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鉱物の顕微鏡写真118 ―灰クロム石榴石―

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顕微鏡写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真118

―灰クロム石榴石―

 

産地:Saranovskii mine, Saranovskaya village, Gornozavodskii district,

      Perm Krai, Russia. (非売品).

 

 

Uvarovite  灰クロム石榴石

[組成]   Ca3Cr2[SiO4]3 

[結晶]   立方晶系.自形は直方十二面体,偏菱二十四面体など.大きさは

       せいぜい3㎜くらいで大きくならない傾向にあり,通常は微細な結の

       ことが多い.

[色]     鮮緑色・濃緑色・緑黒色.

[光沢]   ガラス光沢.

[モース硬度] 6.5~7

[比重]   3.77~3.81

[劈開]   無し.

[条痕]   白色.

[原産地] Saranovskii mine, Saranovskaya village, Gornozavodskii district,

             Perm Krai, Russia. 

ほか,酸に不溶.

 

 

 双眼顕微鏡で眺めていると,鮮やかな緑色で写真撮影にどの部分を撮ろうかと随分悩みました.光沢が強いので,強い光源を使用して撮るとミラーボール状の結晶面に反射して,見た目的にはキラキラしていいのですが,魅力的な緑色が失われてしまうため,自然光や蛍光灯下などいろいろ試しましたが,白色の発光ダイオードの下で撮影しました.標本は原産地標本と云って購入した小さなチップ状のもので,母岩はクロム鉄鉱でした.表面はエメラルドグリーンに近い鮮やかな緑色で,角閃石類や塩酸で方解石をエッチングしたと思われる残りカスがこびりついていました.主な産状として橄欖岩や蛇紋岩などの超塩基性岩中に胚胎する正マグマ性鉱床(クロム鉱床)ですが,一部の特殊なスカルン中に石英や透輝石などを伴って産するという産状も知られているようです.

 

以下は国産の標本です.クロム鉱床のクロム鉄鉱に伴われるものが灰クロム石榴石とある筋から伺ったので,それ以外のロジン岩や蛇紋岩中の細脈に出るものは省きました.

 

 

産地:北海道沙流郡平取町振内町 八田鉱山(非売品).

 

 高品位そうなクロム鉱石を探していた時に,入手した八田鉱山の灰クロム石榴石です.やや青色味がかった黒色の塊状のクロム鉄鉱で,割れ目に紫色の菫泥石や,やや石榴石よりも光沢の鈍い透輝石などを伴っていました.結晶の粒の大きさは上の標本中では約0.5㎜前後のものが多くて,これを超える大きさの結晶はありませんでした.

 

産地:北海道日高郡新ひだか町静内 静内クロム鉱山(非売品).

 

 八田鉱山の標本と同じ時期くらいに入手した標本です.現場は双川ダムの南方にあるペラリ山(標高719m)の南尾根付近にあった鉱山だそうです.標本ラベルは「クロム鉄鉱」と「クロム苦土鉱」の両方が併記されていて,早い話がどちらの鉱物になるかわからないという意のようでした.「灰クロム石榴石を伴う」という走り書きがありました.クロム鉄鉱を切る白色の脈に伴われる灰クロム石榴石で,粒の大きな箇所を探しましたがいずれも0.1㎜未満で,撮影に耐える部分はほとんどありませんでした.上の写真はその中でも大きな粒のついているところを撮影したのですがどうでしょう.

 

産地:福岡県飯塚市八木山 八木山鉱山.(非売品)

 

 塊状に見える灰クロム石榴石です.古い標本でサンプル程度の大きさです.三郡変成岩類に伴われる超塩基性岩中に胚胎する正マグマ性鉱床(クロム鉱床)から産しました.学生の頃に何度か探しに行ったのですが,八木山川の女郎ヶ原橋の下流で塊状のクロム鉄鉱を一つ拾った程度で,現場もわかりませんでした.標本は黒色緻密なクロム鉄鉱中に脈をなす灰クロム石榴石です.

 

産地:熊本県八代市東町 猫谷鉱山(非売品).

 

 こちらも購入品です.塊状のクロム鉄鉱を切る脈中の灰クロム石榴石です.標本の一部に細かい透輝石を伴っていました.

 

産地:埼玉県入間郡越生町如意 関東クロム鉱山(非売品).

 

 筆者が随分前より所有している灰クロム石榴石の標本です.やや青色味がかった蛇紋岩中に,黒色金属光沢を呈するクロム鉄鉱―クロム苦土鉱系鉱物の細かい粒を含む集合を,切る脈をなしています.

 

産地:長野県南佐久郡佐久穂町大日鉱山(非売品)

 

 こちらは交換で入手した標本です.サンプル程度の大きさで黒色金属光沢のクロム鉄鉱を切る薄い緑色の脈をなしていました.一応顕微鏡で覗いてみたところ,細かい結晶の集まりでした.

 

灰クロム石榴石としては色が淡く見える.含クロム灰鉄石榴石かもしれない.

 

産地:高知県高知市福井町鴻の森山(非売品).

 

 聞き慣れない産地名だったので購入した標本です.北側に骨材を採掘する巨大な砕石場があって,現場はこちらかもしれない.やや粒の大きいクロム鉄鉱―クロム苦土鉱―クロムスピネル系鉱物が入っていて,黒色の粒の近くに濃い緑色の灰クロム石榴石がついていました.

 

ひとまず顕微鏡下で確認したところ,倍率を上げたらようやく見える大きさの粒は含まれていました.

 

 

 

 


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