研磨石
いくつかの研磨した石288
久々の研磨石シリーズです.今回は先日に訪問した三重県伊賀市上阿波高良城川の泥質変成岩を一面研磨しました.川原でサンプリングしたものの一つで,75㎜×60㎜×20㎜の箱にピッタリ入る大きさに成型しました.裏面が凹凸で座りが悪いので一面研磨し顕微鏡下で観察しました.
未研磨面.
(研磨)
黒雲母の多い変成岩なので,特段硬い鉱物は含まれていないので,そのまま研磨しました.紅柱石あたりが硬い鉱物なのですが,ほとんどの部分が白雲母になっていて,その外側にも珪線石から変質した白雲母が入っていたので,硬い鉱物は石英くらいでした.この辺りの岩石は細かいザクロ石がたくさん含まれているものが見られましたが,この岩石にはほとんど肉眼的な石榴石は含まれていませんでした.大村砥で粗削りを終了し,八鹿町日畑の砂岩で中研ぎしました.見た目は粗い砥石ですが,平滑にして中研ぎするといい感じで仕上がります.そのあと,青砥で仕上げしました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
褐色~黒褐色の柱状に見える部分が黒雲母です.見た目は黒雲母が多いように感じましたが,鏡下ではこんなものです.白色繊維状部は珪線石です.妙に藍色の部分があって,未研磨の部分を詳しく観察したところ菫青石のようです.
こちらは紅柱石です.肉眼で見た限りは紅柱石の部分のすべてが白雲母に変質しているように見えましたが,一部に残っていました.灰紅色部が紅柱石です.周囲の白色部は白雲母です.
こちらも紅柱石から白雲母に変質した部分です.一部に紅柱石が残っています.三角形の破面の部分は電気石です.
こちらも紅柱石です.小さいながらも灰紅色の部分が観察できました.
紅柱石が白雲母になった部分の一部に灰青色の粒がありました.かなり小さいですが,顕微鏡を肉眼で覗いて観察するかぎりはコランダムのようです.顕微鏡のズームとカメラのズームを併用して,ここまで拡大しましたが,色が少しボケてしまいました.研磨面を斜めに傾けて観察したところ,周囲の白雲母はかなりすり減っていて,この青い部分だけ浮き出ていました.たぶんコランダムでしょう.
この産地で確認できた鉱物は
石墨・黄鉄鉱・磁鉄鉱・コランダム?・褐鉄鉱・石英・方解石・燐灰石・燐灰ウラン鉱・鉄礬石榴石・ジルコン・紅柱石・珪線石・チタン石・菫青石?・鉄電気石・透輝石・緑閃石・白雲母・黒雲母・緑泥石・柱石・斜長石・微斜カリ長石・曹長石などでした.