顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真170
―硫安ニッケル鉱―
産地:Dörnberg mine, Hoshsauerlandkneis, Arnsberg,North Rhine-Westhalia,
Germany.(非売品).
Ullmannite 硫安ニッケル鉱(ウルマン鉱)
[組成] Ni2+Sb3+S
[結晶] 立方晶系.自形結晶は立方体・八面体・十二面体・
粒状など.通常は塊状集合のことが多い.結晶は
脆い.結晶面上に条線が発達することがある.
[色] 錫白色・鋼灰色など.錆びてくると紅色や青色味を
帯びて,最後に黒くなる.
[光沢] 金属光沢.錆びると鈍くなる.
[モース硬度] 5~5.5
[比重] 6.65~6.793
[劈開] {001}に3方向に完全.
[条痕] 黒色・灰黒色など.
[酸による反応] 硝酸に可溶.
[原産地] Storch und Schöneberg mine, Gosenbach,
Siegen, Siegen-Wittgenstein, Arnsberg, North
Rhine-Westphalia, Germany.
[名称] ドイツの鉱物学者
Johann Christoph Ullmann(1771-1821)
に因む.
ひさびさの顕微鏡写真です.今回は硫安ニッケル鉱にしました.ゲルスドルフ鉱の砒素(As)をアンチモン(Sb)に置換した鉱物で,本邦でも確認されていますが,現物を拝んだことは未だにありませんでした.
上の標本はずいぶん前の池袋で購入した標本です.水酸化鉄鉱物による褐色の染みで覆われた部分のある白色の重晶石に伴われる硫安ニッケル鉱です.通常は塊状のことが多いようですが,まれに立方体の結晶をするそうです.上の標本にも立方体の断面をうかがわせる正方形の輪郭が出ています.
拡大するとこんな感じで,劈開の感じが方鉛鉱に似ているような感がします.表面は錆びているのか,妙に青っぽく,光沢も鈍くなっています.
塊状に近い部分の拡大です.帯青鋼灰色金属光沢部が硫安ニッケル鉱,黄色っぽい脈は重晶石.
重晶石の盤際はこんな感じになっていました.重晶石中に八面体に近い微細な結晶が含まれていました.