研磨石
いくつかの研磨した石272
兵庫県養父市鵜縄の安山岩質溶岩を一面研磨しました.前回行ったときに川原にあった転石です.段瀑の中段くらいに大きな露頭のような岩があって,この岩くらいから外れたものと推定しました.滝のあった出合川はいろいろなタイプの安山岩類があって,下流に行くほど関宮超塩基性岩体から流れてきたと思われる蛇紋岩類が多くなっていきました.写真の上は研磨石で表裏両面を研磨しました.
(研磨)多孔質の安山岩質岩で硬そうな鉱物は入っていないようで,軽く磨ると瞬く間に平滑な面が得られました.仕上げが難儀してなかなか思ったような光沢が出ませんでした.おまけに脆く,研磨の振動で周囲がぼろぼろ崩れて,研磨前よりもサイズが小さくなってしまいました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
母岩全体の色が黒っぽく見える割には,拡大すると淡色でした.白色は斜長石.俄かに黄色みを帯びた立体が分解しかかったか,分解した橄欖石.黒っぽい微細な粒は磁鉄鉱.赤褐色の微細な粒は直方輝石.量は少ないが黒色針状に見える単斜輝石を含んでいました.
(研磨面).
(未研磨面).
斜長石です.この安山岩質岩に含まれる斜長石は粒が大きく,最大長さ12㎜の斑晶がありました.分離が悪いようで分離品は無い感じでした.酸化鉄を含むのか,分解しかかっているのかはわかりませんが,にわかに黄色みを帯びています.
石基の部分です.赤い粒状と短柱状は直方輝石.黒色粒状は磁鉄鉱.白色は長石で,単斜輝石はこの画像には見つけられなかった.
橄欖石です.これより上の画像の石ではありませんが,新鮮な安山岩で産地は同じです.肉眼的な橄欖石を含んでいました.