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鉱物の顕微鏡写真129 ―毒鉄鉱―

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顕微鏡写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真129

―毒 鉄 鉱―

産地:京都府船井郡京丹波町安栖里 鐘打鉱山明治坑裏(非売品).

 

 

Pharmacosiderite  毒鉄鉱

[組成]      KFe3+4[(OH)4|(AsO4)3]・6~7H2O

[結晶]      立方晶系.異極半面像.立方体,六角柱・八面体などになる.

[色]        淡青色・青色・青緑色・緑色・灰緑色・黄緑色・黄色・黄褐色・

          橙色・赤橙色・褐色・暗褐色など.アンモニアで変色.

[光沢]      金剛光沢~亜金剛光沢.ガラス光沢.油脂光沢と記載のあ

          る文献もあった.

[モース硬度]  2.5

[比重]      2.797~2.90

[劈開]      無し.または{001}3方向に不完全.

[条痕]      白色.

[原産地]     Tincroft mine, Pool, Carn Brea, Cornwall, England, UK.

                    Carharrack mine, Gwennap, Cornwall, England, UK.

 

 

   ひさびさの顕微鏡写真シリーズの更新です.今回は毒鉄鉱にしました.

 

   Webで検索をかけていると,あまり引っかかってこなかった.鉱物名やその由来などを参考にしている海外の2~3のサイトには,いろいろ記載がありました.日本語の文献はあまりないので,更新用に取り上げてみようと思った.

   毒鉄鉱は本邦ではやや珍しい砒酸鉄の鉱物で,かなり微細な立方体をしています.光沢が強く外形もはっきりとしているので,大きな結晶は無いものか,探して見ましたが,今のところは見ていないです.

     組成中のK(カリウム)はどこから来ているのかわからず,いろいろ調べたりしていると,「白雲母(の分解)から来ているよ」と指摘された.白雲母にはK(カリウム)が入っているし,毒鉄鉱は硫砒鉄鉱などの分解でできる鉱物なので,これを含む集合が分解したら,できそうです.

  上の標本は,随分前に5人程度で有志が集まって訪問した際にサンプリングしました.つい最近に石を整理していたら,上の石が出てきました.仮のラベルを付けていて,色しか見ていなかったのか「スコロド石」と書いていました.今回掃除した上で顕微鏡で観察したところ,肉眼サイズの毒鉄鉱が出てきましたので,更新用に顕微鏡撮影しました.で,今回は国産標本を顕微鏡撮影した上,掲載します.

 

1枚目の写真の部分を含む集合.淡緑色の球状集合体はスコロド石.

 

球状スコロド石のある部分の拡大です.毒鉄鉱の乗っている母岩は結晶質なのか非晶質なのか判別できない水酸化鉄の被膜の上に乗っています.

 

毒鉄鉱の透明度が高いために,下の水酸化鉄鉱物の色が透けて見えているようで,毒鉄鉱自体は淡い緑色~黄緑色に着色しています.

 

こちらは白色―無色―淡緑色を呈する毒鉄鉱の集合です.

 

こちらは1枚目の写真の部分が含まれる集合の顕微鏡写真です.球状のスコロド石を伴っています.白色部は母岩の石英です.

 

 この標本に含まれる毒鉄鉱は全体的に色が淡いようで,もっと濃い色の標本を下に紹介します.

産地:京都府亀岡市稗田野町行者山石切場(非売品).

 

 以前に紹介した写真をリメイクした写真です.濃緑色立方体の部分が毒鉄鉱です.褐色部は水酸化鉄鉱物の集合です.この毒鉄鉱を含む水酸化鉄鉱物の集合の別の空隙に,毬栗状ないし皮膜状の砒灰鉄石(アーセニオシデライト)を含んでいました.

 

 

 

 

 


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