Quantcast
Channel: 天然鉱石専門店 ミネラルショップ たんくらのブログ
Viewing all 1632 articles
Browse latest View live

いくつかの研磨した石186

$
0
0

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石186

 岩手県宮古市上根市 第二根市鉱山のドロマイトスカルンを一面研磨しました.たまたまほかの石を値付けしていた時に,元ラベルに「ヒューム石」と記載があって矢印がつけられていました.類似の単斜ヒューム石やコンドロド石,ノルベルグ石とほとんど見分けが付きませんでした.

 これでは問われたときに返答に困るので,海外のサイトや文献に頼って色々調べてみましたが,単斜ヒューム石とヒューム石の見分けは無理でした.コンドロド石だけが色が濃く,柱状になるのはあまりなく,ずんぐりとした粒になる傾向があるようで,産地によっては指標になりそうでした.

 そこで,手元にあるほかの標本を研磨してほかに指標にでるきような傾向は無いものかと,磨ってみました.標本は10年以上前に池袋のショーでサンプル購入したものです.

標本の裏面はこんな感じです.

 

(研磨)基本的には炭酸塩の集合に少量のケイ酸塩が混じっている程度なので,一気に磨り上げました.仕上げははじめに黄白色の砥石でしていたのですが,思うように光沢が出ず,青砥でも出ませんでした.中途半端に風化したホルンフェルスで光沢が出始めたので,逆に硬いチャートで磨ると光沢が出てくれました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です.)

 

 

 

 

輪郭のはっきりしない黄色の部分は苦土橄欖石でした.硬度があるらしくこの部分が反射がありました.白っぽい部分はドロマイトスカルンの母岩.黄色く輪郭のはっきりしているのがヒューム石グループの鉱物です.海外のサイトなどを参考にしていると,類似のいくつかの鉱物は,ほぼ色では判別できないようです.

 

 

この集合で肉眼で分かりそうなのは,上のスピネルくらいでした.磁力のない磁鉄鉱のようにみえ,八面体の微細な結晶になっているのもありました.顕微鏡で拡大すると,内部に黒色の内包物があるようで,色の濃いところと薄いところが顕著な粒もありました.また八面体の結晶に接して,黒い短冊状の鉱物ができているところもありました.この産地では似た外観の硼酸塩のルドウィヒ石の算出が知られていますで,これかもしれません.

 

 

 

 

 

 


鉱物の顕微鏡写真72 ―ベスブ石―

$
0
0

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真72 

―ベスブ石―

 

産地:Sierra de Cruces, Mun. de Mojada, Coahuila, Mexico.(非売品)

 

Vesuvianite  ベスブ石

[組成]:Ca19Al11(Mg,Fe)3[(OH,F)10|(SiO4)10|(Si2O7)4

[結晶系]:正方晶系.

[色]:黄白色・灰黄色・黄緑色・褐緑色・青緑色・灰緑色・緑色・淡青色・茶褐色・

   橙色・桃橙色・淡桃色・褐桃色・深赤色・赤褐色・赤紫色・黒色.

[光沢]:ガラス光沢.塊状のものは鈍くなるように見える.

[晶癖]:四角柱・四角錐・繊維状.ほか放射状集合や塊状になることがある.

[モース硬度]:6.5

[比重]:3.32~3.43

[劈開]:{110}に2方向に乏しい.{100},{001}二方向に不完全.

          劈開無しの文献もあった.

[条痕]:白色.

[原産地]:Monte Somma,Somma-Vesuvias complex, Neples,Campania, Italy.

ほか,アイドクレース(Idocrase)ともいう.

 

 

  顕微鏡観察シリーズを久々に更新します.今回はベスブ石にしました.以前にマンガン置換体のマンガンベスブ石を,色彩が美しいという基準だけで書きました.

 この石との出会いは25年以上前で,中学生の頃でした.簡単な図鑑に大した元素も入っていないのに,やたら組成の長ったらしい鉱物が載っていて,なんちゅーもんやねん..と思っていました.いつだったか講演会である先生が,ベスブ石の組成を何も視ずに,板書されて歓声が上がったことを覚えています.

 

 スカルン中に普通に産することが,野外へ出ているうちに判って,石榴石との判別が難儀な鉱物としてずっと引っかかっていました.今は色と光沢,スカルンの共存鉱物の感じで判別できるようになりました.

 

 上の標本は5年くらい前の大阪ショーで購入しました.黄色の部分がベスブ石で,ほかに灰色の石榴石と紫色のホタル石を伴っています.色彩のバリエーションの多い鉱物ですが,全て紹介していたらきりがないので,野外で見かけそうな標本を選びました.

 

産地:Crestmore quarrys, Riverside county, California, USA.(非売品)

 

  立派な結晶の写真は各サイトで紹介されていましたが,グレードの低い標本も掲載してします.二枚目の写真はUSAの砕石場からのもので,高温スカルンの鉱物を産しているところとして比較的有名のようです.理想的な結晶なら一目で判別できますが,こういうのを見ると石榴石との判別が難儀になります.

 

 

 

顕微鏡写真です.粒状のベスブ石はこんな感じで,見慣れないとなかなか判別できません.白色部は方解石です.一面研磨等で磨っていると,石榴石とは硬度がやや低いことで判別できました.

 

 

以下は国産の標本です.

産地:埼玉県秩父市 秩父鉱山石灰沢(非売品).単結晶で大きさは45㎜あります.時間をかけて希塩酸で処理した上,表面を掃除して出しました.結晶面がうまく写るように工夫しましたが,あまりうまく行きませんでした.

産地:岩手県奥州市江刺区伊手 赤金鉱山栄鉱床(非売品).塊状のベスブ石です.白っぽい部分はわずかにしかついていませんがフォシャグ石で,高温スカルンのところから産したようです.以前に一度,切断して研磨してみましたが,なんてことの無い,ウグイス色の出来損ないの羊羹のようになっていまいました.もっと色彩のきれいな緑色のベスブ石もあるらしく,標本を見たところでは,宝飾用に使用できそうな色合いでした.

 

産地:静岡県浜松市中区引佐町西黒田(非売品).塩基性岩を切る褐色の脈をなすベスブ石です.産状はスカルンだけでは無く,塩基性岩中にも出てきました.(写真は顕微鏡写真です).

 

産地:大分県佐伯市宇目藤河内 犬流れ(非売品).ベスブ石の標本の著名な産地として知られる岩戸銅山の標本を写真撮影用に探したのですが,いまひとつの標本で,大きさのある犬流れのベスブ石にしました.結晶面が腐食していますが,50㎜以上の大きさがあります.

 

産地:滋賀県湖南市菩提寺浪岩山(非売品).

 15年くらいまえの採集会でサンプリングした標本です.3月の中旬ころの開催で,前が見えないくらいの花粉の症状の中,イライラしながら観察した思い出のある現場です.スカルン中から産した標本です.赤褐色の部分は灰礬石榴石で,ベスブ石は左端の方についている灰緑色―暗緑色部です.ベスブ石の近くの裂罅に紫外線で蛍光する玉滴石もついていました.

 

産地:京都府木津川市加茂町河原.通称,法花寺野(非売品).10年以上前にサンプリングした,珪岩中のベスブ石です.石灰質のレンズが含まれていてその周囲に赤褐色粒状のベスブ石が付いています.白色繊維状部は珪灰石.暗黒色―帯青黒色部は珪岩です.

 

産地:京都府亀岡市西別院町焼山(非売品).道路の拡張工事中に出た土砂の中から見つけたベスブ石です.付近は砂岩質のホルンフェルスですが,レンズ状で変質した石灰質凝灰岩を含んでいてその周囲に少量産しました.顕微鏡でかなり拡大しています.

 

産地:福岡県福岡市西区今宿青木 長垂山(非売品).学生の頃にサンプリングした標本です.リチウムペグマタイトで有名な現場ですが,スカルンもあったようです.リチウムのズリから出た標本では無く,上の方の石切場付近にありました.後で耳にした話ではトンネル掘った時に産出したとかで,よくも残っていたんだな~っと思っています.繊維状に見える部分がベスブ石です.ほかに方解石を伴っています.

 

 

 

 

 

 

おしらせ

 

 本日,HP通販用商品を

 

 1点追加更新しました.

 

鉱物の顕微鏡写真73 ―ガルハヤ鉱―

$
0
0

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真73

―ガルハヤ鉱―

産地:Khaidarkan Sb-Hg deposit, Batken region, Kyrgystan.(非売品)

 

Galkhaite  ガルハヤ鉱

[組成]:(Cs,Tl)(Hg,Cu,Zn)6(As,Sb)4S12  

[結晶系]:等軸晶系

[色]:赤色・深紅色・赤橙色・暗橙赤色.

[光沢]:ガラス光沢~亜ガラス光沢.

[モース硬度]:3

[比重]:5.4~5.44

[条痕]:橙黄色.

今のところ本邦での産出は無し.

 

 ベスブ石の次はガルハヤ鉱にしました.

 

  10年くらい前の京都ショーで,珍しいモノを探していたら,店主より「これなんかどうや~.」って勧められて購入した標本です.チップサイズの大きさの標本でしたが,それなりの価格が付いていました.いつも購入している店なので,二つ返事で購入しました.

 ラベルを付けるときに海外のサイトを参考程度に見ていると,そんなに産地は無いらしく,アメリカのGetchell mineの標本がたくさん見られました.いずれも小さなサンプルのようですが,撮影の条件は別として,深紅の立方体が特徴の魅力的な鉱物に見えました.当方の産地は原産地でした.

 組成を見るとCs(セシウム)を含むほとんど唯一の硫化鉱物のようで,ほかに少量のTl(タリウム)とHg(水銀)にAs(砒素)からなっているような鉱物でした.

 原産地のKyrgystanの標本はこれのほかに,辰砂と輝安鉱からなるサムネイルに入った標本を所有していて,辰砂の回で少し触れました.今回,顕微鏡撮影するに当たって,もう一度見直したところ,辰砂に混じって特徴的な立方体の本鉱らしい鉱物が付いていました.石英脈に接する部分に沿って付いていて,はじめは挙げた写真と似たような組み合わせになっていました.

 今のところ本邦での産出は無いようですが,副成分にTl(タリウム)の存在が鍵のような気がしていて,北海道の洞爺鉱山や豊羽鉱山,青森県の恐山温泉や湯ノ沢鉱山くらいで確認されるかもしれません.

 

(以下,顕微鏡写真です)

始めの写真の更に拡大した写真です.実体顕微鏡で最大まで拡大して,デジカメのズームでこれでもか,っていうくらい拡大し,さらにノイズの処理をしました.中央やや左よりに立方体のように見える結晶が僅かについていました.白っぽい部分は石英で,暗灰色―黒色に見える部分は泥質岩です.

 

石英中に埋もれる部分の拡大です.右上部に朱色に近いゲチェル鉱を伴っていました.中央の粒の下の銀白色に見える部分は輝安鉱.

 

 はじめの写真とは別の部分に小さな間隙があり,ここにできた結晶の撮影に臨みましたが小さすぎてうまく撮影できませんでした.肉眼では細かい立方体の結晶が折り重なるように集合して,光源を動かすとキラキラしているのが確認できました.

 

こちらは,石英の結晶面のようなところにできた間隙に入っていたもので,強い銀白色の鉱物が付いていました.丸っこい鉱物にみえました.自然水銀かもしれません.こちらも小さすぎて判別できませんでした.

 

 

 

 

 

 

おしらせ

 

 本日 HP通販用商品を

 

 1点 追加更新しました.

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石187

$
0
0

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石187

 岡山県高梁市成羽町小泉(字)銅山 小泉鉱山の雑鉱を一面研磨しました.上の標本は5年くらい前に訪問した際にサンプリングしました.75㎜×60㎜×20㎜の箱にピッチリ入るように成形できましたが,裏側がやはりボコボコで,不安定で再度成形したら傷だらけになってしまったため,この面を一面研磨しました.

 

 

(研磨)ルーペで見ると,けっこうな量の石英が混入していて平滑に磨るのに時間がかかることを前提に磨り始めました.実際にすごく時間がかかって仕上げまでに2か月以上要しました.仕上げは青砥で充分光沢が出てくれました.

 

(以下,拡大写真です)

緑泥石の多い部分です.緑泥石だけかと思っていたら緑簾石も入っていました.白っぽい部分は石英です.

 

緑簾石の入っている部分の拡大です.黄色―黄緑色の細い柱状で入っていました.

 

硫砒鉄鉱の多い部分です.黒色亜金属光沢部は閃亜鉛鉱です.硫砒鉄鉱は広範囲に入っていました.

 

ちょこっと方鉛鉱が入っていました.顕微鏡でかなり拡大したところ,方鉛鉱の劈開に沿って,紅銀鉱の細かい粒が入っていました.写真をとろうと思いましたがズームが限界でした.

 

黄銅鉱の入っている部分の拡大です.この鉱物の集合では黄銅鉱と方鉛鉱はあまり入っていませんでした.黒色亜金属光沢部は閃亜鉛鉱.帯青鉛灰色金属光沢部は方鉛鉱,灰白色―暗灰色部は石英.淡黄色―淡灰色部は方解石.

 

 

 研磨面の裏側,標本の表面はこんな感じです.

 方鉛鉱はかなり少ないようで,指示するに当たってルーペでかなり探したところ1粒だけ確認できました.

 

 

 

 

おしらせ

 

 本日 HP通販用商品を

 

 1点 追加更新しました.

 

 

 

いくつかの研磨した石188

$
0
0

 

 

 

いくつかの研磨した石188

 

 福島県石川郡平田村小平 小平鉱山羽貫田鉱体のレンズ状に入った磁鉄鉱を一面研磨しました.この標本は随分前にサンプル購入しました.裏面がカットされているので,破格の価格で購入しました.それからしばらく放置していたのですが,裏面がカット面なので簡単に研磨できると思って,一面研磨しました.

研磨面では無い標本の正面.

 

 この標本の産地付近の文献を漁っていたら,当初はペグマタイト中の磁鉄鉱と勝手に思っていましたが,変成岩中の含鉄珪岩および珪質片岩中とのことで,含マンガン磁鉄鉱の記載もありました.マンガンが入っているならば,伊過酸化水素で反応があると踏んで漬けてみると,割り端以外の割れ目が発泡しました.二酸化マンガンの染みが入っていたようです.

 

(研磨)前述の通り購入した時点でカッターで切った面があり,この面を一面研磨しました.磁鉄鉱が多いので早く磨れると踏んだのですが,思った以上に石英が多く時間を要しました.仕上げは青砥でやっていたのですが,途中で研磨チャートに替えました.なかなか光沢が出てくれないので,途中で中止して顕微鏡で確認すると,細かい石榴石が入っていました.うまく磨れないのは細かい石榴石の所為のようです.砥石をさらに堅いホルンフェルスで研磨しました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です.)

 

 

磁鉄鉱の濃集した部分の拡大です.

 

鉄黒色部が磁鉄鉱です.

 

 

石榴石の拡大です.

 

満礬石榴石(とある文献には記載がありました).かなり拡大しています.

 

カメラのズームも使用して拡大してようやく,粒が判るような大きさです.

 

 

以下はそのほかの部分の拡大です.

 

黒色の板状はチタン鉄鉱だろうか? 緑色のエジリンのような鉱物も入っていました.

 

 

下の方で反射して見える部分は板状のチタン鉄鉱のようです.灰緑色部には石榴石もあるようです.

 

粒状では無く,短柱状になった灰緑色部があって角閃石かもしれない.

 

 

 磁鉄鉱を含む石を磨っていたら色々な鉱物が入っていてなかなか楽しめたサンプルでした.

 

2020年年末年始の営業日のお知らせ

$
0
0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年の年末年始の営業日のお知らせ

 

 

  ●マーク以外の日が営業日です.

 

  新年1月4日より営業いたします.1月4日・5日の営業時間は

 

  13:00~17:00となっています.

 

  1月8日より 通常営業となります.

 

 

 

12月下旬現在の店内の様子.

 

 

 

 

 

 

 

 

全般的に化石を拡充しました.

 

 


 

レジの前にペグマタイト鉱物を置きました.
 
 

いくつかの研磨した石189

$
0
0

 

 

 

 

いくつかの研磨した石189

 

 愛媛県大洲市戎川足山 足山鉱山のマンガン鉱を一面研磨しました.10年以上前に一度,道沿いのズリに訪問したことがありましたが,ジャジャ降りで探索もできずに胚胎した.上の標本は知人より頂戴したもので,もとは一抱えほどはあろうかという大きな石でした.成形して出た木っ端を使用しました.黄色いザクロ石のような筋と桜色の筋が折り重なってキレイな集合でしたので,一面研磨にしました.

標本の表面.

 

 元についていたラベルは「リッベ石」とあって,どの部分がそれなのかはっきりしませんでした.美濃帯や丹波帯からヤコブス鉱の筋に伴って産するリッベ石はいくつかの現場で観察していました.(岐阜県金原鉱山・同網代鉱山・滋賀県小川鉱山・同比良鉱山・同源田谷鉱山・京都府高野鉱山・同向山栗谷鉱山など) こちらは結晶片岩中のバラ輝石主体の鉱床とかで,どういう顔の石に出ているのかもわかりませんでした.磨ったら何かわかるかもと思い研磨しました.

 

(研磨) 見た目は硬そうな珪酸マンガン鉱でしたので,硬いことを前提に磨り始めました.表面の黄色い筋が蛇行するように入っていて,それがだんだん形になってきました.左端の方は断層で切れているのか,その先ははっきりしませんでした.黒い筋は磁石に反応がありヤコブス鉱のようです.黄色い筋は光沢がかなり鈍く,粒状でもないため石榴石では無いようです.黄色いマンガン斧石も考えましたが,比較的高品位鉱を形成するヤコブス鉱の筋の中まで侵入していたので,この線は省きました.木っ端を探して黄色い部分を希塩酸で処理すると発泡しました.菱マンガン鉱や方解石などが含まれているようでした.ピンク色のところはアレガニー石でした.色の白っぽいところは菱マンガン鉱が多いようで,こちらも希塩酸で反応がありました.

 珪酸分の高い鉱物はあまり含まれていないようで,思ったより早く仕上がりました.仕上げは青砥で軽く磨ったあとで,中途半端に風化した粘板岩ホルンフェルスで磨ったところ光沢が出てくれました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

 

 鉱石の集合を切る黒い筋の拡大です.ヤコブス鉱の筋にしては黒すぎるので他の鉱物も含まれているようです.

 

 

黒い筋をさらに拡大したものです.黒い筋の一番下の層に帯紫褐色の筋があって,写真では粒がはっきりしませんが,肉眼では長方形の粒が確認できました.これがリッベ石か?

 

黄色い筋の拡大です.ピンク色の菱マンガン鉱の小さなレンズを含んでいました.

 

黄鉄鉱です.これはどこにでもできる鉱物です.

 

標本写真の左下あたりの拡大です.灰緑色のテフロ橄欖石を含んでいます.褐色味を帯びたピンク色はアレガニー石.

 

左上に黒色-黒褐色粒状の鉱物がついていました.鉱物名はちょっと思いつきません.

 

 

ついでに未研磨の標本の表面も拡大してみました.

ヤコブス鉱の褶曲が曲がって瘤状になったところに帯紫褐色の部分がありました.

 

 

 

その拡大です.丹波や領家帯にかかる変成マンガン鉱床でなら園石と判定してしまうのですが,それよりやや光沢が鈍く,黄色味があるように感じました.共存する黒色粒状の鉱物はマンガンスピネルやヤコブス鉱と思っていましたが,顕著な劈開があり,閃亜鉛鉱か何かかと判断しました.

 

 

 

 

 

おしらせ

 

 本日 HP通販用商品を

 

 4点 追加更新しました.

 

 

 

 

正月休みを利用してラベル作り

$
0
0

 

 

 

 

 

 

正月休みを利用してラベル作り.

 

 

2020年が明けてしまいました.今年は初詣にちょこちょこっと行っただけで寝正月でした.短い正月休みを利用して,溜まっているラベルの付け替えをしていました.ラベルは石を始めた1993年ごろより書いてはいたのですが,白紙の広告の裏などに,鉱物名と産地名を走り書き程度にしかかいていませんでした.標本箱は当初ボール紙を固めて作った粗末なもので,学生時代はタバコの空箱を利用し,社会人になってからようやく紙製の黒箱になりました.本稿を書くにあたって,古いラベルを探したところ2003年ごろの書いたと思われるラベルが出てきました.2003年ごろに書いたラベル.当時パソコンはありましたが,プリンタが無く,データをFDに保存して大学でプリントアウトしていました.それができないときは手書きで罫線も書いていました.字体は今も当時もあまり変わっていません.

 

こちらは実家にあったパソコンで作成したもので,当時は手あたり次第に集めていました.現在はそんなに種類もなく,あるテーマに沿って集めています.標本数の最盛期のころは、このラベルの時代で,日本産鉱物種894種,海外産鉱物種460種,日本産鉱物標本産地数3956産地ありました.標本数は20100を数えました.

 

こちらは丸箱内のラベルです.何かの拍子にひっくり返したときにすぐわかるように,走り書きしたものを入れていたのですが,少しずつ発展しています.

 

最近の丸箱内ラベルです.

 

ガラス蓋付角箱用に記載したほぼすべて手書きのラベルです.時間があればこういうラベルも書いていました.

 

こちらは60㎜×45㎜×20㎜紙製黒箱につけた最近のラベルです.海外産の鉱物は諸性質をあまり覚えていないので書けるだけかいています.

 

こちらが最近の75㎜×60mm×20㎜紙製黒箱用のラベルです.顕微鏡写真を撮っているので,一枚当たり1時間くらい要してしまいました.暇なときにしかできないラベルです.

 

 ある程度纏まった量のラベルが出来ましたので,写真にとってみました.

 

 

こんな感じになりました.

 

(ちなみに写真の標本は個人標本なのですべて非売品です).

 

 

 

 

 

 

 

 


いくつかの研磨した石190

$
0
0

 

 

 

いくつかの研磨した石190

 京都府南丹市園部町埴生倉谷 円郷山鉱山の脈石を一面研磨しました.大谷鉱山のある行者山の南方から北西方向に伸びる断層沿いの小丘にあった鉱脈鉱床です.行者山の鉱化作用かどうかは不明ですが,硫砒鉄鉱や黄銅鉱などを含むグライゼン質の石英脈が,行者山南西より天引峠方面に向かって点々と見られました.この手の石英脈は天引峠で終わっていると思っていましたが,峠の更に西方にある福住鉱山にもあることが判りました.さらにその北西方にある筱見四十八滝の弁天滝の袂にある鉄と銅?の旧坑にもグライゼン様の石英脈を見,少量の硫砒鉄鉱と黄鉄鉱・黄銅鉱などがありました.行者山と天引峠との中間くらいに位置するのが円郷山鉱山です.

 

 上の標本は高校生くらいの時にサンプリングしたものの一部です.最近になって20年以上前にサンプリングした石が出てきました.元ラベルに紫色ホタル石とありました.黄色の脈の表面に紫色のホタル石がついていました.

 

紫色部がホタル石.

 

 標本の硫化鉄を含む部分は含水硫酸鉄のカビが一面に生えていて,母岩もかなり分解していました.とても標本になるようなモノではありませんでしたので,腐った部分をハンマーで抉り取って,新鮮そうな部分のみを一面研磨用にしました.

 

(研磨)白雲母を含むグライゼン様の脈を伴っていましたので,硬いのはホルンフェルス様の灰色の部分だけと予想して研磨し始めました.予想通り雲母の部分は簡単に磨りきれて,下から光沢の強い灰黄色部が出てきました.高い硬度と強い光沢でトパズだということがすぐわかりました.硫化鉱物の部分と雲母の軟らかいところが先に磨りきれて凹まないように,研磨しましたが後で見るとやはり,先に磨れて凹みになってしまいました.

 仕上げははじめ青砥で磨っていたのですが,思ったより光沢が出ず,中途半端に風化したホルンフェルスで,時間をかけて磨ると光沢が出てくれました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

 

 

写真の上の方にある脈の周辺を撮影しました.

 

銀白色金属光沢部が硫砒鉄鉱です.

 

こちらも硫砒鉄鉱です.トパズはどこにいるのかというと蝋質感のある黄色は白雲母,硫砒鉄鉱の横にいるやや光沢の強い,俄かに黄色みを帯びた白色部がトパズでした.

 

盤際を撮影しました.三角形に反射しているのは硫砒鉄鉱の結晶でした.

 

こちらは標本の大部分を占める灰白色を呈するホルンフェルス様の母岩の拡大です.

 

あとから切ったと思われる白色の石英脈の周囲に,細かい硫化物が集合していました.

 

更に拡大.肉眼的に判別できる硫化鉱物は余りありませんでした.

 

後から切った石英脈から少し離れたところの母岩の拡大です.粘土を伴う細い割れ目の周辺に黄鉄鉱が集まっていました.傍にある黒色粒状は閃亜鉛鉱で,顕著な劈開が観察できました.閃亜鉛鉱に伴って微量の黄銅鉱も入っていました.

 

 

 当地の産出鉱物は自然金(未だ標本を見たことが無い)・黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・方鉛鉱(こちらも標本を見たことが無い)・硫砒鉄鉱・石英・ホタル石・褐鉄鉱・鉄マンガン重石・スコロド石・トパズ・緑柱石・白雲母・緑泥石など.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河内谷の4つの無名滝1

$
0
0

 

 

滝めぐり

 

 

河内谷の4つの無名滝1

京都府南丹市美山町河内谷

 

 

 雨が降る前に少し滝めぐりに行ってきました.河内谷は懐の深い谷で一番奥まったところにマンガン山がありました.今回はその周辺の滝を探しました.

 

 河内谷の在所の先にある圃場沿いの道を進むと,民家跡のような植林地に入った.植林の先に河原があってその先の川の対岸に滝を見つけた.

 

位置は地形図にある奥東山の西斜面付近になる.落差は段瀑で7段で20mくらい.名称は今のところ不明.周辺図にある①の場所.

 

上の方から.

 

 

 

 

 

 

 

下の方.

 

 栃柳谷との合流地点を過ぎ,前方が暗くなってきて狭い峡谷のようなところに来ました.目の前にチャートの壁が立ちはだかっていました.

壁岩というらしい.こういうチャートの大岩の近くにはマンガン山があるのですが,この付近には見つけられませんでした.

 

 壁岩の岸壁が切れるところの対岸に滝があった.

段瀑.地図中の②の場所.小さな滝でした.すべてで落差は10mくらいか.

 

上の方.

 

下の方.

 

②に続く.

 

 

 以下は滝の位置図です.いつも通りフリーハンドで描いているため縮尺は無視しています.参考程度に.

 

 

 

河内谷の4つの無名滝2

$
0
0

 

 

滝めぐり

 

 

河内谷の4つの無名滝2

京都府南丹市美山町河内谷

 

 昨日の続きです.

 

 ②の滝を辞して,遡って行きました.ここから車を降りて徒歩で向かいました.第一口大コ茂橋を過ぎて,その先の第二口大コ茂橋の北詰に面する谷に,ナメ滝がありました.

 

第二大コ茂橋北詰の谷にある滝.上部はナメ滝になっていて,最下部が7mほどの斜瀑になっていました.橋の上から撮影.

 

 橋の北詰より谷の方へ攀じると,斜瀑の上あたりに出ることができました.

斜瀑の上のナメ滝.水量がもう少しあればそれなりの滝に見えるだろう.上から目測で20mくらいか.

 

上の方.

 

中ほど.

 

下の方.

 

 ナメ滝からさらに上流へ.先ほどの谷より一つ南にある谷の奥に,一筋の滝が見えました.

府道より.やや水量が多いので,渡れそうなところから渡りました.写真中央の大岩を越えると滝が見えてきました.

 

 

ナメ滝のある谷の一つ南にある谷の滝.目測で7mくらいか.イイ感じに苔むしていました.

 

上の方.

 

中頃.

 

 

下の方.

 

 

 南の滝を辞して,さらにさかのぼって行きました.次の出合まできたところで,時雨てきました.ここで登路を戻りました.

 

以下は前回のアクセスマップを,今回の分のところだけ拡大したものを添付します.いつも通りペイントを使用してフリーハンドで描いているため縮尺は無視しています.参考程度に.

 

 

2つのマンガン山にて

$
0
0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2つのマンガン山にて

 

 

 

 滝巡りに行く少し前に,2箇所のマンガン山に行っていました.

 一つは大野ダム発電所の北側の尾根付近にあるN鉱山に行っていました.神社の裏に登る林道を辿って,獣除けのフェンスを開けて直進した次のカーブに坑口がありました.前々回に訪問した際にその上に二酸化の露天掘りの跡と,先人のハンマーの跡を確認しました.今回はそこまで登らずに府道沿いの小屋のところから右手に入る杣道を採りました.急な道で,すでに廃道化していて斜面との境界が曖昧になったところでマンガン鉱を幾つか拾いました.ほかにも二酸化マンガンが覆った石はありましたが,殆どチャートに着く貧弱なものでした.

 

上はその一つです.ピンク色はパイロクスマンガン石.赤褐色―茶褐色はヤコブス鉱を含む脈のようです.黒褐色は肉眼的にはハウスマン鉱の様でしたが,にわかに紫色を帯びていて,リッベ石やリューコフェニス石のようなヒューム石類が混入しているのかもしれません.

 

 

 

 

 2つ目は知井中村の近くのD鉱山というマンガン山でした.2箇所の鉱体があって北側の鉱床は過去何度か訪問しましたが,南の鉱床は話に伺うだけで,位置が判りませんでした.今回,ようやく見つけることができました.

 

北側の鉱床の全景です.右の方の斜面に坑口が開いています.

 

2つ坑口があり.位置関係はこんな感じです.

 

下の坑口です.

 

上の坑口です.坑口というか露天掘りのような感じに見えました.この坑口の前に少量のズリが残っていて,熱水性の石英脈がかなりの量が含まれていました.二酸化マンガンの覆われたやや結晶質の石英で,まれに50㎜位の水晶がありました.ただし二酸化マンガンの覆われていてキレイなものではありませんでした.マンガン鉱物は菱マンガン鉱やアレガニー石からなる集合があり,今回も見つけることができました.

 

 

菱マンガン鉱―アレガニー石からなる集合.写真の上の方に灰緑色の粒があり,顕微鏡で観察したところ緑色を呈する重晶石でした.ほか黒い筋にヤコブス鉱が入っているようでした.

 

 

 

 上の坑口のズリにある石英脈はずっと不毛の石英脈と思っていました.細かい汚い水晶があるくらいでしたが,今回1つですがほかの鉱物を見つけました.

 殆どの石英脈は黒い二酸化マンガンに覆われていましたが,一部に鉄による黄色っぽい錆びを伴う石英脈があり,これを斫ると鉄マンガン重石が出てきました.

鉄マンガン重石.西にあった鐘打鉱山のものよりずいぶん赤っぽい気がしました.上は顕微鏡下で撮影したのですが,一応念のために母岩を短波紫外線灯を照射しました.おまけですが同じ石にホタル石が付いていました.

母岩の様子.

 

 ホタル石は母岩の石英と見分けがつかない,無色のものでした.

 

確認のために暗室で短波紫外線灯を照射した上で,上の写真を撮りました.帯紫青色に蛍光している部分がホタル石です.

 

 

 

 

 次に南の鉱床に行きました.北の鉱床よりわずかに60m位しか離れていませんでした.道の法面が続き,車の屋根位の高さのところに坑口があり,車で通った時は気付きませんでした.

南の鉱床の坑口.南西方向に向かって掘下っているようでした.

 

 腕を精いっぱい挙げて背伸びして,フラッシュを焚いて撮影しました.掘下っているのかあまり奥までは光が届きませんでした.

 

 坑口が道の横なので,こういうところは基本的に鉱石は少ない.鉱石が落ちていないか探し回りましたが,道の横にはありませんでした.坑口の下に少しあって,1つサンプリングしました.

 

炭マン.上の方の黒っぽいのは二酸化マンガンの酸化被膜では無く,黒色の珪岩です.ピンク色はパイロクスマンガン石.淡桃色―灰桃色はアレガニー石.左の方に縦に切る脈は準石墨(あるいは非晶質炭素物質)からなっていました.子の黒色の脈に切られている暗赤褐色の脈はヤコブス鉱が含まれているらしく,磁石が引き寄せられました.

 

 産出鉱物は以下のようになりました.

 (北鉱床):石墨(あるいは非晶質炭素物質)・黄鉄鉱・閃マンガン鉱・ホタル石・石英・二酸化マンガン鉱・ヤコブス鉱・鉄マンガン重石・菱マンガン鉱・テフロ橄欖石・アレガニー石・パイロクスマンガン石・氷長石

 (南鉱床)石墨(あるいは非晶質炭素物質)・黄鉄鉱・閃マンガン鉱・石英・ヤコブス鉱・二酸化マンガン鉱・菱マンガン鉱・重晶石・テフロ橄欖石・パイロクスマンガン石などでした.

 (赤字)は石英脈からの産出です.

 

 

 このあと滝巡りに移行しました.

 

 

鉱物の顕微鏡写真74 ―エルピド石―

$
0
0

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真74

エルピド石

 

 

 

産地:Vøra, Vesterøya, Sandefjord, Vestfold, Norwey.

 

Elpidite  エルピド石

[組成] Na2Zr[Si6O15]・3H2O  

[結晶系] 直方晶系.結晶は柱状.柱状結晶が束状および放射状に集合する.

[色]:無色・白色・灰色・黄白色・黄灰色・淡紅色・灰桃色・橙色・茶褐色・赤褐色.

[光沢]:亜ガラス光沢・油脂光沢・絹糸光沢.

[モース硬度]:5

[比重]:2.52~2.62

[劈開]:{110}に完全.

[条痕]:白色.

 

 

  久々の顕微鏡写真の更新です.写真の処理が時間がかかってしまうため,どうしても後回しになってしまいます.どうせ掲載するなら写真はキレイな方がいいので,凝って凝って撮っています.

 

 標本は10年位前に,大阪で知り合いの業者が,「いっぱい鉱物入ってるで~」って言われて購入した石です.当時は国産・海外を問わず手あたり次第蒐集していましたので,抵抗なく購入していました.霞石閃長岩質ペグマタイト中のエルピド石です.現場は資料によると半島の先端近くにある2本の閃長岩質ペグマタイトが露出している露頭だそうです.

 当初は手あたり次第に集めていた標本ですが,その後に霞石が判定できずに困ったことがありました.霞石閃長岩なので,当然霞石が入っているのですが,当時は霞石がどういう鉱物なのかが,まったく判別できませんでした.霞石を区別するのに,いろいろな産地の霞石閃長岩質ペグマタイトの標本を入手しました.その甲斐あっていまは何とか区別できるようになりました.上の標本はその練習用の標本の一つになりました.

 

標本の裏側の写真です.

 

 

(以下は顕微鏡下での拡大写真です)

 

エルピド石.黒色柱状のエジリン輝石を伴っています.

 

束状になった根っこの部分.黒色柱状はエジリン輝石.

 

劈開が発達した部分の拡大です.黒色はエジリン輝石です.

 

こちらは共存しているエジリン輝石(Aegirine)です.透明感のあまり感じられない黒色柱状をしています.

 

長石に埋もれるやや細いエジリン輝石の結晶が集合した部分です.濃緑色であることが判ります.灰褐色部はエルピド石.

 

エジリン輝石の劈開の出ている部分の拡大です.右に橙色のエルピド石が接しています.どういう訳かこの大きなエジリン輝石は結晶が曲がっています.

 

こちらは同一標本内に共存している星葉石(Astrophyllite)です.見た目,本邦でも見られる吉村石に似ています.黄褐色―褐色の光沢が強い板状をなしています.黒色柱状はエジリン輝石.

 

星葉石.

 

こちらは元ラベルにトリトマイト(Tritomite (Y,Ca,Ce,Fe)5[OH|((Si,B)(O,OH)4)3])とありました.元ラベルにはそうあったのですが,別の資料にはグループ名でパイロクロアとあり,元ラベルを信用しました.メタミクト化しているのか暗赤褐色―黒褐色ガラス光沢部がトリトマイトです.緑黒色柱状はエジリン輝石です.

 

更に拡大した写真です.黒っぽく見えても内部は赤褐色を呈しているようです.一応,ガイガーカウンターで放射能を測定しましたが,検出以下でした.

 

 ほかに灰白色―灰緑灰色塊状の霞石があったのですが,ほかの部分との境界が曖昧で,色も灰色に近く光沢も写真に撮って判別できる感じがしないため,割愛しました.

 それから,エジリン輝石の細かい結晶が集合した部分に,かなり小さい蛍光するカタプレイ石を確認しました.これも蛍光写真を試みましたが,小さすぎて断念しました.肉眼的には結構な大きさに見えるのですが,実際にカメラで撮ってみたら,よく判りませんでした.

 

標本の各部位はこんな感じになりました.

 

 

鉱物の顕微鏡写真75 -鉄礬石榴石-

$
0
0

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真75

―鉄礬石榴石―

 

 

 

産地:Granatenkogel north slope, Gaisberg valley,Obergugl, Gurgler valley,

       Ötz valley, North Tyrol, Tyrol, Austria.(非売品)

       

 

Almandine  鉄礬石榴石

[組成] Fe3Al2[SiO4]3 

[結晶系] 立方晶系.結晶は偏菱二十四面体や斜方十二面体.

[色]:淡紅色・赤色・褐赤色・帯紫赤色・濃赤色・黒色.

[光沢]:ガラス光沢.

[モース硬度]:7~7.5

[比重]:4.31

[劈開]:無し.変な方向に裂開があることがある.

[条痕]:白色~灰色.

 

 

 次は石榴石にしました.何か普通に産する鉱物を,と考えたら石榴石になりました.鉱物をやり始めて野外で鉄礬石榴石に出会ったのは,始めて8年くらい経った大学生のころで,ペグマタイトにはまりかけていました.現場は市街地に近い長垂山で,当地はリチウムペグマタイトで有名な現場ですが,普通のペグマタイトもあって,リチウムのあまり入ってこないペグマタイトにかなりふんだんに入っていました.亜鉛スピネルや藍電気石,割れ目に燐灰ウラン鉱などが入っているペグマタイトで,野外に出てここで初めて出会いました.

 母岩は花崗岩・花崗岩質ペグマタイト・デイサイトあるいは流紋岩・泥質ホルンフェルス・結晶片岩・安山岩・榴輝岩・グライゼン・砂岩などから産し,アルミニウムに富む岩石から産する傾向があるようです.

 

 上の標本は海外産ではじめに入手した鉄礬石榴石の産地で,標高の高いところから(標高約2650m)産したそうです.母岩はプレカンブリアンの雲母片岩だそうで,細かい白雲母が観察すると入っていました.

 

産地:Bella Vista mine, Mitkof island, Petersburg borough, Alaska, USA.(非売品)

 

  二枚目の写真は宝飾用のガーネットを産している鉱山のもので,粒が大きく光沢が強く,透明感もあって母岩から外れているものの深い赤色を呈しています.こちらも母岩は黒っぽい雲母片岩から産しているそうです.写真中央の結晶の直径は約12mm.

 

以下,本邦からの標本です.

産地:三重県伊賀市大山田 馬野渓.(非売品)

 領家帯の花崗片麻岩中の珪長岩質の部分に密集していた鉄礬石榴石です.顕微鏡での撮影です.粒は最大約3mmと小さいですが光沢が強く,透明感もあり拡大するとなかなかキレイです.結晶の大きな石榴石もありましたが,汚いんです.灰白色は石英,白色部は長石です.

 

産地:三重県津市白山町山田野 白山鉱山(非売品)

 こちらも領家帯の花崗岩―片麻岩中のペグマタイトより産した大きな結晶です.直径は約40mmあります.掃除が大変だった標本で,サンプリングしたときは二酸化マンガンに覆われて真っ黒でした.過酸化水素と塩酸でここまでキレイになりました.接写での撮影です.

 

産地:福岡県田川郡川崎町安宅小峠.(非売品)

 学生のころ博多から電車を乗り継いで田川後藤寺まで行き,英彦山線に乗り換えてさらにバスで到達した思い出のある現場です.朝6時頃に出たのに現場についたのは10時ごろでした.当初はやはり当地の目玉ともいえる閃ウラン鉱を狙っていたのですが,一つサンプリングするとどういうわけか飽きてきて石榴石や鉄橄欖石・白雲母に変質した鉄菫青石の方に目が行って,石榴石もサンプリングしました.燐灰ウラン鉱が結晶のすぐ横に入っているというコントラストのいい標本になりましたが,今回は別のところで入手した標本を掲載しました.写真の結晶の大きさ手前のもので約8mm.標本はペグマタイト中です.顕微鏡下での撮影.

 

産地:茨城県桜川市真壁町山の尾(非売品)

 有名なペグマタイトの山の尾の鉄礬石榴石です.関東のコレクターとの交換で入手しました.結晶の大きさ約8mm.顕微鏡下での撮影.

 

産地:京都府木津川市加茂町川原 通称 法花寺野.(非売品)

 採石場がなくなってずいぶん経ちましたが,稼働当時の標本です.当地は南山城地域の中心的な鉱物産地のようになっていました.古くは珪岩中の変成マンガン鉱床があったそうで,採石中に下部の珪酸マンガン鉱体が出てきました.マンガンだけではなく,ペグマタイトや非マンガンスカルンも一か所に産する面白い現場でした.上の標本はのちに購入しました.母岩が堅くて割りづらい花崗岩質岩で,キレイに成形されている標本を探しました.この写真は接写で撮影しました.最大の結晶で約10mm.

 

産地:香川県さぬき市津田町雨滝山.非売品.

 安山岩中に入っていた鉄礬石榴石です.四国に行ったときに近くを通りましたが,手持ちの文献に山登りを少ししないといけないようなことがあって,時間的に寄れませんでした.上の標本は購入品です.粒が小さいので顕微鏡下で撮影しました.直径約5mm.

 

産地:山梨県鳴沢村足和田山(非売品)

 富士山の北側の河口湖に近い足和田山の鉄礬石榴石です.デイサイト中のものです.粒は小さいですが透明感のある標本です.関東のコレクターとの交換でオマケとして入っていた標本で,のちにお礼したところ「こんなもので喜んでくれるやつはお前くらい」って言われました.近畿地方の現場のものとは異なる産状をしていたので,今もしっかりと標本箱に入っています.結晶の大きさは約3mmで,顕微鏡下での撮影です.

 

産地:岐阜県恵那市笠置町河合鉱山(非売品)

 小さい標本でしたが,ルーペで観察したところ透明度が高くかつ照りもいいので購入した標本です.現場は昭和のはじめに亜鉛鉱を目的として試掘された鉱山だそうで,硫カドミウム鉱を産出で知られています.母岩は非常に鉄とアルミニウム分に富んだホルンフェルス様の岩石で,鉄雲母・石榴石・角閃石からなっています.ほかの標本もいくつか見ましたが,ここまでキレイなものは無いようです.粒の大きさは約3mmで顕微鏡下で撮影しました.

 

産地:埼玉県吉見町北吉見根古屋.非売品.

 片麻岩中の鉄礬石榴石です.交換で入手しました.粒はやや大きいのですが,風化に母岩が弱いらしくやや脆くなっています.色が薄いのでパイロープ成分も入っているのかもしれません.粒の大きさは最大約4mmで顕微鏡下で撮影しました.

 

産地:埼玉県東松山市東平新田.(非売品)

 こちらも交換で入手した標本です.先方より「面白いのが,入っているから」と連絡を受けて入っていたのがこれでした.結晶片岩~片麻岩中の石榴石で苦礬石榴石成分の入っている石榴石とのことでした.11枚目の写真の標本とは異なり,母岩はしっかりしています.色がやや淡く,照りも抑えめになっています.黄色っぽい部分は割れ目にできた黄鉄鉱.接写で撮影.

 

産地:滋賀県湖南市三雲(字)畑.非売品.

 田上山の盟主と云われた方から頂戴しました.変なホルンフェルスに入っている石榴石で,一部にコランダムも出たそうです.照りは強いのですが色がやや淡い感じがしてほかの成分に富んでいるのかもしれません.結晶の大きさは約1mmで,顕微鏡下での撮影です.

 

産地:熊本県八代市坂本 八幡滝.(非売品) 

 学生のころの採集品です.文献に「片状単斜輝石石榴石グラニュライト」という名称があって,名前に惹かれて訪問した時にサンプリングした標本です.熊本まで高速バスで行って,さらに3時間かかった覚えがあります.滝までは行きましたがどんな岩石かわからず,適当にサンプリングしたところ,最後の1つでヒットしました.成形すると一個しか標本に採れませんでした.見かけは四国の三波川帯で見るような石榴石片岩に見えますが,それよりもっと均質で全体的に色が淡いので,花崗岩とサンプリングしたときは思っていました.にわかにオレンジ色味を帯びた鉄礬石榴石で結晶の形があまりはっきりとしていません.入緑色部は単斜輝石です.石榴石の照りもあまりなく,鉱物標本というより岩石標本で登録しています.粒の大きさは1mm前後で,顕微鏡下での撮影です.

 

産地:奈良県香芝市穴虫.非売品.

 大和川流域の砂鉱中の鉄礬石榴石です.広く産するので研磨材として利用されていました.粒の大きさは1mm以下で顕微鏡下で撮影しました.当地の鉄礬石榴石はネオジム磁石に引き寄せられ,笊を使用するよりも楽に集められました.ただ磁鉄鉱がなかり混入してきますので,あらかじめパンニングで選り分けてから選別しました.それでも少量のほかの鉱物が混入していて,写真でも灰白色で細長い輪郭をした珪線石が混じっています.

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真76 -ウィルヘンダーソン沸石ー

$
0
0

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真76

―ウィルヘンダーソン沸石―

産地:Vispi quarry, San Venanzo, Terni provinve, Umbria, Italy.(非売品)

 

 

Willhendersonite ウィルヘンダーソン沸石

[組成] KCa[Al3Si3O12]・5H2

[結晶]:三斜晶系.結晶は板状.板状結晶が集合して金平糖のように見える.

[色]:無色・白色・灰色ガラス光沢.

[モース硬度]:3

[比重]:2.18

[劈開]:{110},{010},{001}に完全.

[条痕]:白色.

 

 石榴石の次は沸石類にしました.沸石は本邦ではかなり多産する資源になりえる鉱物ですが,どういうわけか人気が無い.店頭で「なにか珍しいモノない?」って問われて,わりと小珍しい沸石を出したところ,「~沸石か~」で終わってしまった.

 写真写りがよく外形がしっかりと出やすいので,カメラの練習に使用していたところ,いつの間にか蒐めるようになっていました.

 上の標本は今年の新春交流会で入手しました.名称が長ったらしいので,何なのかと思って手に取りました.原産地標本で見た目は玄武岩質の岩石に入っていました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

 

顕微鏡下で撮影しました.白色―淡青灰色半透明部がウィルヘンダーソン沸石です.その間を埋める白色粉状に見えるのは多分,灰十字沸石.周りの黄褐色部はメリライト.

 

ほかの部分についていたのを撮影しました.

 

拡大したものです.

 

 母岩は玄武岩質としましたが,文献でいろいろ調べたところ,ヴェナンゾ岩(Venanzite)と呼ばれるアルカリ火山岩でした.構成鉱物はメリライト・橄欖石・金雲母が石基に含まれる.ほか少量の白榴石・カリシライトなどと含むという.カリシライトという鉱物は初見で,ネットでいろいろ調べて,手持ちに標本に入っているか確認しましたが,よくわかりませんでした.その途上で針状の燐灰石が入っているのに気付きました.

 

 

 

お知らせ

 

 本日 HP通販用商品を

 

 5点 追加更新しました.

 

 

 


竹田川の泥炭層

$
0
0

 

 

 

露頭めぐり

 

 

 

竹田川の泥炭層

 

 小雨が降る中,山に行くことができずフラフラーっと露頭探しに行きました.国道9号線を北上して,細見から三春峠の道を取りました.

 三春峠の露頭で以前に見つけた銅鉱脈を再度探しましたが,工事が終わっていて欠片もありませんでした.一時的だったのかもしれません.

 行く当てがあまり無いので,以前に何かの文献で読んだ川の露頭に行ってみました.降りれそうなところはいくつかありましたが,小雨の間を狙って降りれるようなところは余りありませんでした.濡れるのを覚悟で一か所に絞り込んでその地点に降りていきました.

手前の小さな丘のようになった部分が泥炭層.奥は竹田川.

 

露頭です.

 

 

 石炭類の産出の少ない地方にいるため,露頭を直接観察できるところは余りないように思います.人為的に開削したような感じのところではないようで,水の当たるところだけ抉れたようです.当地域の泥炭は物資の無かった戦時中に一時期,燃料用に採炭されたという記録が残っています.

露頭の拡大.堅い泥岩やチャートの礫が挟まっていました.白いところは粘土のようななってボロボロした母岩です.

 

余り炭化していない木片が挟まっていました.亜炭までいくかはわかりません.

 

こちらも炭化の進んでいない木片です.

 

 ほかに少量の松の実?と細かい実がパラパラ出ているようです.いくつか現場でサンプリングしました.小雨だった雨が本降りに近くなっていましたので,これで退散しました.帰ってからサンプリングした木片を試しに燃やしたところ,くすぶったような火の付き方をして,猛烈な悪臭を発しました.

 

 現場では高師小僧や藍鉄鉱などの鉱物が出そうですが,今のところ見つけていません.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真77 ―メルリノ沸石―

$
0
0

 

 

 

 

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真77

―メルリノ沸石―

 

 

産地:Cupaello quarry, Santa Rufina, Rieti, Rieti province, Lazio, Italy.(非売品)

 

Merlinoite  メルリノ沸石

[組成]:(K,Na)5(Ca,Ba)2[Al9Si23O64]・23H2O  直方晶系.

[色]:白色・灰色・無色.

[光沢]:ガラス光沢.

[比重]:2.14~2.27

[モース硬度]:4.5

[劈開]:一方向に良好.

[条痕]:白色.

本邦未産.

 

 

 顕微鏡写真シリーズ,前回に引き続いて人気の無い沸石グループの鉱物です.ウィルヘンダーソン沸石と同じく,今年の新春交流会で入手しました.沸石は基本的に本邦では人気が無いので,小珍しい海外産の沸石の入手は難しいようで,ミネラルショーとかであまりお目にかかれない.

 出ているときに入手しないと,手に入れられないのでこちらも有無をいわず購入しました.サムネイルボックスに入った小さなサンプルで,どういう鉱物か知るのにはちょうど良いサイズです.標本自体は海外の標本会社のものなので,ボックスとの接着が悪いことが多い.そのため一度剥がして再度接着する必要があり,手持ちのゴムでしました.

 産地はおそらくバラス用の砕石場で,メルリノ沸石の原産地です.いろいろ調べていると,前回の標本の母岩と同様にアルカリ火山岩に入っているようでした.コッペリ岩(Coppaelite)という岩石で,斑状の黒雲母黄長岩という.透輝石の斑晶とメリライトと黒雲母(金雲母)の石基からなるとか.

 改めて母岩を眺めてみると,黄色っぽい部分が目立つ.雲母は入っているのか,いないのか,小さすぎて判別できないのか確認できませんでした.

 斑晶の透輝石は黄色っぽいもので,ガラス光沢が良く目立ちます.ほかに沸石の充填している孔の表面に,黒色の二酸化マンガンの染みが入っていました.

 メルリノ沸石はコッペリ岩の空隙を充填する白色―無色の針状―柱状結晶の集合をしています.

 

(以下,顕微鏡写真です.)

 

かなり拡大すると結晶は柱状のようです.

 

こちらは別の部分に付いていたメルリノ沸石です.十字沸石のような鉱物を伴っています.母岩の黄色っぽい部分はおそらくメリライトで,やや透明感のあるガラス光沢部は透輝石のようです.

 

 

 

 

最近の店内 ―2020年1月下旬―

$
0
0

 

 

 

 

 

 

 

最近の店内 

―2020年1月下旬―

胆礬・河辺石・スコレス沸石・輝安鉱・パイロクスマンガン石・鉄電気石・エトリング石・岩塩・紫水晶・菱マンガン鉱などを置いています.

 

ブルッシュ石・石膏・ヴァニア石・芋子石・含銀四面銅鉱・変種ジルコン・ベニト石・珪線石・水マンガン鉱などを置いています.

 

ペグマタイト系の立てた商品を置いています.束沸石・白雲母・カリ長石・煙水晶・曹長石・天青石などを置いています.

 

自然金・褐錫鉱・ホタル石・カミントン閃石・モンブラ石・ディカイト・曹達明礬石・明礬石・魚眼石などを棚の上に置ています.

 

300円均一の箱.現在進行形で増殖中です.

 

入って左側の棚です.輝葉石・コニカルコ石・ニッケル華・苦灰石・ユーディアル石・方曹達石・ヴァリシア石・菱亜鉛鉱・白鉛鉱・燐銅ウラン鉱・木蛋白石・杉石・藍銅鉱・ヴァナジン鉛鉱などを置いています.

 

主に岐阜縣田原産の晶洞型ペグマタイトを置いている棚です.カリ長石・曹長石・白雲母・ホタル石・褐簾石・エシキン石・玉滴石・輝水鉛鉱などを置いています.

 

新生代の植物化石および貝化石を置いています.最近になって琉球の瀝青炭と兵庫県の泥炭が入りました.

 

主に神戸層群の植物化石を置いています.

 

こちらも下の段の方は神戸層群の植物化石を置いています.

 

上から蛍光鉱物,2段目3段目は海外産標本.4段目は海外産8割に,地元の桜石を置いています.

 

水晶コーナー.

 

2020年1月下旬現在の店内は,こんな感じになっています.

 

 

一か所にまとめました

$
0
0

 

 

 今日の午後から,掃除を兼ねて今まで分散していた,商品を一か所にまとめていました.入ってすぐ左手の上部の棚の商品をレジ前に持ってきました.

 

 

 

 

 いままでレジ前にあった稀産鉱物は,入って左側の中段に移動しました.徐々に見やすくして行こうと思っています.

 

いくつかの研磨した石191

$
0
0

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石191

 

 京都府南丹市美山町大黒鉱山北鉱床の層状菱マンガン鉱を一面研磨しました.川の横に開坑しているため鉱石が残っておらず,サンプリングするのに難儀な鉱山の一つです.年末に訪問した際に一つだけ得ることが出来ました.裏面が一面に二酸化マンガンの酸化被膜に覆われているため,この面を一面研磨しました.

標本の正面です.

 

(研磨)菱マンガン鉱を主とする層状鉱石なので,簡単に磨れると踏んで磨り始めました.予想通り軟らかく磨りやすい石でしたが,石英脈が走っているらしく,水酸化鉄で褐色に染まっていました.水酸化鉄のシミが消えるくらいまで磨って,仕上げました.仕上げは青砥でしました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

黒いシミは二酸化マンガンと思っていましたが,検討したところ閃マンガン鉱でした.

 

割れ目にそって水酸化鉄と思われる黄色いシミが出来ています.淡紅―白色部が菱マンガン鉱,灰桃褐色部はアレガニー石のようです.

 

 

レンズ状に菱マンガン鉱が集まったように見える部分の拡大です.上の方の黒い筋は石英脈です.

 

こちらも上の方に石英脈(灰白色―暗灰色)が入っています.

 

 石英脈が2本確認できました.黄色いシミの正体は色的に水酸化鉄ではないように感じた.さらに石英脈の部分を拡大してみました.

 

石英脈の一部の拡大です.白色部は石英.黒色の粒が入っていました.劈開があり,にわかに赤っぽいので閃亜鉛鉱のようです.

 

こちらも石英脈を拡大したものです.中央の真鍮色は黄鉄鉱でした.どこでもできる鉱物の一つです.

 

三角形の結晶が見えています.硫砒鉄鉱のようです.磨っているときに変な臭いがしたのはこれの所為かもしれません.

 

 思ったより硫黄の多い石でした.硫黄が多いために出鉱されず現場に残っていたのかもしれません.

 

 

 

Viewing all 1632 articles
Browse latest View live