顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真117
―輝安銅鉱―
産地:800ft level, Damon and Pythias mine, 3.25km SW of Crosby mountain,
Money Creek mining district, King county, Washington, USA.(非売品).
Chalcostibite 輝安銅鉱
[組成] CuSbS2
[結晶] 直方晶系.自形は平板状.葉片状集合体などになる.脆い.
[色] 鋼灰色・鉛灰色・鉄黒色・黒色.錆びると表面が青紫色や青色,虹
色などになる.
[モース硬度] 3~4
[比重] 4.9~5.0
[劈開] {010}に完全.{001}{100} に良好.
[条痕] 黒色.
次は輝安銅鉱にしました.銅とアンチモンの硫化鉱物で,ラベルをよく見ずに購入した標本です.金属鉱物をする前はマンガンとペグマタイトをやっていて,そのころに入手した標本で,筆記体で記載された古いラベルがついていました.最近になって新しいラベルに付け替えたのですが,標本全体に雲母のような感じのする金属光沢の鉱物が一面についていて,顕微鏡下で詳しく観察したところ,雲母状に見えた金属鉱物が全て輝安銅鉱をいうリッチな標本でした.
本邦では四国三波川結晶片岩に胚胎する層状含銅硫化鉄鉱床に産し,これを切る小規模な輝安鉱脈との反応物として産する..ような記載があった.判定するにあたっていろいろWeb上で国産標本の写真を検索しましたが,引っかかってこず,日本地方鉱床誌四国地方(1973朝倉書店)に優量鉱山のモノクロ写真1枚だけ記載がありました.
上の標本の産地は文献によればDamon and Pythias mineは,1890年頃に発見され開発された.1940年代まで操業されその後に休山したという.脈は2本で方鉛鉱・硫砒鉄鉱・黄銅鉱などを含む鉱石を採鉱し,金―銀も回収したという.
顕微鏡写真を撮るためにふたたび,掃除して埃が付かないように風乾させて撮影しました.
以下,顕微鏡下での観察です.
柱面に条線の発達している結晶が輝安銅鉱です.母岩は灰白色―白色透明の水晶や絹雲母からなっていて一部に細かい黄銅鉱を伴っていました.