滝めぐり
―竜仙滝(竜仙の滝)―
大阪府高槻市萩谷
今年ははじめの滝めぐりです.以前に摂津峡上ノ口―白滝―萩谷―高ヶ尾山―コンピラ山―黒柄岳―昇尾峠へと縦走したときに,萩谷在所の手前から竜仙滝へ道が延びているので気になっていました.萩谷在所のほうから下ると逆登山のようになってしまうので,通称「ダンプ街道」と呼んでいた安威川沿いの府道の入口から登りました.
ここから登る.駐車位置はここから30mくらい茨木市街側の避け地に停めました.
一つ目の堰堤.道は谷の南岸についていました.
2つ目の堰堤の手前に岩間を流れる渓流瀑がありました.
3つ目の堰堤.古いらしく石積の堰堤でした.
3つ目の堰堤を越えたところにガレ場があって,その少し手前に鉄焼けした石が転がり落ちていましたので,観察しました.
鉄焼けした岩.
焼けた石の表面に,硫化か何かが腐って溶けたようになっていました.黄色っぽいところは緑簾石で,中央の灰緑色放射状集合は灰鉄輝石,その中に濃緑色で微細な緑閃石を含んでいました.上の方に写っている白色柱状ないし板状に見える部分は長石でした.これらの集合に伴って,半分以上錆びた黄銅鉱も一粒だけ確認しました.母岩は砂岩ホルンフェルスのようでした.写真は大岩の表面を接写しました.
ガレ場の中頃から対岸に渡るらしく,道は北岸へと変わりました.
北岸に渡って,少し上ると堰堤がもう一つありました.堰堤の手前に,水路用の橋が架かっているところに一つ滝がありました.
水路橋の下の滝.落差は2m前後か.
水路の横から滝の落水口を見る.
4つ目の堰堤.道は北岸より巻いていた.
道は堰堤の上で再び南岸に渡っていた.渡川のポイントのすぐ下流に,小さな滝(落差1m内外)がありました.
渡川ポイント付近から上流を見たところ.
南岸に渡って道なりに進んでいくと露岩が多くなってきて,南岸からせり出す大岩の横を巻くと滝が見えた.
竜仙滝(竜仙の滝).惜しくも水量がほとんど無く,ただの壁でした.
現地案内板.落水口から滝壺までの落差が13mなら,下にある小滝も合わせれば15mくらいはありそう.
上から下まではこんな感じでした.
ひとまず滝は拝めたので,下山しました.登山口近くの堰堤まで戻って,転石を観察しました.多く目につくのはガレ場で見たような白っぽい砂岩ホルンフェルスで,川ずれした表面に点々と,灰鉄輝石や緑閃石の摩耗されたものが付いていました.黒色の頁岩が多少あって,石灰質の礫を挟むのか白くなっていて,その周辺に肉眼サイズの磁硫鉄鉱や黄鉄鉱を含んでいました.あと少量の流紋岩?あるいは流紋岩質溶結凝灰岩なのかはっきりしませんでしたが,高温石英のはっきりした脈岩が少しだけ見られました.西の篭坊温泉付近から箕面市の梅谷や鉢伏山南尾根くらいまで確認していましたが,さらに東方の茨木市内にもあって驚きでした.摂津峡にも流紋岩質岩の貫入があるらしいのですが,現物は未だに確認していません.
観察を終えて次のところへ向かいました.
以下はルートマップです.いつも通りペイントを使用してフリーハンドで描いているため,縮尺は無視しています.参考程度に.
追記
ガレ場付近の谷でサンプリングした,砂岩質ホルンフェルス中の緑簾石,緑簾石のレンズですが,帰ってからよく掃除して短波紫外線灯で蛍光鉱物が無いか,チェックしたところ,レンズに近い砂岩質ホルンフェルス中にホタル石が入っていました.いずれも無色なうえ脈状で見栄えはしません.