顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真155
―ウィラ石―
産地:Crestmore quarrys, Riverside county, California, USA.(非売品).
Whelanite ウィラ石
[組成] Cu2+2Ca6[(OH)3|CO3|Si6O17(OH)]・2H2O
[結晶] 直方晶系.自形は直方長板状・板状・針状など.放射状・
球状などの集合体になる.
[色] 淡青色・青色・緑青色・青緑色など.
[光沢] ガラス光沢~絹糸光沢.
[モース硬度] 2.5
[比重] 2.74
[劈開] {001}に完全.{010}に良好.
[条痕] 淡青色.
[名称] USAの鉱物学者
Honors James A. Welan(1928-2003)に因む.
[原産地] Banawa mine, Rocky mining district, Rocky range,
Beaver county, Utah, USA.
灰チタン石の次はウィラ石にしました.もともとCrestmore QuarryのMerwinite の標本を持っていて,それに色々調べているうちにMonticeriteやOpal,Vesuvianiteなどの鉱物をラベルに追加していきました.顕微鏡で表面をよく観察していたところ,粗粒なベスブ石と灰青色の方解石の集合に,鮮やかな青色の鉱物がついているのを見つけました.拡大して,結晶の頭を調べたところ,板状になっているうえ,両刃の剣先のような外観の結晶でした.Web上で調べていると上のウェラ石がヒットしました.それを手がかりに母岩を注意深く見ていると,ほかに数か所ついていました.
ほかの部分.肉眼的には針状の結晶です.レンズを通すと全体がボケたようになってしまいました.
こちらもほかの部分の拡大です.方解石の内部に入っているのではなく,わずかな隙間についているのが透けて見えているようです.
もう一つ別の産地の標本です.こちらはラベルにウェラ石とキノ石が記載されていました.
産地:Christmas mine, Christmas area, Banner district, Dripping spring
mountains, Gila county, Arizona, USA.(非売品).
石榴石やベスブ石からなるスカルンの割れ目に,キノ石などの銅の鮮やかな二次鉱物を産することで著名なChristmas mineのウェラ石です.見た目,鮮やかな水色の皮膜状に見えますが,拡大すると,針状結晶の集合体になっていました.当地では似たような色彩と出方をする別の鉱物がいくつかあって,顕微鏡で詳しく見たところ,下の3種類があるようでした(この標本に限る).
手書きで書いて,色を塗ったものをカメラで撮影したうえ,ペイントで加工しました.この3種類の鉱物は産状が同じようなところで出てきて,色も似ているため,これを参考にして判別しました.
この標本は名前の付けづらい標本で,このウィラ石のほかに,キノ石,ギラ石(黄緑色球状),ルイツ石(淡赤褐色半球状),魚眼石(無色粒状),スコート石(無色角柱状), トベルモリー石(白色繊維状)などがついていました.