研磨石
いくつかの研磨した石241
愛媛県伊予郡砥部町川登弘法師 古宮鉱山の角礫状ハウスマン鉱を含む炭マンを一面研磨しました.10年近く前の高速1000円のときに訪問しサンプリングした石の一つです.現地で紅簾石片岩中にレンズ状のブラウン鉱はかなりあったと記憶していますが,上のようなハウスマン鉱を含む石はこれ一つでした.訪問時間が限られていたために,あまり探せていません.もっとあるのかもしれません.サンプルを整理していたところこの石が出来てきました.ほとんどがホランド鉱が含まれる紅簾石片岩で,レンズ状のブラウン鉱を挟んでいました.その隅にこの石があって,標本にするには小さすぎるため,少し欠いて二酸化マンガンの酸化被膜のついている面を一面研磨しました.
(研磨)母岩の結晶片岩の部分が割と少ないと踏んで,削り始めました.研磨面の下の方に少し入っている程度で,平滑にするのは楽でした.仕上げは黄白色の砥石と青砥でしました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
研磨中から真ん中の黄褐色の部分が硬いようで気になっていました.どうも石榴石のようです.ハウスマン鉱としていた赤褐色の部分もハウスマン鉱は一部のようです.
鮮やかの緑色の鉱物を含む部分の拡大です.黄鉄鉱をたくさん含んでいるのと,色にやや品が無いのと,磨っているときに硫化水素の臭いが少ししましたので,閃マンガン鉱のようです.粒が細かいのではっきりとしませんが,内帯のマンガン鉱床にもこういう色を呈した閃マンガン鉱は結構見られるので,閃マンガン鉱としました.黄色いところは石榴石.
ハウスマン鉱からなる赤褐色のチョコレート色角礫を含む部分と灰緑色の部分との境界の拡大写真です.黒色粒状はブラウン鉱が残っているのか,またはハウスマン鉱の黒色粒状のものなのかははっきりしませんでした.その周囲にいる赤褐色―茶褐色部はアレガニー石やリッベ石,リューコフェニス石のようなヒューム石類かもしれません.
黄鉄鉱の多い部分の拡大です.周囲の灰緑色部は閃マンガン鉱.黒色粒状で一部に劈開の見えるのは閃亜鉛鉱のようです.黄鉄鉱の集合の内部に黄色の濃淡があって,黄鉄鉱に磁硫鉄鉱のような別の硫化鉱物を伴っているようでしたが,粒が小さすぎて判別できませんでした.
レンズ状のいわゆる「ばらき」の類が付いている部分の拡大です.周囲の灰桃色部は菱マンガン鉱で,周囲に菱マンガン鉱を伴っていることや,劈開の感じや光沢からパイロクスマンガン石かもしれません.
炭マンのレンズと紅簾石片岩との境界付近の拡大です.淡桃色の菱マンガン鉱が鉱染したような部分に赤色の紅簾石の微晶が含まれていました.左端に脈をなす部分は角閃石類のようです.