顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真144
―ウェロガン石―
産地:Francon quarry, Montréal, Québec, Canada.(非売品).
Weloganite ウェロガン石(ウェロガナイト)
[組成] Na2Sr3Zr[CO3]6・3H2O
[結晶] 三斜晶系.自形はだいたい六角柱状で,先細りの結
晶になる.[103]の結晶面で繰り返し双晶をして,し
ばしば砂時計状やビア樽状の結晶になることがある.
[色] 無色・白色・灰白色・灰色・淡黄色・灰黄色・黄色・黄
褐色・淡褐色・淡紅色など.
[光沢] ガラス光沢~真珠光沢.
[モース硬度] 3.5
[比重] 3.20~3.22
[劈開] {0001}?
[条痕] 白色.
[名称] カナダの地質学者
William Edomond Logan(1798-1875)に因む.
[原産地] Francon quarry, Montréal, Québec, Canada.
ほか,酸に可溶.質によって短波紫外線灯で弱く黄色に蛍光するものがある.
マンダリーノ石の次はウェロガン石(ウェロガナイト)にしました.ナトリウム(Na)とストロンチウム(Sr)とジルコニウム(Zr)を主成分とする含水炭酸塩鉱物です.原産地はカナダのFrancon採石場で,当地のほか同国に4箇所,南アフリカに1か所確認されているだけの,珍しい鉱物のようです.
上の標本は10~12年ほど前に購入しました.母岩のサイズが大きくて売り手が売りづらいからと,少しまけてくれました.母岩はパッと見た感じでは凝灰岩のような感じの岩石ですが,資料をみるとドーソン石に富むカーボナタイト質の岩石で,採石場は石灰岩を採鉱していたそうです.現場は稼働をやめていて公有地になっているそうです.
ウェロガン石の入っている晶洞はこの母岩に薄く平たい晶洞にいくつか入っていました.上の写真はウェロガン石が集合している部位を撮影しました.
繰り返し双晶をしていびつな六角柱状になった部分です.
別の部位の拡大です.六角柱状の結晶がウェロガン石です.下地になっているやや光沢の強い結晶は水晶で,さらに微細な無色八面体に近い自形のホタル石を伴っています.
3枚目の写真の結晶の拡大.右上の光沢の強い結晶は水晶.
Web上のどこかのページに蛍光するようなことがあったので,当方でもやってみました.
短波紫外線灯下での蛍光写真です.にわかに黄色く蛍光しているのがウェロガン石で,青白く蛍光しているのはホタル石でした.
蛍光写真を撮っていて,母岩の周囲にかなりの強さで黄緑色をして蛍光している鉱物があって,改めて撮影しました.
短波紫外線灯下での撮影です.母岩の全体はこんな感じで,正面に薄く平たい晶洞になっています.黄緑色の蛍光鉱物は晶洞の部分を広く覆っていました.
多く集合している部分の拡大です.中央部の青白く蛍光するものはホタル石でした.問題は黄緑色に蛍光する部分で,一番その鉱物が集まっていそうな部分(写真では左上の箇所を,顕微鏡下で蛍光させて撮影に臨みました.
拡大.短波紫外線灯の照射のもと顕微鏡撮影しました.白っぽい鉱物(おそらくドーソン石)の上に,集合していました.
標本の位置をずらさずに短波紫外線灯を消灯して,強い光源のもとで再度撮影しました.
こちらが蛍光鉱物の通常の光源のもとに撮影した拡大写真です.かなり小さいですが,一部が柱状のように見え,光沢はラス光沢から真珠光沢でした.Web上で当地の鉱物リストを参照しましたが,該当する鉱物はありませんでした.そばにいくつかついている黄色い鉱物を追跡してみたところ,ほかの部位にやや肉眼的な粒があって,これは閃亜鉛鉱でした.亜鉛の鉱物があるなら,答えはひとつで,珪亜鉛鉱?なんだろうか.はっきりしませんでした.