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黄銅鉱 大阪府高槻市萩谷 高槻鉱山

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石の話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄銅鉱

大阪府高槻市萩谷 高槻鉱山

 

 かつてあった石のクラブの雑誌で見たのが初めてで,表記は岩戸坂鉱山となっていました.萩谷の変電所の北の谷にあって,摂津峡上の口から徒歩で訪問しました.月見台の方から萩谷に向かう道の橋がある谷の上流で,ヤブ漕ぎして現場へ赴きました.川の流れより少し外れた岩場のようなところで竪坑になっていて湧水で水没しているようでした.鉱石は周辺にはあまりなく,谷に沿って下っていくと,摂津峡白滝のほうへ至る遊歩道となりました.川原の転石でいくつかの鉱石をサンプリングしました.

 その後に文献をいろいろ調べていくと,もともとは「萩谷銅山」と呼ばれていたらしく,その後に高槻鉱山になっていました.明治11年頃に採鉱された記録と,大正6年から7年に生産成績が掲載されていました.鉱山名は大正の中頃に「巌戸鉱山」になっていました.その後はしばらく休山状態で,昭和19年頃に再び操業されていたようです.戦後の沿革は不明だった.

 

 筆者の標本箱の収まっている当地の黄銅鉱と灰鉄輝石の標本が,久々に見たところ,硫酸鉄の粉末に覆われていました.ラベルと上箱がボロボロで,文字は判別できないくらいに腐ってしました.ボロボロの紙片を繋ぐとなんとか産地名が読めて,当地の標本であることが分かった.分解していたのは,割れ目に入っていた黄鉄鉱のようで,そこを斫用ハンマーで斫り取って,周囲を成形しなおしました.割っているときは火花が散ったり,硫化水素の臭いがしていました.

 18年くらい前にサンプリングした標本です.成形後は改めてラベルを付け,新しい箱に入れなおしました.またいつか硫酸鉄の粉が吹いてきそうです.その際に撮影した画像を掲載します.

 

表面.

裏面.

 黄銅色金属光沢部が黄銅鉱.俄かに紅色味がかかっている銀白色が磁硫鉄鉱.顕微鏡的な黄鉄鉱が入っているらしく,そこからまた腐ってきそう.茶褐色は酸化被膜の水酸化鉄.これもハンマーで斫って取り去ろうと思っていろいろやったのですが,ここまでしか取れませんでした.

 

 

 

こちらは灰鉄輝石に磁硫鉄鉱が鉱染している標本です.灰鉄輝石は柱状結晶が絡み合ったやや粗粒なもので,腐った硫化物を斫り取るのは非常に難しい.灰緑色―暗緑色ガラス光沢部が灰鉄輝石です.下の方に暗い銀白色―灰色の金属光沢部は磁硫鉄鉱です.褐色は酸化被膜の水酸化鉄で,こちらもうまく斫り取れませんでした.

 

 ここの石にはほかに灰重石が含まれていて,この石にも含まれていそうでしたので,短波紫外線灯で確認したところ,灰鉄輝石を主体とする標本には含まれず,黄銅鉱と磁硫鉄鉱・石英を主体とする石に含まれていました.

短波紫外線灯下での蛍光写真.中央の白―青っぽく蛍光している部分が灰重石でした.当地の蛍光する鉱物はほかにマンガン方解石がありました.淡い赤色に蛍光していました.

 

 

 


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