露頭めぐり
但馬御火浦
―三尾~御崎―
兵庫県美方郡新温泉町・香美町
前回のつづきです.久斗山から下ってきて,三尾方面に採りました.兵庫県北部の海岸近くはあまり行っておらず,いい機会なので,寄ってみることにしました.古い手持ちの地図に細い線で海岸より比高100mくらいのところに御崎に抜ける林道の記載があって,通れるかは判りませんでしたが,通れたら餘部の方に抜けようと思っていました.
このあたりは凝灰岩中にレンズ状もしくは脈状で塊状の赤鉄鉱がよく産するところで,西方の居組の露頭でも確認していました.山中を抜ける林道なら,法面に露頭が残っていそうと予想していました.
三尾の漁村を抜けると崖の上を走るような林道になって,はらはらしながら,走行し,景色を愉しむような余裕はありませんでした.
グーグルマップに間塩口とプロットしてある地点まで来て,ようやく小休止しました.少し平になったところで,その先に一つ滝がありました.この近くにでかい滝があるらしく,その情報もあって,赴きましたが,この滝だろうか.
滝.落差は1.5mくらいか.上方はガレ場がそのまま滝になったようになっていました.
この先の谷地形のところに,土砂がたまったところがあって,ここにグリーンタフのような凝灰岩がたくさん落ちていました.間隙に濁沸石のような鉱物があって,そこから割れて剥がれているようでした.転石なので,露頭がどこかにあるんだろうと思っていたところ,谷地形の東側の尾根の切通にこの手の岩石が見られました.ほかは未風化の凝灰岩が多く,安山岩脈もありました.少し先で,斜面が真っ赤になったところが散見された.脈やレンズ状になっていたので,赤鉄鉱が風化してボロボロになったものと判断しました.
さらに進むと灯台があるらしいという道標がでて,逆登山でなければ,見て来よう.幸い灯台は尾根の突端にあって,半ば展望台のようになっていたので,寄ってみました.
道標.
現地案内板.
台風接近の中なのにこの晴天でした.
灯台の先は,耕作地になっていて,香住港方面のみ展望がありました.
北方.
香住港方面.すさまじいスコールが来ているようでした.
灯台から戻る途中に鳥居があって,どこに向いているのか.下の方に神社があるらしく,まだ時間があったので寄ってみようと思いましたが,駐車場に荷を置きに行ったところ,駐車場から神社の社屋が見えていました.
神社は西の谷にあるようでした.逆登山はしんどいので,中止しました.
西側の展望は駐車場からの方がよく,伯耆大山の方面が見えていました.
大山方面.雲に隠れているのが大山.
大山の北麓.奥に見えている尖った山は孝霊山か?
灯台の駐車場に来た時から気になっていた,露頭に行きました.灯台の南,林道を挟んだ南側の露頭で,比較的最近に雑木を伐採したらしく,手前の露頭も少し削られていました.新鮮な面が出ていたので,観察しました.
露頭.高さは60㎝くらいか.凝灰岩質で,白い脈がたくさん走っていました.
露頭の拡大.スケールに使用したペンの長さは約140㎜.
空隙になった部分の拡大です.炎天下の中,露頭にへばりついて撮影しました.白色板状に見える部分は方解石で,空隙の中,灰白色で半透明になった部分は細かい石英(水晶)でした.ほかに割れ目に脱水して粉状になった濁沸石やそのに伴って,繊維状や放射状の束沸石が少量見られました.
現場は炎天下で暑く,あとにしました.
餘部に至る道から東方の海岸が見えていたのでカメラに収めました.
きっちり地質の境目がわかるので,カメラに収めました.遠目で観察できるので,ちょっとくらいは案内板があれば,と探しましたが,そういうものはありませんでした.