研磨石
いくつかの研磨した石287
(研磨面)
(未研磨面)
和歌山県田辺市龍神村小又川 竜神鉱山桑畑鉱床の角礫状のハウスマン鉱を一面研磨しました.10年以上前にサンプリングした木っ端で,赤褐色の泥質岩中に角礫状のハウスマン鉱やカリオピライトなどのマンガン鉱物を含むレンズがたくさん入っていました.磨ってみたら面白いと思い磨ってみました.
(研磨)石英などの硬い鉱物は肉眼的には見られず,早く磨り上がると予想していましたが,泥質岩が予想以上に柔く,高さを調整するのに難儀しました.白色部は石英ではなく方解石で,ここも柔いため優先的に先に削られるようで,ここを一番最後にして周囲から粗削りして高さを合わせました.未研磨の面に現れていたテフロ橄欖石は研磨面にはあまり出ていなかった.
仕上げは2000番手のペーパーで軽く磨ったあと,青砥でしました.(いつも軽く仕上げをしたように書いていますが,ちょっと磨って研磨面を見ては砥石を交換し,また磨っては交換しの繰り返しで,仕上げが一番時間を要します)
(以下,拡大写真です)
ハウスマン鉱(茶褐色―赤褐色)を主とするレンズの拡大です.灰緑色のテフロ橄欖石と,灰桃色―淡紅色の菱マンガン鉱がレンズの罅を充填しています.
泥質部の拡大です.白色は方解石で,紫外線で赤く蛍光しました.それとは別のクラックにオレンジ色の短柱状が入っていて,燐灰石のようです.暗茶褐色のレンズ状に見える部分はネオトス石のようで,拡大すると劈開の無いガラス光沢が観察できました.白色の方解石の左横の黄褐色部はおもにカリオピライトからなっていて,少量の菱マンガン鉱を伴っていました.白色の方解石の脈は盤際に非常に細かい短柱状の赤黒い結晶がちょろちょろついていて,光沢はやや強く,周辺に挟まっている鉱物の性質とは異にする鉱物で,名前は浮かんできませんでした.それとは別にクラックに沿って,似たような光沢と色の粒状の鉱物があって,赤褐色の泥質部全体は磁石に強く吸い付くため磁鉄鉱かもしれません.
カリオピライトの角礫付近の拡大です.上の方の茶褐色~赤褐色の部分がカリオピライトで,赤っぽいところは赤鉄鉱のようです.各部位に分けて研磨した時に,ベンガラに近い色の粉が出ました.上のカリオピライトの中に,かなり微細な粒状の鉱物が入っていて,手持ちの顕微鏡では判別できませんでした.