顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真184
―アルミノパンペリー石―
産地:埼玉県秩父郡東秩父村朝日根(非売品)
Pumpellyite-Al アルミノパンペリー石
[組成] Ca2+2AlAl3+2[OH|O|SiO4|Si2O7]・H2O
[結晶] 単斜晶系.自形結晶は単斜板状・長板状・角柱
状・針状など.繊維状・放射状・塊状などの集合
になる.
[色] 白色・緑白色・黄色・淡緑色・灰緑色・青緑色・緑
色・暗緑色など.
[光沢] ガラス光沢から絹糸光沢.透明―半透明.
[モース硬度] 5.5~6
[比重] 3.41~3.5
[劈開] {100}に完全.{001}に良好.
[条痕] 白色・灰色など.
[原産地] La Flèche quarry, Bertrix, Luxembourg,
Wallonia, Belgium.
[名称] アメリカ,ハーバード大学の地質学者
Raphael Pumpelly(1837-1923)
に因む.
ひさびさの顕微鏡写真シリーズです.今回はアルミノパンペリー石にしました.比較用に海外産の標本を探しましたが,出てこずカナダ産の標本に少し着いていたものの貧弱なもののため,国産品だけで構成しました.
広域変成を受けた緑色岩のような岩石に出てくる鉱物で,産地は多いものの肉眼で判別できるものが少ない鉱物です.透輝石やぶどう石などと境界がはっきりしないものが多く,しっかりした結晶質のものとなると産地は限られてくるもののようです.
初めに掲載した標本は,20年くらい前に関東のコレクターと交換した時に得た標本です.当時ははっきりとしたパンペリー石の標本をいうのを見たことが無く,はじめは緑簾石か何かだと思っていました.のちに会って話す機会があって,緑簾石のような部分がすべてパンペリー石と伺いました.画像の緑色の放射状の集合部がほとんどアルミノパンペリー石です.
産地:静岡県浜松市北区引佐町西久留女木中代(非売品).
購入品です.有名な産地らしいのですが,筆者は行ったことがありません.白色の曹長石脈が切る,緑色の岩石と云った感じの標本で,古いラベルがついていました.一部が繊維状になっていましたが,うまく撮れませんでした.
産地:京都府綾部市施福寺黒石峠露頭(非売品).
購入品と自採の標本が2つあって,上の標本は購入後に現場でサンプリングした標本です.画像には入っていませんが,上の方に幅5㎜前後のぶどう石の脈が切っています.俄かに繊維状になっている黄緑色部がアルミノパンペリー石です.