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鉱物の顕微鏡写真112 ―珪亜鉛鉱―

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顕微鏡写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真112

―珪亜鉛鉱―

短波紫外線灯照射下での撮影.

短波紫外線灯をある程度照射した後で,燐光を撮影したものです.

 

産地:Sterling mine,Sterling Hill, Ogdensburg, Feanklin mining district,

       Sussex county, New Jersey, USA.(非売品)

 

 

Willimite  珪亜鉛鉱(珪酸亜鉛鉱)

[組成] Zn2[SiO4]

[結晶]  三方晶系.結晶は六角長柱状ないし短柱状.結晶が集合して束状・放射状・球状・ぶどう状などになる.

[色] 本来は無色.白色・灰色・黄色・灰黄色・レモン黄色・黄褐色・緑青色・灰緑色・淡緑色・淡青色・濃青色・赤褐色・茶褐色・桃色・黒色などの色がある.

[光沢] ガラス光沢~油脂光沢.

[モース硬度] 5.5

[比重] 3.83~4.19

[劈開] {1120}に3方向明瞭.{0001}一方向に乏しい.

[条痕] 白色.

ほか,短波紫外線灯照射下で黄緑色系統の色に蛍光.塩酸で分解など.

[原産地] Altenberg mine, Kelmis, Liège, Wallonia, Belgium.

 

 

 

前回に引き続いての顕微鏡写真シリーズです.

 

 今回はだいたいどこの標本屋の店頭にも,見られる蛍光鉱物である珪亜鉛鉱にしました.20年以上前に短波紫外線灯を購入しました.その時の購入した初めの鉱物標本です.

 短波紫外線灯はどういうわけかUSA産でUVのフィルターは本邦製という,逆輸入に近い電化製品でした.2~3回使用したらもうスイッチを入れても点灯しないという難物で,電池の接触が悪いのか,基板にハンダがうまく乗っていないのか,対処できなかったので,同じ規格の電灯を電気屋で探して電灯以下をすべて国産に変えたところ,現在まで一切の故障はありませんでした.現在も現役で使用しています.

 初めて短波紫外線を照射して,もっとも感動する鉱物の一つかもしれません.実際,筆者もしばらく蛍光鉱物ばかりを集めていました.

 珪亜鉛鉱は亜鉛(Zn)と珪酸(SiO4)からなる単純な組成の鉱物ですが,その割には産出する例が少ない鉱物です.海外の産地は幾つもありますが,本邦では今のところ3箇所で知られています.

 色は本来は無色なのですが,非常にカラフルな色彩のバリエーションがあるようです.

 

以下はそのほかの産地の標本です.

 

蛍光灯下での撮影.

短波紫外線灯下での撮影.

産地:Rat Tail Claim, Wickenburg area,Belmont mountsains,Maricopa county,

       Arizona, USA.(非売品)

 

 以前にフェニコクロアイト(深紅鉛鉱,Phenicochroite)で紹介した標本です.標本の正面に映っている赤矢印の先にその鉱物がついているのですが,まわりが珪亜鉛鉱でした.もともとのラベルは「珪亜鉛鉱」で,Sterling Hill 以外の産地のものを探していたところ,この標本を勧められて購入しました.蛍光写真の帯緑青色部が珪亜鉛鉱で,まわりの赤色はマンガン方解石です.

 この標本にはほかに微細な,フェニコクロアイト(Phenicochroite),ヘミヘドライト(Hemihedrite),ウィッケンバーグ石(Wickenburgite),ヴォークラン石(Vauquelinite)などを伴っています.

 

蛍光灯下での撮影.

短波紫外線灯下での撮影.

産地:Garpenberg Norra mine, Garpenberg, Hedemora, Dalarna county,

       Sweden.(非売品)

 

 以前に自然鉛(Native Leed)で紹介した標本です.自然鉛は標本の右端にへばり付くようについているのですが,この表面には映り込んでいません.母岩自体は石英ですが,少量のリサージ(Litharge)や雲母類,緑閃石,石榴石類,閃亜鉛鉱などを含んでいます.赤く蛍光のあるところはマンガン方解石です.

 

 

蛍光灯下での撮影です.

 

短波紫外線灯下での撮影です.

産地:Dives mine, Silver mining district, La Paz county, Arizona,USA.(非売品)

 

 10年以上前に購入した標本です.1920年代に銀と鉛を採鉱していた鉱山の標本で,「トコルナル鉱」という鉱物名のラベルが付いていました.銀と水銀と沃素からなるハロゲン化鉱物で,塩化銀鉱の黄色によく似た感じの粉状の鉱物でした.母岩に,白色放射状の鉱物が一面についていて,当初は異極鉱と思っていましたが,のちに珪亜鉛鉱とわかりました.短波紫外線灯下で観察すると俄かに緑色味を帯びた青色っぽい蛍光がありました.

珪亜鉛鉱の針状結晶の放射状集合体.顕微鏡下での撮影.

 

別の部分.顕微鏡下で撮影.

 

こちらも別の部分.顕微鏡下で撮影.

 

顕微鏡下のズームを最大にして,カメラのズームで拡大したところ,結晶面に条線が出ているところがありました.

 

 

次は国産品の紹介です.サンプル程度にしか持っていませんが,顕微鏡下では結構見ごたえのある標本になりました.

蛍光灯下での撮影.

短波紫外線灯下での撮影.

産地:栃木県日光市栗山野門 野門鉱山.

 

 購入品です.小さなサンプルなので,あまりたくさんはついていません.母岩の白っぽい部分がそうなのかと思ったら無色の鉱物のようで,短波紫外線灯を照射するまで,どの部分なのかは気づきませんでした.

 

蛍光灯下での撮影です.

短波紫外線灯下での撮影です.

産地:群馬県沼田市白沢町数坂峠.(非売品)

 

 こうちらも購入品です.数年前に数坂峠近くの砕石場からヴァナジン鉛鉱やメラノテク石が見つかったとかで,新春交流会で同地のメラノテク石を購入しました.やや母岩が大きく,周囲に玉髄質の石英を伴っていて,微細な角柱の鉱物が目に入りました.あとでこの鉱物が珪亜鉛鉱だということを知りました.上の写真は先週くらいに短波紫外線灯を照射して顕微鏡下で撮影した写真です.小さな標本ですが,結晶しています.

 

 

 


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