研磨石
いくつかの研磨した石259
富山県富山市大山町長棟 長棟鉱山の黄鉄鉱―方鉛鉱―閃亜鉛鉱からなる雑鉱を一面研磨しました.岐阜県境に近い有峰湖の西方,横岳(標高1623m)の北斜面に位置する鉱脈鉱床で,随分前にお土産として大きな塊を頂戴しました.それを,標本サイズに割ったあとに残った木っ端を一面研磨に利用しました.
(研磨) 硫化鉱物の塊なので,一気に磨り上げました.特に硬度の高い鉱物は入っておらず,黄鉄鉱が一番硬い鉱物のようでした.仕上げは青砥で磨っていたのですが,思う以上に光沢が出ず,黄白色の砥石で磨ると光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡下での観察です.)
真鍮色の部分は黄銅鉱と思っていたのですが,ほとんどが黄鉄鉱で,黄銅鉱はそれらの粒間を充填してわずかにみられる程度でした.鉄黒色金属光沢部は閃亜鉛鉱,鉛灰色金属光沢部は方鉛鉱.緑黒色塊状に見える部分は緑泥石でした.
黒色の閃亜鉛鉱と鉛灰色の方鉛鉱,黄鉄鉱を含む部分の拡大です.中央の黄鉄鉱と閃亜鉛鉱との境界に挟まっているのは磁硫鉄鉱のようです.この部分だけ,磁石が引き寄せられました.
黄鉄鉱の近くに鋼灰色亜金属光沢の閃亜鉛鉱を伴う部分の拡大です.上の方についている方鉛鉱とは,劈開の感じで見分けることができますが,粒が小さいことや透明度を見ないとわかりづらいときがあります.
方鉛鉱の多い部分の拡大です.方鉛鉱の集合している部分に少量の石英が含まれていました.白濁した部分は方解石で,光沢の違いから判別出来ました.
この石とは別に鉛―亜鉛―鉄の集合中に,菱マンガン鉱や満礬石榴石を含む石があって,一部に閃マンガン鉱を確認しました.