite mineから出ているフェナク石があったらインクルージョンに，変なものが入っているよ」と指摘を受けた.5年くらい前か4年かはっきりしないが，ミャンマーから稜角がシャープに出たフェナク石が市場に出回りました．筆者も手を出したのですが，内包物まで気が向きませんでした.
フェナク石は無色や白色のことが多く六角柱状を呈するベリリウムの珪酸塩鉱物です.本邦では粒状だったり柱状で表面が蝕像になっていたものなどを観察してきましたが，ここまでキレイな結晶はあまり見たことがありませんでした.
指摘後にWebで調べると，透明―半透明の結晶中に雲母かベルトラン石のような板状結晶がロゼット状集合しているものや，黄色の緑簾石に似た柱状結晶がはいったものとかが，ルーペでの観察で確認できました.
フェナク石中の微結晶(顕微鏡下で撮影).
さらに拡大したところ，ナイフの刃先？のような頭をした板状の鉱物がロゼット状の集合をしていました.ベルトラン石だろうと思っていたところ，Tusioniteトゥシオン石というマンガン(Mn)と錫(Sn)からなる無水硼酸塩の鉱物がWeb上でヒットしました.化学分析をしていないので，サンプル(非売品)にはハテナを付けています.
もう一つがこの結晶(非売品)..おなじWebページでこれに近いのを探していると，Perettiite-Yイットリウムペレッティ石というのに結晶の形などが大体合致した.こちらも化学分析等をしていないのでハテナを付けています.この鉱物はイットリウム(Y)とマンガン(Mn)と鉄(Fe)を主成分とする無水硼珪酸塩とのことで，本邦でも新鮮な鉄橄欖石の塊なんかからでそうな気がする．
ほかに見た目は板チタン石のような板状のマンガンコルンブ石があるらしい.指摘されて，標本にする際に顕微鏡撮影したのを掲載しました.なにかの参考になれば,と思います.