露頭めぐり
大和鉱山
奈良県五條市西吉野町平沼田
直近の鉱山の画像を探していると,坑口の画像がいろいろあって,それを追跡していくと,昔行った時の画像が全然ありませんでした.特に紀伊半島中部~南部の画像が欠落していて,「なんであの時撮らんかったのやろ~」と少々悔やんだ.沈んでいても先に進まないので,ちょっとずつ再訪して行こうと,吉野郡下の鉱山からボツボツ画像を集めようと思う.今回はそんなんで,手始めに過去訪問した確実に鉱山の分かっているこの鉱山から再訪した.
高槻のダンプ街道を南下して,予想よりも早く八丁畷についた.ここから国道170号をひたすら南下した.大和川を渡るころには,それまでずっと曇天だったのに陽が指し始め,風が強くなってきた.水越峠を抜けて大和盆地にはいって約2時間だった.下市まで来てほっとして,果樹園の中の広い道を尾根に向けて登っていく.電波塔?のある栃原岳の手前に大杉鉱山があったが,土砂に埋もれたらしく,今回見つけられなかった.栃原岳の手前で細い道になって,しばらくして2車線になった.峠から南下して八ッ川の交差点から県道138号の九十九折れの道に入った.尾根を越えて道なりに進むと谷側のカーブのところに坑口があった.
以前来た時はもっと雑草や樹々が繁茂していたイメージだったが,今回は手前に何もなかった.
大和鉱山の坑口.どうも通洞坑らしい.上の方に突いたような跡があったが,堀下りには見えなかった.右隣りに崩土で見えなくなった坑口がもう一つあって,ズリらしいものは無かった.前回もなかったように思う.
入口からフラッシュを焚いて撮影.
南側の坑口.崩れていた.
道路際の転籍に含銅アロフェンのついた石が少量見られる程度だった.ここへ来る途中に尾根の方へ上がっていく道の分岐があって気になってそちらへ行った.大和鉱山の坑口があったすぐ上くらいのところに山側にマウンドがあったので,そこへも登ってみた.
道から見えるズリのマウンド.
少々急な斜面を登ると,台地の上に出た.中央に崩土で見えなくなった坑口があった.これが上部の鉱床のようでした.
坑口.ここは崩土で分かりづらくなっている.ズリの上でどういう石か観察した.泥質片岩~黒色片岩が多いようで,一部に石英の肥大した部分があったが,白色のセリサイトを含んでいる以外は特筆するような鉱物はなかった.ズリの台地の北側に比較的新鮮な結晶片岩がたくさんあって,こちらも観察してみたが,緑泥石片岩のようなのが少々と,赤鉄片岩が一つだけあった.ほかは黒色片岩だった.このマウンドのさらに上にもマウンドがあったので,登ってみましたが,突いたような跡だけでした.
駐車地点に戻って,谷側の斜面も下りていくと,谷の源頭付近に古い杣道が残っていて,そこに褐鉄鉱の覆われた結晶片岩が少し見られた.谷を下っていくと,先ほどの大切坑の前に出た.車道をぶらぶら歩いて戻り,駐車地点付近の道の脇から,一つだけ拾った.ズリから落ちてきたようでした.
それを割ったのが上の画像で,石英の肥大した部分にうっすら脈状に黄鉄鉱が挟まっている感じの石です.茶褐色は水酸化鉄によるシミで黒っぽいところに黄鉄鉱が集合しています.
それから含銅アロフェンだと思っていた鉱物は孔雀石と水亜鉛銅鉱でした.
不明鉱物が一つあって,黄色の六角板状が分かりませんでした.表面になにか被っているらしい.右のほうに写っている柱状は石膏.
当地で確認できた鉱物は
黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・石英・赤鉄鉱・二酸化マンガン鉱・褐鉄鉱・方解石・鉄明礬石・石膏・不明鉱物・セリサイトなどでした.
車に戻って,道路地図を広げていると,すぐ近くに銀峯山があった.名前に惹かれてそちらも寄ることにした.やまのぼりに続く.