顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真182
―トラスコット石―
表面.
裏面.
産地:鹿児島県伊佐市菱刈前目 菱刈鉱山山神坑(非売品)
Truscottite トラスコット石
[組成] (Ca2+,Mn2+)14Si24O58(OH)8・2H2O
[結晶] 三方晶系.自形結晶は六角板状・薄い板状.透明~
半透明.鱗片状・葉片状・ロゼット状・繊維状・脈状・
球状集合などになる.
[色] 無色・白色など.
[光沢] 真珠光沢.
[モース硬度] 3
[比重] 2.47~2.48
[劈開] {0001}に完全.
[条痕] 白色.
[名称] ロンドンの王立鉱山学校の教授の
Samuel John Truscott(1870-1950) に因む.
[原産地] Lebong Donok mine, Lebong district, Bengkulu
province, Indonesia.
(スマトラ島南部の熱水金銀鉱床)
2週ぶりの顕微鏡写真シリーズです.今回はトラスコット石にしました.珪灰石に水をくっつけたような組成の鉱物で,もっと産地がありそうですが,本邦で10箇所内外という比較的珍しい鉱物です.
上の標本は6年くらい前に購入しました.90㎜×75㎜の箱に入るサイズの石で,灰白色でやや緻密な母岩中に,白色鱗片状の脈が数本切っている感じの石です.相当古い石ということで,ちょっと値が張るものの,大きな標本であったので無理をして購入しました.
側面.
もう1産地.
産地:静岡県伊豆市湯ヶ島 湯ヶ島鉱山湯ヶ島坑(非売品).
イネス石の回で掲載した標本で,ピンク色のイネス石の周りにある白色の部分がトラスコット石です(購入品).はじめどの部分かがわかりませんでした.拡大すると繊維状っぽい部分があって,断面がやや真珠光沢だったので,この部分とわかりました.伊豆半島で土肥鉱山のものが知られていますが,この標本の産地は記載が無く,どういう経緯で来たのかはっきりとしませんでした.