顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真124
―河 辺 石―
産地:京都府京丹後市大宮町河辺白石山(TL). (非売品).
Kobeite-(Y) 河辺石
[組成] (Y,U)(Ti,Nb)2(O,OH)6 (?) .文献によっては, Y(Zr,Nb)(Ti,Fe)2O7
[結晶] 三方晶系?,文献によっては単斜?や三斜?と記載されている.
自形は細長い柱状結晶.毛状や箒状集合をする.メタミクト化.
[色] 黒色・黒褐色・暗褐色.
[光沢] ガラス光沢?
[モース硬度] 5.5
[比重] 4.13-4.60
[劈開] 無し.
[条痕] 赤褐色.
[名称] 発見地の旧村名.河辺村 に因む.1950年の発見.
[原産地] 京都府京丹後市大宮町河辺白石山.
放射能あり.分解したり風化すると酸化チタンの黄色い被膜に覆われたり,置換?したりする.
自然テルルの次は河辺石にしました.
丹後半島の付け根にあたる京丹後市大宮町河辺の白石山で,発見された新鉱物です.発見当時は中郡河辺村だったようで,そのあとに中郡大宮町になって,現在は京丹後市大宮町になっています.原産地は白石山という1940年代にガラス用の珪石を掘っていた珪石山と云い,露天掘りをしていたという文献や,実際に現場に行って,見た感じでは鉱体に当たっているのかわかりませんが,坑道掘りの跡もありました.はじめの写真の標本は,河辺石を入手した初めての標本でした.河辺石の部分はちょっとしかついていませんが,上の方にペリエル石がついていて,結構リッチな標本になっていました.
河辺石の柱状結晶の顕微鏡写真.
こちらは別の部分の拡大で,内部まで分解しているのかわかりませんが,表面は黄色っぽい酸化チタンの被膜で覆われています.
柱面に直角に割れた断面の写真です.
もっと拡大したのがこちらです.
そのあとに入手したのが,下の写真の標本です.
産地:京都府京丹後市大宮町河辺白石山.(非売品).
はじめの写真の標本はサイズが小さいので,もう一つ同じ産地の標本を見つけて購入しました.2枚目の写真のがそれで,はじめの写真の標本より数はたくさん入っていますが,母岩が分解して脆く,河辺石も表面が分解しているのか,黄色の酸化チタンの鉱物に覆われていました.はじめの標本の石と,上の標本の石は直径60㎜×高さ23㎜の丸箱に収まるため,2つで一つの標本にしました.はじめの写真のペリエル石の内部にも細かい河辺石を含んでいて,モナズ石も伴っていました.黄色っぽい被膜はやはり酸化チタンの鉱物のようでした.
産地:京都府京丹後市大宮町奥大野 潮鉱山二坑.(非売品).
母岩がしっかりしている標本を探していた時に,購入した標本です.その後に訪問して大きな母岩の標本を得ましたが,どういうわけか手元に残ったのは,上の写真の標本だけでした帯褐桃色を呈するやや粗粒の長石中に埋没しています.
産地:広島県広島市安芸区瀬野川町畑賀水谷.(非売品).
広島型花崗岩中の脈性ペグマタイトより産した河辺石です.こちらは住宅の前の川原にパラパラと淡桃色の長石の破片が転がっているという,奇妙な現場でした.学生時代に各駅停車で九州から京都まで帰っていたときに,始発に乗ると中途半端に一時間くらい待たされる駅があって,その空き時間を早めに使用して,寄っていた現場です.安芸中野駅からタクシーを拾って,4~5分くらいだったと思う.ややしっかりした長石で,長石の破片の散らばっていた(こちらにはほとんど入っていない)ところから下流に少し進んだ湾曲部に若干のペグマタイト質の長石がたまっていて,そこから得られました.その後に何度も現場を訪れましたが,得られたのはこの1回のみでした.当地ではほかに褐簾石や変種ジルコン,ガドリン石などがあるそうです.
産地:宮崎県延岡市北川町上祝子 大崩山.(非売品).
学生時代に小積ダキ方面から大崩山を経て,祖母山に至るルートで山行を計画したが,台風の直撃で中止せざるを得なかった.下見に行ったときに,林道で小さなペグマタイトから細かい水晶が生えたのを2~3拾った覚えがありました.
上の石は数年前の京都ショーでお隣さんでサンプル購入した石です.乳白色の長石中に漆黒の柱状結晶が入っていて,コントラストが良かった.西の山を越えたところに,従来から知られている高千穂珪石鉱山も学生時代に探したが,現場にたどり着けなかった(このときは日没敗退). 上の石は河辺石のほかに黒色金属光沢の立方体の鉱物を別の部分に伴っていて,磁鉄鉱かと思いましたが,その部分にガイガーカウンタ―をあてて測定したところ顕著な放射能を検知したため,閃ウラン鉱と判断しました.ほかに淡桃色―灰褐色ガラス光沢で,微細な板状のへランド石も別のチップに入っていました.
あとほかの産地もありそうですが,未確認の情報に京都市山科区の牛尾観音付近に出た..ような話を聴いています.また聞きみたいなもので,本当なのかはっきりしません.