研磨石
いくつかの研磨した石２８２
高知県高知市鏡去坂のスローソン石からなる石を一面研磨しました．この標本は購入品で，比較的大きな塊状だったものを2つに割ったものです．研磨に使用した上の石は片割れの破片の一部で，暗緑色の変斑糲岩を白色の脈が切っています．両面のうち研磨しやすいほうを選んで研磨しました．
(研磨)元の標本を2つに割ったときに母岩の割れ目を充填していた淡黄色の脈は，比較的簡単に削れてくれました．この淡黄色の脈をだいたい磨り切ってからが時間がかかりました．変斑糲岩の母岩の部分はかなり軟らかく，先に白い部分を磨ってから高さを合わせました．仕上げは青砥でしました．
(以下は顕微鏡下での観察です)
白色で薄く繊維状に見える部分がスローソン石です．短波紫外線灯でこの薄い繊維状部が淡紅―薄い紫色に蛍光しました．
研磨面の一部に赤いところがあって，ルチルか何かだろうと思っていて，顕微鏡で観察したところ自然銅でした．当地の自然銅は文献に記載があるものの実際見たのは初めてでした．
変斑糲岩の部分の拡大です．青紫色の鉱物があって，いろいろ検討したところ菫泥石のようでした．
近くにクロム鉄鉱―クロム苦土鉱系の鉱物があって，この黒色粒状の周りにも淡い紫色の菫泥石が確認できました．
短波紫外線灯でオレンジ色に蛍光する重土長石を含む脈の拡大です．暗い黄緑色部はベスブ石か？ほかの鉱物は小さすぎて判別できませんでした．
こちらは，不明鉱物です．スローソン石の内部に挟まっていて，肉眼ではかなり小さいものの板状の晶癖が確認できました．目立つ鉱物なので，なにか本邦でも知られた鉱物だとは思いますが，思いつきません．