親子滝 三重県伊賀市山畑滝川
二位の滝 三重県伊賀市山畑滝川
滝めぐり
―二位の滝―
三重県伊賀市山畑滝川
親子滝の少し上の二位の滝に行きました.直線距離でわずか50m前後の上流にある滝です.標識があるので入口にすぐにわかりました.
ここから川原に降りていくと滝でした.
前方左手の尾根を回り込む.
二位の滝.高さ6m前後のナメ滝でした.上にもう一段あるようでさきにそちらへ向かう.
上の一段の滝? 高さは50cmくらい.
こちらは中段.
下の方です.
横から.
滝の落水口の少し上に橋がありそこから写しました.
滝自体は岩脈のようで対岸に断層のようなものがありました.川床の花崗岩にアプライトが貫入している部分もありました.
アプライト岩脈.白っぽい部分.灰色がかっているのは黒雲母花崗岩.
それから対岸から流入してきている谷にも滝があったので,足元に注意して寄ってみました.
対岸にあった滝.水量があればそれなりの滝に見えるのですが,支流は水量が少なかったのか,この程度でした.3段になっているようで,15mくらいはありそう.
上の方.
中頃.
下の方.こちらの方がいい感じに苔むしていました.
このあと さらに上流に滝に向かいました.
以下,滝周辺のマップです.いつも通りペイントを使用してフリーハンドで描いているため縮尺は無視しています.参考程度に.
白藤の滝周辺図.
二位の滝周辺図.橋の下の滝が二位の滝.
三寶の滝 三重県伊賀市山畑滝川
滝めぐり
―三寶の滝―
三重県伊賀市山畑滝川
二位の滝を辞して,更に上流の滝に向かいました.二位の滝の上で東岸に林道が渡り,その先の端で西岸に渡ってヘアピンカーブを越えた先の尾根の鼻辺りに入口がありました.古くから知られていたようで,石碑が残っていました.
入口.
車を路肩の空いたところに適当に停めて,標識の横の径を下って行きました.
しばらくこんな下りが続く.
この先で折り返して,川原の方へ下って行った.
ようやく川原に降りた.
これが三寶の滝か? Web上のサイトで見た滝を同じでした.ナメ滝で古くから知られている割には.. と云った滝でした.(下の周辺図で①の場所.)地形図で見ると,尾根の鼻を中心として,三方から谷が流入しているようでした.上の写真は北西から流入する谷.北東から流入する谷にも,水は少ないですが,ナメ滝がありました.
北東から流入するナメ滝.水量があればそこそこの滝に見えると思う.(下の周辺図で②の場所)
あれば,最後の一つ,南東から流入する谷にも滝があるかもしれないので,そちらに行ってみました.
南東から流入する谷の滝.水は全くと言っていいほどありませんでしたが,水があればそれなりの滝に見えるだろう.(下の周辺図で③の場所)
3つで一つじゃないのかという疑問がわいてきた.尾根の鼻を中心にして三方の谷に滝があるから,三方の滝を文字って「三寶の滝」したのではないかと思う.2つの滝は水量があるときに再訪したい.
このあと,帰り際にもう一つ滝に寄りました.
以下,三寶の滝の周辺図です.いつも通りペイントを使用してフリーハンドで描いているため,縮尺は無視しています.参考程度に.
補陀落の滝 三重県伊賀市西高倉大杉谷
滝めぐり
―補陀落の滝―
三重県伊賀市西高倉大杉谷
滝川の滝群を辞して帰り際に寄りました.御斎峠を越えて信楽に抜ける予定でした.高倉神社の対岸を北上し旧道との出合の先に,もう一つ旧道との出合に入口がありました.旧道は出合に車止があって,この前に駐車しました.
現地,案内板.
案内板の横から橋の下の方に下っていく小径に入っていきました.
手すりは付いていますが,足元が雨あがりの場合,ズルズルすべるため注意.
橋の下を潜ると目的の滝がありました.
補陀落の滝.落差は3mくらいか.いい感じに苔むした滝でした.
上の方.
下の方.
少し離れて.
離れてくと,下の方にもう一つ滝がありました.うまく両方が入るように映りました.
この後,帰途に就きました.
以下は補陀落の滝の周辺図です.いつも通りペイントを使用してフリーハンドで描いているため,縮尺は無視しています.参考程度に.
いくつかの研磨した石201
いくつかの研磨した石201
三重県亀山市関町加太川の変成岩を一面研磨しました.前回の滝めぐりのときにサンプリングしました.変成岩と岩石名を特定せず書いたのは,片麻岩質なのか,ホルンフェルスなのかはっきりしないためです.
現場の河原は主に領家帯の花崗岩が多く,次にこの変成岩でスカルン,珪岩の順でした.ほかにも区別の難しい岩石がいくつかありました.変成岩はたくさんありましたが,肉眼で菫青石が入っているものだけ選ってサンプリングしました.半分に割った石を一面研磨しました.
(研磨)泥質の変成岩なのでチャートほど硬くないだろうと,磨り始めました.途中で磨るのを中断して,研磨面を観察したところ丸い凹凸があり,ここに石榴石が入っていました.サンプリングしたときには気づきませんでした.石榴石の量が思ったより少なく,凹凸を感じないくらいに平滑にできました.
仕上げは#1000のペーパーで中砥ぎしたあとに黄白色の天然砥石で光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡写真です)
赤い部分は鉄礬石榴石.
白い部分は石英でその中の黒褐色部は黒雲母です.
赤褐色部は鉄礬石榴石,黒褐色部は黒雲母.灰緑色部は菫青石から変質した緑泥石(桜石の模様にはなっていない).
以下,石榴石の拡大です.
石榴石のリムとコアの色の濃淡が異なるように見えた.内部は異なる種の石榴石かもしれない.
そのほかの鉱物.
菫青石.多色性があるようであまり分解していない.
こちらは珪線石(Sillimanite).白色で繊維状しているので一目でわかりました.
黄銅鉱.変成岩を切る石英脈中に含まれている粘土鉱物からなるレンズ中にごく少量ありました.上の方についているのが黄銅鉱で,右よりの正方形に見えるのが黄鉄鉱でした.
いくつかの研磨した石202
いくつかの研磨した石202
京都府南丹市園部町口司 口司鉱山の菱マンガン鉱―アレガニー石からなる鉱石を一面研磨しました.口司鉱山は亀岡市との市境界にある八ヶ尾山の北斜面にあった鉱山です.南にある行者山花崗岩に近く,この付近の堆積岩はホルンフェルスになっているようです.鉱山の西にある国道477号の殿谷トンネルの工事中に,黒雲母ホルンフェルスが大量に出て,光に反射してキラキラしていました.トンネルの工事中は筆者の高校生の頃で,当時はまだ峠の旧道を通っていました.口司側のトンネル出口東側にトンネルから出た土砂が積んでありました.
現在はトンネル工事も終わり,峠を通っていた国道もトンネルの方になり,旧道はフェンスで封鎖されました.口司鉱山へは高校の時に2度探しに行きましたが,見つけることが出来ませんでした.そのあとしばらく経ってから見つかりましたが,上の標本を入手したため,いまだ訪問できていません.
上の標本は購入品です.サンプル(ロカリティサンプル)として一つは置いておこうという方針から購入しました.表面にラメのようにキラキラ反射する鉱物がついていて,ルーペで観察すると鉱石を切る石英脈中に白雲母がたくさん入っていました.グライゼンのような石英脈で,どこかに金属もいるかもしれないので,裏面を磨ってみることにしました.
(研磨)基本的に炭マンなので,石英が混入しているものの量が少ないことや白雲母を含んでいるため,容易に磨れそうと予想して磨り始めました.いつもは比較的平坦な面を選んで研磨するのですが,層状になった部分が1面しかなかった.凹凸の起伏があるがやむを得ず,おおきな凹凸のあるこの面を研磨しました.
はじめに一番尖って出っ張っている部分から,標本の正面と肉眼的に並行になるようにして磨りました.硬い鉱物の集合なら途中で頓挫してしまうところでしたが,この石は予想通り軟らかい石でしたので続けて研磨出来ました.
標本の左右から異なる方向へ磨ったため,中央に角が出来てしまいました.はじめからそれを予想していましたので,角を取って両端に研磨面が合うまで削りました.両端と真ん中の角の部分が合うと,標本の正面と肉眼的に並行になって粗削りを終えました.
仕上げは#2000のペーパーで軽く磨った後に,黄白色の砥石で磨ると光沢が出てくれました.
(以下顕微鏡下での観察です)
黄色っぽい白色は主に菱マンガン鉱からなっています.その中に灰桃色のアレガニー石を含んでいます.
さらに拡大しました.
ぼやーっと鱗状に見える淡桃色部が菱マンガン鉱です.アレガニー石は右上の端の方に少し入っていました.
黄鉄鉱です.どこにでもできる鉱物です.
かなり小さく,粒がはっきりせず写ってしまいました.肉眼的には劈開のある黒色の粒で,閃亜鉛鉱でした.周りの灰桃色はアレガニー石,白っぽく写っているのは菱マンガン鉱です.
鉱石を切る石英脈中の白雲母です.石英脈の中央にはあまり無く,鉱石と接する面に生えているように見えました.
以下は鉱石の研磨面ではない表面の拡大写真です.
灰桃色―淡褐色部がアレガニー石です.
金属は黄鉄鉱と閃亜鉛鉱だけかと思っていましたが,黄銅鉱もありました.銀白色に光って見えるのは黄鉄鉱.
閃亜鉛鉱.かなり小さいですが,劈開があったため閃亜鉛鉱と判断しました.
石英脈中のやや肥大した部分に入っていた肉眼的な白雲母です.白雲母はこの部分だけではなく,石英脈が切っている部分に普通に伴われていました.
加太川河原にて 二回目
志南谷の滝 滋賀県甲賀市土山町大河原
加太不動滝1 三重県亀山市関町加太
滝めぐり
―加太不動滝― ―1―
三重県亀山市関町加太
加太川河原を経て,国道25号線(旧道)沿いの大きな採石場の横にある谷の林道に大きな道標がありました.林道の入り口に車止めがあって,先週に来たときは時間に都合上寄れませんでした.今回は往復できました.
この横から入った.
谷の入り口付近の渓流です.
暗い植林の中を上っていくと視界が開け,採石場跡がありました.ホルンフェルスを稼業したようで硫化鉄が割れ目に走って,その部分が分解し瓦状にはがれるように割れていました.地形図にガレの記号があってこれが採石場だったとは気づきませんでした.ハンマーもなければルーペも持っていなかったので,割れ目に吹いた二次鉱物は観察しませんでした.
採石場の先に一つ滝がありました.
滝.4mくらいか.灰黒色のホルンフェルスの割れ目を滑っているようでした.
上の方.
下の方.
さらに上流へ進みました.一応,花粉の薬は飲んでいましたが,上流に向かうほど辛くなりました.
先ほどの滝の先に廃道と化した林道との分岐があり,見送りました.出るところは同じのようです.
その先の渓谷です.
旧林道との出合.小さな斜瀑がありました.落差は2m前後というところか.
林道は東岸に渡って,左手に堰堤を見て上っていくと,三叉路があり,その先が小さな広場になっていて終点でした.「不動滝」の標識があり,滝はこの奥でした.
2に続く.
加太不動滝2 三重県亀山市加太
滝めぐり
―加太不動滝― ―2―
三重県亀山市加太北在家 椿谷
前回の続きです.
椿谷林道の終点までやってきました.「不動滝」の標識の横から谷筋の径へ入りました.
入口.
2度鉄橋を渡ると大日滝との分岐でした.
2つ目の鉄橋から.
分岐.
大日滝へ行こうと思ったが,水量多く,はじめの小滝が越えられませんでした.沢登の装備をしていなかったため断念しました.
不動滝へ.2つ鉄橋をこえると滝への道標があり.径は先の木橋でまたもや水量が多くいけませんでした.
少しでも見られたらと思い,滝を巻く登山道を登り,左斜め上から少しだけ見ることができました.
不動滝.本来は下から拝みたい.水量の微妙な時を狙って再訪したい.
不動滝が中途半端に終わったので,下から3つ目と4つ目の鉄橋の下にある小滝をカメラに収めました.
下から3つ目と4つ目の鉄橋の下にある小滝.岩陰から覗く感じの良い写真になりました.
時間もあまりなかったのでここで引き返しました.林道終点の少し手前の三叉路近くまで来て,ブラブラ下っていると,東側斜面がガレていて,日光でキラキラ光る石が幾つか見られました.大理石でした.比較的大きな劈開の確認できる大理石で,向いの堰堤の川原にもいくつか転がっていました.しかし鉱物は大理石を構成する方解石だけで,ほかのスカルン鉱物(石榴石やサーラ輝石・ベスブ石など)は見つけられませんでした.
この後,帰途に就きました.
以下,椿谷の周辺図と不動滝付近の図です.いつも通りペイントを使用してフリーハンドで描いているため,縮尺は無視しています.参考程度に.
椿谷周辺図.
不動滝付近の図.
細滝(細滝川不動の滝) 奈良県奈良市下深川町
滝めぐり
―細滝(細滝川不動の滝)―
奈良県奈良市下深川町(旧都祁村)
加太不動滝を辞して,名阪国道を西進した.春日ICで県道に降りて帰途中に寄れそうなところを探しました.手持ちの地図を広げていると,細滝(細滝川不動)を記入していました.行く道は狭そうですが,寄って見ることにしました.
予想通り狭い道でしたが,かなりの通行量があるらしい.暗い植林の中を登って行くと,対岸にお不動さんの入口がありました.小橋があって,これが渡ると結構揺れました.
入口.
現地案内板.
入口の標識以外は特に道標などは無く,進行方向右手の沢に沿って少し登ると滝でした.
植林の中を登る.
ナメ滝の横を登って行くと,奥に目当ての滝が見えています.
細滝(細滝川不動の滝).7~8mくらいか.岩盤の上を滑り落ちる滝でした.ちょうどくらいの水量でした.
上の方.
中の方.
下の方.
横から.
沢にあった石は領家帯の花崗岩のようで,滝の前にあった石が二酸化マンガンで焼けていた.マンガン酸化バクテリアの仕業か.
ここで今回の滝巡りは終了としました.
以下は,細滝(細滝川不動の滝)付近の図です.いつも通りペイントを使用してフリーハンドで描いているため,縮尺は無視しています.参考程度に.
左の滝マークが手前にあったナメ滝.右が細滝(細滝川不動の滝です).一応,滝の上の方もみてきましたが,そういった地形はみませんでした.入口には標識がありますが,奥にはありません.
いくつかの研磨した石203
いくつかの研磨した石203
京都府京都市伏見区醍醐北端山 醍醐鉱山のパイロクスマンガン石を一面研磨しました.醍醐の三宝院の北側の谷を詰めたところにあった層状マンガン鉱床です.15年くらい前に訪問した際にサンプリングした標本です.珪岩中に鉱染した貧弱なパイロクスマンガン石で,削りやすいところを探して,研磨しました.
(研磨) 珪岩中の炭マンなので珪岩の部分が硬いと踏んで,磨り始めました.部分的に二酸化マンガンが入っているせいか,比較的早く磨りあがりました.
仕上げは,黄白色の砥石でしました.
(以下,顕微鏡写真です)
ピンク色部がパイロクスマンガン石です.
黄色部は満礬ザクロ石でした.
結晶質なパイロクスマンガン石の拡大写真です.黒色部は二酸化マンガンの染みです.
満礬石榴石です.ネオトス石かと思いましたが石榴石でした.
淡紅色でボヤーっとした感じの菱マンガン鉱です.黒色部は二酸化マンガンです.黄色は少量の鉄分を含むためと思われます.
脈状のパイロクスマンガン石です.この集合中で最も紫色がかっていました.
いくつかの研磨した石204
いくつかの研磨した石204
三重県亀山市加太金場 加太川川原露頭の灰礬石榴石を一面研磨しました.今月のはじめに2週連続で観察しに行ったときにサンプリングした石の,成形カスを研磨しました.褐色―赤褐色系の色を呈する塊状の灰礬石榴石からなる石で,肉眼的には均質に見える石でした.粒がやや揃っていてあまりほかの鉱物を混入していないため,硬いが磨り易いだろうと思って研磨にしました.
現場はこの河原です.前々回行ったときに撮影しました.右手前が上流方向,中央やや左が下流方向です.
(研磨)前述どおり,粒が揃っているので研磨は早く仕上がりました.石榴石以外の鉱物は多少含まれていましたが,これより硬度が低いため手間は取りませんでした.仕上げは黄白色の砥石でしました.黄白色の砥石は風化が中途半端で少し硬いので刃物用には向きませんが,一面研磨した石には向いているようで少し磨ったら光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡下での観察です.)
淡褐色―褐色―赤褐色部が塊状の灰礬石榴石です.
以下,更に拡大しました.
灰礬石榴石(Grossular).色が淡い方が純粋に近いと思われる.色の濃い部分は鉄分やマンガンの影響で着色しているものと思われる.
透輝石(Diopside).肉眼的に透明感があまり感じられませんでしたので,サーラ輝石とつけておいた方がいいかもしれません.母岩の諸所に見られる空隙に微細な結晶が含まれていました.
柱石(Scapolite).おそらく灰曹柱石と思われる.塩酸で反応が殆ど無いためで,灰柱石成分が多いと,塩酸から上げてみると海綿のように穴だらけか一部が欠損したような感じになってしまいました(宮崎県日之影町黒仁田林道産の灰柱石).ここのものは塩酸で処理したところ,ガラス光沢がしっかり判るキレイな柱状結晶が現れました.白色柱状部が柱石.淡緑色部が透輝石.淡褐色―褐色―赤褐色部は灰礬石榴石です.
いくつかの研磨した石205
いくつかの研磨した石205
兵庫県朝来市(旧朝来町)納座 金里鉱山のばら輝石を一面研磨しました.地名は「かなさと」ではなく「かなり」と読むらしい.地形図上で旧朝来町納座の卍(お寺マーク)の南東直距離約1190mの谷付近にあった鉱山です.近くに同じような鉱床の青倉鉱山があるらしいのですが,位置がはっきりしませんでした.青倉神社の直下の旧参道に別の青倉鉱山があり,こちらは生野鉱山に似た金属鉱床で,自然銀や斑銅鉱・閃亜鉛鉱・黄銅鉱・方鉛鉱・石英・灰重石などを産しました.別の文献で青倉鉱山の項にマンガン以外に銅鉱床もあるというような記述があり,ややこしい.青倉神社の直下にある青倉鉱山ではマンガンは全く見当たりませんでした.あるのは金属ばかりでマンガンの気は感じられませんでした.金里鉱山はこの青倉鉱山と尾根を挟んだ至近の距離にあり,かつては青倉鉱山のマンガン鉱床として鉱山の一部に時代もあったのかもしれない.
現場は汚いばら輝石ばかりでした.金属はマンガンの絡みのない塊状の磁硫鉄鉱がありました.同じ坑道から出たのかは不明で,鉱山の前の沢筋は古い峠道のようで,前出の青倉鉱山を鉱石の搬出路にあたったのかもしれません.
上の標本は初めて行ったときにサンプリングした石です(1回しか行ってませんが).繊維状のばら輝石でしたので非常に堅く成形しづらい石でした.裏面に二酸化マンガンの酸化被膜が一面に覆っていたのでこの面を研磨しました.
繊維状のばら輝石(部分拡大しています).繊維の粗い部分はやはり堅いので歪な形になってしまいました.
(研磨) 肉眼的にばら輝石だけの集合なので,非常に硬いと踏んで磨り始めました.磨って行くと案外柔く菱マンガン鉱が混入しているようでした.試しに破片を熱塩酸で炊いたところ激しく発泡したのを確認しました.菱マンガン鉱のようです.粒の粗いばら輝石の粒間を菱マンガン鉱で埋めているような産状でしたので,もっと粗いものを探して塩酸で炊いてみると結晶が得られるかもしれない.次回の探索で課題としたい.
炭酸塩が入っているので,平滑にするのはそんなに時間はかかりませんでした.平滑になったので,中削りで#1000の砥石で少し磨ったあとで,仕上げに取り掛かりました.
いつも使用している黄白色の砥石で磨っていたのですが,明らかに砥石が負けているので,中途半端に風化した硬い青砥に替えて磨り始めました.
青砥に替えてから多少時間を要しましたが何とか光沢が出てくれました.細かく表面を観察すると,粗いばら輝石の部分だけ光沢が出て,間隙を埋めるように入っている菱マンガン鉱が凹んでいるようになっていました.見た目にはまっすぐになっているように見えるんですが,細かくみるとムラができていました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
ばら輝石(帯褐紅色)と菱マンガン鉱(淡桃色)が主体のようです.菱マンガン鉱はやや光沢のないボヤーっとした淡紅色で,不定形塊状で入っているようでした.黒色部は割れ目に染みた二酸化マンガンです.諸所に鉱石を切る脈は石英で,かなり細かい雲母類を伴っていました.
この鉱物の集合の一部にかなり結晶質なばら輝石の部分がありました.結晶の間に二酸化マンガンに染みが入り込んでいます.
こちらも結晶質なばら輝石の部分の拡大です.上の写真のすぐ近くにありました.
磁硫鉄鉱です.黄鉄鉱はこの石には,たまたまとは思いますが入っていませんでした.
最近の店内 ―2020年3月中旬―
最近の店内
―2020年3月中旬―
今年の冬はそんなに寒くなく,雪も少ないのですが,目立ったところには行けずじまいでした.今朝,いつも通っている用水路沿いに,木瓜の花が2分咲きくらいになっていました.足元に目をやると土筆も出ていました.
今年は花粉がそんなに辛くないのでほっとしています.巷ではケッタイで難儀な疫病が流行っていますが,動かないと何も始まりませんので,出来るところからやっていっています.
最近になって,二階に積んでいるストックより商品を出してきています.化石コーナーが若干充実してきました.もともとあまり化石はやっていませんでしたが,質問されたときに答えられないと,気まずいので身近なところから覚えていきました.まだ丹波帯の石灰岩や神戸層群付近くらいしかやってませんが,いづれは和泉帯のほうまで足をのばしたいと思っています.
化石屋さんのような受け答えはまだまだですが,以前よりずいぶんマシになったように思います.
足原谷の滝 滋賀県東近江市政所町
滝めぐり
―足原谷の滝―
滋賀県東近江市政所町
先日,川原遊びを兼ねて滝めぐりに行ってきました.先日に降った雪が邪魔するかと思いましたが,林道の横に少し残雪がみられる程度で,目的の現場まで行くことができました.目的のモノは石英脈中の磁硫鉄鉱や灰重石で,ほかマンガンもあると云い,少し谷を詰めましたが,張り出した岩場のところに倒木があってこれ以上先には進めませんでした.ヤマビルの食害も考慮して途中で引き返しました.
目的のモノは見られませんでしたが,転石で菫青石ホルンフェルスと輝石ホルンフェルスがみられました.菫青石ホルンフェルスは不完全な菫青石でしたが,一部に紅柱石を伴っていました.ほかに緑色岩化した玄武岩がありました.円形の空隙に炭酸塩を伴う岩石でした.少しサンプリングして塩酸で処理すると,思った以上に発泡せず,殆ど沸石の様でした.一部に自形結晶がみられる孔があって,方沸石である事を確認しました.ほかの部分に球状の輝石?があって内部は方解石でした.
近くの河原に降りて観察したところ,御池岳の方から流れてきたと思われる石灰岩が大量に見られました.次に多いのが前述のホルンフェルスで,そのあとホルンフェルスにスカルンを噛んだもの,層状チャート,それからどこから流れてきたのか流紋岩質岩,前出の玄武岩,黒雲母花崗岩などがみられました.また数は殆どありませんが,蛇谷の銀山?から流れてきたと思われるカラミを1つ拾いました.
鉱滓(カラミ).茶屋川流域.
川あそびから帰りに往路でチェックしていた滝に寄りました.国道421号蓼畑の道の駅から愛知川沿いに少し下ったところに,少しだけ旧道が残ったところに一つ滝がありました.
半分以上ヤブになった旧道の橋.
足原谷の滝.段瀑で20m位だろうか.下の方がいい感じに苔むしていました.
上の方.
その下.
中段.
その下.
下の方.
地質図で見るとこのあたりは南東から花崗岩類が貫入している接触部のようで,転石に何か落ちていないか探しました.谷の上流に試掘坑があったとかいう話も以前から耳にしていました.下の滝を上がったところでホルンフェルスがありましたのでサンプリングしました.
褐色の脈が幾つも貫いていて,その部分に変成鉱物が多少見られました.以下はその顕微鏡写真です.
透輝石.本来はサーラ輝石とすべき鉱物(劈開の部分).灰緑色でやや境界のはっきりしない粒状は,一面研磨して石榴石類と判断しました.
黒色繊維状部が緑閃石です.灰緑色部は石榴石類でした.
このあと,次の滝に向かいました.
以下は滝のアクセスマップです.いつも通りペイントを使用してフリーハンドで描いているため縮尺は無視しています.参考程度に.
黒谷の滝 滋賀県東近江市政所町
滝めぐり
―黒谷の滝―
滋賀県東近江市政所町
前回の続きです.
足原谷の滝を辞して,少し下流にある黒谷の滝に行きました.直線距離で50mくらいしか離れていないようでした.
谷の入口にある標識.谷の名称が1本ずれているような..足原谷の表記が無い.現在地も少しずれて居る.本来の黒谷は小仏谷のあるところの谷で,足原谷は黒谷の場所にあたる.
標識の横に2段の滝がありました.
黒谷の滝.2段で10mくらいか.水量は少なかったため,量が多ければそれなりの滝に見えるだろう.
上の方.
中頃.倒木でよく確認できず.
下の方.
さらに少し下流の小仏谷にも,車道に面して滝がありましたので,寄って見ました.
滝の位置マップです.前回と同じマップを掲載します.
小仏谷の滝 滋賀県東近江市九居瀬町
萱尾 不動滝 滋賀県東近江市萱尾町
滝めぐり
―萱尾 不動滝―
滋賀県東近江市萱尾町
前回の続きです.
小仏谷の滝を辞して,愛知川に架かる越渓橋を東岸に渡る.この先に大滝神社があり,往路のときに先に寄っておこうと思いましたが,10t車の往来が激しい上に,道幅が狭いので帰りにまわしていました.
大滝神社の北東方向の車道を挟んだ東側に谷があり,そこに滝がありました.
萱尾 不動滝.落差は5~6mというところか.水量やや少なめで,いい感じに苔むしていました.写真は谷に架かる国道の橋の上より撮影しました.神社からなら下から拝めるようですが,日没が近いため今回は帰途に就きました.
上の方にある小瀑.
下の方.
今回の滝巡りを終了しました.
滝の位置マップです.前回に引き続いて同じマップを転載します.
いくつかの研磨した石206
いくつかの研磨した石206
京都府相楽郡和束町門前 和束鉱山のアレガニー石―テフロ橄欖石からなる石を一面研磨しました.ほぼ10年前に訪問した際にサンプリングした標本です.
鉱床は和束町と南山城村に,跨る三ヶ岳(標高618m)の南西の谷にありました.南北に連なる三ヶ岳の稜線のすぐ東に花崗岩体があり,これによって熱変成を受けたマンガン鉱床です.
(ここから野帳を丸写しです)和束町杣田から南山城村童仙房まで延びる林道の路肩に駐車し,茶畑の中を通る林道を経て,訪問しました.林道は西に延び,その先の尾根を回り込み,東へ伸びていました.東の進んだ後に谷沿いに大きくカーブして,谷沿いに道は下って行っていました.林道が大きくカーブしたところが変則的な交差点で,東の沢沿いに入る林道を採って,数十メートル進んだカーブから谷沿いの径を進みました.林道は谷沿いから離れて尾根に行く様でした.谷は林道から離れたところで淵のようになり,小さな滝を越えると,その先は二股で,ダダ広い感じの場所になりました.向かって右手の谷はマンガンのありそうな感じは無かった.左の谷の上部がやや急峻で,(鉱床が)あるならこっちだろうと,向かって左側の谷を選択しました.
二股から少し進むと岩壁が出てきて,いかにも(マンガン鉱床が)ありそうな雰囲気がでてきました.右手に炭焼きの窯跡をみて少し進んだ西側に坑道が一つありました.倒木がじゃまをしていましたが,坑口から坑内水が滲み出てきて,坑前は湿地のようになっていました.ズリは多少あってばら輝石が良くみられました.珪岩中に入ったばら輝石が多く,ほかに灰白色の珪岩中に細かい石榴石が挟まったものがありました.一つだけテフロ橄欖石中に園石様の鉱物が入った石をサンプリングできました.
帰ってから標本にしたのは,下線を敷いた石です.後で当地のキレイな園石はアレガニー石だと仰る方がいて,アレガニー石に標本名を変更しました.
永らく産地標本として置いていましたが,裏面にあたる面が一面の二酸化マンガンに覆われていたため,この面を一面研磨にまわしました.
標本の正面です.赤紫色がアレガニー石です.
(研磨)やや結晶質な珪酸マンガン鉱物の集合なので,非常に硬いことを前提に磨り始めました.標本の真ん中に風化して分解した部分があり,この部分が柔らかいため,思った以上に早く磨り上がりました.仕上げは青砥で軽く磨ったあとで,黄白色の砥石でしました.
(以下,顕微鏡下での観察です)
アレガニー石の脈の拡大です.赤紫色のやや粗い脈状をしています.斜めに切る白色の脈は菱マンガン鉱のようです.灰緑色部はテフロ橄欖石.
帯紫褐色の園石?の拡大です.風化して分解しかかった褐色の部分を仕上げのため少し掘り進むように研磨していたところ,やや新鮮な部分が出てきました.上の方に赤紫色のアレガニー石がいます.帯紫褐色の部分は他の産地のもの(和束町附近の園石の標本は,原産地の園鉱山,同町桜谷鉱山,加茂町法花寺野,井手町多賀鉱山のものがある.いろいろな産地の標本を持っていると,こういう時に指標になるので集めていました.)と比較していると,このアレガニー石よりもはるかに色の悪い部分が園石らしい,という結論に達した.黄色い部分は,分解物.灰白色―淡紅色は菱マンガン鉱.
閃マンガン鉱.磨っているときにこの鉱物の存在は,くっさい硫化水素の臭いで判っていました.本来は鋼灰色ですが,写真の部分は錆びたのか多少青色味がかかっています.
マンガンスピネル.研磨する前にネオジム磁石で磁力テストをしたところ,ある程度の磁力があり,ヤコブス鉱を含んでいるんだろうと,予想していました.磨り上げて顕微鏡観察に移ったところ,磁石に反応があった部分が,幾分緩くなった感があり,詳しく観察したところ,写真の黄褐色部に弱いですが磁力があることが判りました.ほかの産地のヤコブス鉱は鋼灰色金属光沢のものが多く,この手の色のものは余りありませんでした.ヤコブス鉱とマンガンスピネルを含む標本は,前者が本邦で始めに記載された佐賀県厳木鉱山の標本でした.それも矢印で指示されているマンガンスピネルの箇所は上のような半透明のガラス光沢をしていたので,色と光沢,透明度に少々の磁力でマンガンスピネルに同定しました.
テフロ橄欖石.粒が粗く青色に近い部分を探して撮影しました.テフロ橄欖石の粒が判る写真になりました.結晶があればいいのですが,いまのところ見ていません.黒色―鋼灰色金属光沢の粒は閃マンガン鉱です.