石の話
ドーソン石
大阪府泉南市新家町昭和池
たまには古い所有標本を掃除せねばならず,今月から大阪府下の標本の掃除に取り掛かっています.泉南地域は山登り以外でほとんど行ったことが無いので,標本は知人より恵与された標本です.本来はアンモナイトの出る産地だそうで,母岩の割れ目に,白色絹糸光沢のドーソン石が多産したと伺っています.
白色絹糸光沢の鉱物なので,ほこりが着くと掃除が大変な鉱物の一つです.針状の結晶の集合なので,たわしで擦るのは厳禁で,蛇口の水量を調整してしばらく水流しし風乾させました.母岩はスポンジのような石で,スポンジのように絞ることができないので,水に浸けた母岩はなかなか乾きませんでした.
水に濡れた状態で,母岩にドーソン石以外の白色の脈がいくつか入っていました.その一つは重晶石で,顕著な劈開で判別ができました.ほかに方解石の脈も見られました.
風乾に時間がかかりましたが,表面のゴミが取れたため,顕微鏡下で撮影しました以下顕微鏡写真です.
白色繊維状の部分がドーソン石です.
結晶の集合が少々粗いので端の方に結晶の頭とか見られるかも~と思って拡大しましたが,よくわかりませんでした.
標本の表面は大部分がドーソン石の集合でしたが,一部に先ほどの白色脈が出ていて,空隙があったのでこちらも拡大写真を撮りました.
当初は重晶石の晶洞だと思っていたのですが,どうも菱沸石のようです.立方体に近い結晶になっていて,重晶石に多い板状の結晶は見られませんでした.晶洞の大きさはせいぜい長い部分で2㎜.幅は0.5㎜くらいで,この画像もかなり拡大しています.