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いくつかの研磨した石291

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研磨石

 

 

 

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石291

 

 岡山県高梁市備中町布賀.道路際露頭のスパー石を一面研磨しました.研磨済みの標本は購入して持っていたのですが,以前に1987年頃に蒐集したという上の標本を入手して,成形したのちに裏面を研磨していました.硬度差があって,なかなか納得できる光沢が出てくれずに,研磨開始より4か月もかかってしまいました.方解石を含んでいるので,そこが極端に柔らかく,さきにすり減って凹んでしまうため,何度もやり直しました.納得できる光沢まで,青砥を使用し研磨しました.磨っていると,こんどは青砥が負けてきたので,逆に硬度のある花崗岩の研磨片で擦るように研磨したところ光沢が出てくれました.

 その上で撮影したのですが,青色系統の鉱物はうまく色が再現しづらい.青紫色~赤紫色の見た目は美しい色合いは,レンズを通すと青色が強くでてしまい,真っ青な画像になってしまいました.補正もうまくいかず,何度か光源を換えて撮影しました.白熱電球のもとで写すと黄色味や赤色味が勝ってしまい,特徴ある青色が出てくれません.LEDライトを併用してもうまくいかず,結局,太陽光のもとで明るさを調整してLEDと白熱電球を併用して,上の画像が撮影できました.写真の撮るのが大変な鉱物はいくつかあって,顕微鏡写真シリーズの杉石も難儀な石でした.神秘的な赤紫を再現しようと,いろいろ試みたのですが,石によってうまく写る条件が異なるようで,こちらも数十枚撮って,選び出しました.上の画像を撮影するのに,30枚くらいは撮影しました.

 さらに今回は鏡面研磨に近いくらいまで仕上げをしたので,カメラを構えると反射してカメラが画像の中に写りこんでしまう弊害がありました.研磨面の角度を変えて,光源も異なる方向から当てたところ何とかなりました.

 

 スパー石は高温スカルンの特徴的な鉱物で,低温でできると方解石と珪灰石になってしまうそうです.カルシウム(Ca)と珪酸と炭酸基を含んでいて,塩酸で反応しました.荒研ぎを終わったころにサッと希塩酸で洗いました.薄くても反応がいいようで,ゴミはすぐに溶けてくれました.本来は無色や白色の鉱物ですが,少量のチタン(Ti)や鉄(Fe)を含むらしく,鮮やかな赤紫色~青紫色の変色するそうです.

 ルーペで表面を観察していると八面体を思わせる暗灰緑色の鉱物が入っていて,この周りだけ色が濃かった.顕微鏡で未研磨の面を観察していると同様の八面体に近い鉱物があって,亜金属光沢を呈する部分に,ネオジム磁石をつるして磁力が無いことを確認しました.灰チタン石でその周りの色が濃いのに納得しました.

 右のほうに斜めに走る白い線はヒレブランド石で,こちらも無色の鉱物です.赤紫色の部分に入っている灰緑色塊状の鉱物はゲーレン石でした.左下のほうに黄緑色でぼやーっとしている部分があって,研磨面を顕微鏡で見ると少し凹んでいました.ベスブ石のようです.

 ほかに赤紫色の中に灰白色で濁ったような感じのランキン石やキルコアン石はこの研磨面では判別できませんでした.

未研磨面.

 

 未研磨面の撮影は研磨面よりは幾分か楽で,十数枚で肉眼で見えている感じの画像が撮影できました.青っぽい部分がスパー石で,黒色っぽいのはゲーレン石.下の方に黄色っぽく写っているのはベスブ石,一番下の白い脈のようなのは方解石でした.灰チタン石はこの面に入っているのですが,小さくてほぼ点でした.

 

 


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