研磨石
いくつかの研磨した石244
大分県佐伯市弥生町尺間宇藤木 下払鉱山のブラウン鉱を含む珪岩を一面研磨しました.当地からは新鉱物「宮久石」が見つかって有名になりましたが,上の標本は,2001年頃に筆者が訪問して,サンプリングした標本です.「ブラウン鉱」とラベルにつけていて,マンガンエジリンを伴う..と小さく書いていました.
前述の「宮久石」が見つかってから,手元にあるこの石をひとまず切ってみました.内部になにが入っているか,どうなっているかを見るためでした.最近,その切ったものが出てきて,改めて研磨しました.
(研磨) 以前に宮久石が入っていると云われて提供を受けた石を10等分くらいしにして研磨しましたが,兎に角硬く光沢を出すのに難儀しました.普通のチャートより研磨し辛かった印象だけを覚えていて,ひとまず磨ってみることにしました.カッター傷の少ないところとブラウン鉱がついている部分を選って,荒砥で時間をかけて研磨しました.一気に磨り上げられず,何か月かかかってゆっくり研磨しました.研磨面がやや平坦になったのを確認してから,中研ぎしたうえで,青砥で仕上げをしました.光沢が思った以上に出ず,研磨チャートの研磨面で激しく擦り合わせたところ光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
ブラウン鉱と橙色のマンガンエジリンからなる脈付近の拡大です.帯青鋼灰色に見える部分がブラウン鉱です.ブラウン鉱とエジリンの脈の境界に,濃緑色の微細な粒状の鉱物が入っていますが,小さすぎてわかりませんでした.
磨っているときに非常に硬かった珪岩の部分の拡大です.淡紫色の鉱物が入っていて,これがナマンシル輝石?なのか.黄白色柱状ないし六角形の破面(写真中央よりやや左下,六角形の破面が反射している部分)の鉱物があって,燐灰石のようです.ほかの細かい鉱物は不明.
珪岩中にややばらけた感じに鉱染しているブラウン鉱です.9枚目の写真の白色―黄色の輪郭のはっきりしない鉱物が不明鉱物です.先ほどの輪郭のはっきりした燐灰石とは異なっていて,何かほかの別鉱物かもしれません.10枚目の写真にも黒色粒状のブラウン鉱のまわりに赤褐色粒状の鉱物がついていて,赤鉄鉱かも..ともっと拡大したところ金属光沢ではなく,ガラス光沢で半透明でした.鉱物名はわかりません.