研磨石
いくつかの研磨した石293
福井県越前市上牧谷 牧谷鉱山大間歩坑のばら輝石からなる集合を一面研磨しました.訪問記は前回の報文を参考に.大間歩坑の下流の転石より,菱マンガン鉱―ばら輝石―亜鉛―鉛鉱をサンプリングし,一部を標本にして木っ端を一面研磨しました.肉眼的にばら輝石が多いようで,標本にした部分に菱マンガン鉱が多いようでした.
未研磨面.
(研磨)ばら輝石が主体なので硬いだろうと思っていましたが,菱マンガン鉱や黄鉄鉱や閃亜鉛鉱を含んでいるため,早く平滑に仕上がりました.中研ぎに大村砥石を使用したのですが,砥石が負けているようで,豊岡層群の砂岩で中研ぎをしました.内部に含まれている黄鉄鉱がキラキラしているのを確認して,仕上げに移りました.青砥で充分光沢が出てくれました.
(以下,拡大写真です)
黄鉄鉱の散らばる面の拡大です.ピンク色の部分がばら輝石で,オレンジ色に見える部分が菱マンガン鉱でした.鉄を含有しているらしく,オレンジ色を呈しています.この集合の木っ端を探して,菱マンガン鉱の部分をマーキングして,塩酸で焚いたところ,この部分のみが溶け去りました.暗真鍮色金属光沢は黄鉄鉱です.
ほかの金属を含んでいる部分の拡大です.方鉛鉱が一部に見え,研磨傷を隠すために目の細かい砥石で磨っては見ましたが,少し周囲より凹んだ程度で,傷は無くなりませんでした.そのそばの黒色部は閃亜鉛鉱で,横から強い光を当てれば,幾らか光が通る感じがするのですが,ここのものはそういう感じは無く,真っ黒でした.
黄鉄鉱は粒状で入っていますが,いずれも小さな粒で大きな粒や集合になると,黄銅鉱を含んでいるものが見られました.
それから,紅殻山鉱床のものも研磨しようと木っ端を探していたところ,方鉛鉱―閃亜鉛鉱―磁硫鉄鉱鉱石の割れ目に,黝い角閃石が入っていました.当初は薄い頁岩だと思っていたのですが,顕微鏡で確認すると角閃石でした.肉眼的には三波川帯の含銅硫化鉄鉱床にみられるリーベック閃石のように見える角閃石で,風化した部分は石綿状になっていました.