蛍光鉱物
―灰重石―
その2
1の続きです.
産地:宮崎県西臼杵郡日之影町 中村重石鉱山.(非売品).
学生の頃に訪問して採集したサンプルです.大部分が氷長石からなる集合に,似たような色であまり目立ちませんでしたが,短波紫外線を照射すると,強く蛍光しました.
短波紫外線灯下での蛍光.
産地:京都府京都市左京区粟田口如意嶽町岡崎山(非売品).
こちらは,16年くらい前にサンプリングしました.比叡山花崗岩との接触変成を受けて大理石化した石灰岩を採鉱していた現場で,通称 五別所山とか呼ばれる現場です.標本は主に白色の大理石と,白色繊維状の珪灰石,それとそれらを切る灰緑色の脈としてサーラ輝石が入っています.サンプリングした時はわかりませんでしたが,短波紫外線灯を照射して遊んでいたところ,この石に灰重石が入っていることを知って,ラベルを書き換えました.
短波紫外線灯下での撮影.俄かにオレンジ色になっている部分は珪灰石.中央やや右に青白く蛍光しているのが灰重石.
産地:山口県岩国市周東町明見谷 藤ヶ谷鉱山明見谷鉱床.(非売品).
現在は藪に覆われていくことができないとか噂で聞いています.10年くらい前にサンプリングした標本です.明見谷から玖珂鉱山方面に抜ける細い県道沿いにありました.標本は白色部は方解石で,少量の緑色の緑簾石や透輝石などを伴っています.灰重石は小さいながらも単結晶で母岩に埋まっていました.
青白く蛍光している部分が灰重石です.周囲のオレンジ色は珪灰石.
産地:山口県萩市佐々並(字)長小野 佐々並鉱山(非売品).
アイキン鉱の産出で有名になった,佐々並鉱山の灰重石です.アイキン鉱はビスマスの硫化物で,肉眼的にほかの蒼鉛鉱物との判別がやや難なため,上の標本にも入っているかもしれませんが,灰重石の標本にしています.13年くらい前に訪問した時にサンプリングした標本です.灰緑色―暗緑色の灰鉄輝石からなる母岩中に白色―灰黄色の灰重石が入っていました.
蛍光させるとこんな感じで,たくさん入っています.一部に紫色の部分があって,改めてルーペで観察したところホタル石でした.
産地:滋賀県東近江市茨川町丈治谷.(非売品).
購入品です.そのあと現場に行きましたが,上流の方から汚い石英脈がいくつかあって,磁硫鉄鉱はついていましたが,灰重石は入っていませんでした.上の石は暗灰色―灰色の石英中に鉱染する磁硫鉄鉱がほとんどで,灰重石は1粒のみでした.
蛍光写真です.右上の方にしっかりついていました.
産地:島根県仁多郡奥出雲町小馬木折渡 小馬木鉱山.(非売品).
8年くらい前に訪問した時にサンプリングした標本です.ほぼ鉄重石からなる重い鉱石質の石で,試しに短波紫外線灯を照射したところ,全面が蛍光しました.
蛍光写真です.鉄重石のついている部分がほとんど蛍光しました.割れ目に微細な灰重石がついていたようです.
その3に続く.