研磨石
いくつかの研磨した石283
兵庫県朝来市新井鉱山の銅鉛亜鉛鉱を一面研磨しました.知人より提供された石で,上部に穴が開いたような塊状に近い金属鉱物の集合でした.未研磨の面を見たところ,黄色の黄銅鉱に閃亜鉛鉱が少し見られる程度に見えましたが,洗って再度見たところ,かなり多く斑銅鉱が入っていました.
(研磨) 金属鉱物がかなりの部分を占めていたので,軟らかいと思って磨り始めました.内部は石英が多くここまで磨るのに時間を要してしまいました.上の方にある空隙の近くは粘りがあるように感じ,思った以上に研磨が進みませんでした.これ以上磨っても時間がかかるだけでしたので,切り上げて中砥ぎに移りました.400番手のペーパーで軽く磨った後でルーペで確認したところ,空隙に近く粘りがあるように感じた部分は,自然銀でした.仕上げは黄色の砥石でしました.
(以下,顕微鏡下での観察です.)
全体的に石英が断裂して,その間が交代されたような感じで金属鉱物が入った集合でした.
間隙と研磨面の境界付近の拡大です.表面に水亜鉛銅鉱のような二次鉱物が吹いているのが確認できます.黄銅色金属光沢部は黄銅鉱.写真中央の銀白色の粒に見えるのは自然銀でした.
斑銅鉱の拡大です.内部に黄銅鉱が含まれています.錆びる前の新鮮な斑銅鉱はこんな感じの色です.この写真を写すときに再度軽く研磨して,新鮮な面を出して,水滴を落としてから撮影しました.乾くと表面がみるみるうちに酸化して行って,青紫色や赤紫色を経て黒変してしまう.
方鉛鉱の多い部分の拡大写真.自然銀より若干青色味が強く,微細な階段状の割れ口で反射して,キラキラしている鉛灰色部が方鉛鉱でした.黄銅色は黄銅鉱.
黄銅鉱の多い部分の拡大です.斑銅鉱のような銅分の多い鉱物は余り伴われていませんでした.鉄黒色亜金属光沢部は閃亜鉛鉱です.
自然銀の多い部分の拡大です.磨っているときに,いくらか粘りを感じた部分です.画像ではっきりと写ってくれませんでしたが,鏡下で細かい毛状の集合でした.ほかに輝銀鉱でも入っているのか,方鉛鉱の集合の周りと同様に石英が暗灰色―黒色に近い色をしていました.