顕微鏡写真
鉱物の顕微鏡写真１１１
―ヴィリオム石―
産地：Aris quarrys, 2680m SE of Schildkröre mountain, Windhoek district,
Khomas region, Namibia.(非売品)．
Villiaumite ヴィリオム石(ビリオム石・弗素曹達石)
[分類] ハロゲン化鉱物
[組成] NaF
[結晶] 立方晶系．自形は立方体．脆い．
[色] 淡桃色・黄色・灰黄色・淡橙色・橙色・黄橙色・赤色・濃赤色・帯橙赤色・
暗赤色・赤紫色．
[光沢] 亜ガラス光沢～油脂光沢．
[モース硬度] 2～2.5．
[比重] 2.79～2.81.
[劈開] {001}に完全．
[条痕] 白色．
ほか，水溶性のフッ化物で人体に毒性があり，ケースや袋内に保存．触ったあとは水洗必要とのこと．ＵＶで蛍光するような記載の文献もあるが，手持ちの標本は蛍光しませんでした．
次はヴィリオム石にしました．前述のとおり水溶性のフッ化物なので，一通り撮影を終えたあとは，頑丈そうなパックにいれました．
上の標本は随分前に当ブログで紹介した「マカタイト」と「テュッパーススアツィア石」の回で使用した標本です．エジリン響岩(Ａｅｇｉｒｉｎｅ Phonolite)の空隙に，塩を吹いた安物の梅干しのようなと表現した鉱物です．
産状はアルカリ岩類に産することが多いらしく，霞石閃長岩質ペグマタイトに多産するらしい．
赤紫色などの赤系の色は自然の放射線による結晶内の欠陥だとかで，ほかの金属イオンの影響ではないそうだ．
周囲にあるお茶漬け海苔のような鉱物はエジリン輝石で，見た目は黒っぽいですが，強い光源のもとで観察すると濃緑色であることがわかります．三枚目の写真はヴィリオム石の結晶内部にエジリン輝石が入っていたので，顕微鏡を最大ズームしたうえで，カメラのズームで倍率を上げて撮影しました．
こちらは同じ標本も別の空隙にあったヴィリオム石です．こちらも塩を吹いたような安物の梅干しのような外観をしています．
多少の橙色味を帯びています．黒っぽく映っているのはエジリン輝石．結晶の手前にある白色板状の鉱物は不明．当地から白色板状の鉱物は何種類かあって判別できませんでした．
こちらも同じ標本の別の空隙にあった結晶の集合体です．黒色針状はエジリン輝石．白色石榴石様に見えるのは方沸石．
標本をもう一つ紹介．
産地：Point of Rocks quarry, 1km W of Point of Rocks Mesa mountain,
Springer, Colfax county, New Mexico, USA.(非売品)
こちらも，エジリン響岩中のヴィリオム石です．もともとマンガン海王石(Mangan-neptunite)のラベルが付いていた標本です．灰白色の母岩中に赤紫色を呈する粒状で入っていました．標本の裏面に風化した面があり，水溶性のこの鉱物が溶けて抜けた跡がたくさんありました．濃緑色部はエジリン輝石です．ラベルにあったマンガン海王石は赤褐色―帯橙赤色でやや光沢の強い短柱状ないし粒状で入っていました．