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感じのいい露頭7

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 前回の続きのようなものです.

 杉波谷の不動尊から帰ってきてからの話です.

 

 滝見道の入口付近が急斜面な上,岩場がかなりの

 範囲に出ていましたので,付近を探索しました.

  川床から祠のある尾根の鼻までは,層状チャート

 が露出していて,一部に頁岩を挟んでいるようでした.

  下流の河原の転石に黄ばんだ石英脈を含む塊が

 車窓からよく見えていましたので,どこかに露頭があ

 るのだろうと思っていました.

 

  祠のある尾根の鼻の直下に,脈を押したような坑口?

 があって,その対岸の延長線上を推理して追っていくと

 林道の脇の露頭に突き当たりました.

 

 

 露頭.おそらく断層.(ポールの紅白の幅は約20㎝)

  中央右上から左下へ伸びる線が断層の

ようで,線より上は層状チャート.線より下は頁岩.多少黄ばんだ

石英脈を含んでいました.石英脈は断裂していて,脈の様子はは

っきりしませんでした.

 

 

 頁岩の出ている部分の拡大.(ポールの紅白の幅は約20㎝)

 

 

 露頭の延長.(ポールの紅白の幅は約20㎝) 線の上のチャート

の一部が鉄錆で覆われている.

 

  この付近の谷はマンガンの気が殆どありませんでしたので,

小規模な鉱脈鉱床があるのかもしれません.今後の良い課題に

なりそうです.

 

 

 

追記

  更新してから,不動尊の滝の写真を眺めていると,

滝本体の右手に大きな岩が斜めに切れたようになっている.

  写した当初は「こういう滝なんだ..」と思っていたのですが,

よくみると大岩と滝本体の岩石が違うように思えてきました.

  上の断層の続きかもしれません.頁岩なら黒っぽく見え,

まして濡れている状況なら,もっと黒く見えますので,現場では

確認していませんが,滝本体は頁岩かもしれません.

  断層のところは比較的柔らかいので,水の摩擦で滝になって

いるのかもしれません.

    地質図で確認するとユニットの境界となる断層でした.ここまで

キレイに見えているところは京都丹波ではあまり無いように

思います.

  

  更新してからちょっと気になったので,追記しました.

 


いくつかの研磨した石106

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いくつかの研磨した石106

 京都府南丹市美山町向山 中野鉱山のヤコブス鉱の標本の

裏を一面研磨してみました.当標本は10年以上前にどこかで

購入しました.(非売品) 現在の向山大橋の南詰めの橋脚の

たもと付近にあったマンガン鉱山で,普段は大野ダム湖に水没

しているため,事実上行くことができない鉱床の一つです.

 あまり標本も出回っていなくてようやく入手したサンプルです.

 あのあたりの鉱床はどういう訳かダム湖や由良川の水面に

近いところに大きな鉱床があったようで,訪問できずにいます.

 今回は標本の裏面が広く二酸化マンガンの被膜に覆われて

いましたので,この面を一面研磨してみました.

 

(研磨)テフロ橄欖石を伴うと,元ラベルに記入があり,硬いこと

を承知で磨り始めました.表面の二酸化マンガンは瞬く間に

磨れました.標本の表面には黒色の脈状をなすヤコブス鉱に

挟まれるようにテフロ橄欖石が大部分を占めていましたが,

裏面にはじめに現れたのは,アレガニー石でした.黒色脈状

のヤコブス鉱に沿うようにして,帯紫赤褐色の不定形塊状が

入っていて水に濡れているとこの部分だけならキレイに見え

ました.端の方は分解しているらしく,灰白色の物質になって

いました.仕上げは青砥でしました.

 

(以下,顕微鏡写真です)

 黒色脈状はヤコブス鉱.その周囲の赤褐色部はアレガニー石.

多形のリッベ石は入っているかもしれませんが,肉眼では判別

は不可能です.灰緑色部はテフロ橄欖石.上部の黒色部は

二酸化マンガンからなる酸化被膜です.

 

 太いヤコブス鉱の脈の部分の拡大写真です.濃集しているのか

にわかに緑色がかった黒色をしています.この部分には磁石が

強く吸い付きます.

 

 こちらは塊状のテフロ橄欖石中に入っていた閃マンガン鉱です.

 研磨しているときに硫化水素の臭いがしていましたので,予想

通りでした.錆びると褐色に変色します.

 

 標本の端のほうにある,黒色脈状のヤコブス鉱に挟まれる部分で

す.黄色部は石榴石かもしれません.帯紫褐色部はアレガニー石な

どのヒューム石系の鉱物だろうと思っています.赤褐色の部分が不

明でほかのマンガンのヒューム石系の鉱物かもしれません.

 

 

 

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和束町白栖橋の灰水鉛石

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 先週までは暖かかったので

 滝巡りの最中は汗が噴き出るほどでした.

 昨日の雨で一気に寒くなりました.

 

  手持ちの短波紫外線灯が調子悪く,

 一度すべて分解してから,再度組みなおす

 と復活してくれました.

 

  もともとはアメリカ製の本体でしたが,基盤の

 接触が悪く,同じ規格の日本製が近くにあった

 ため,本体だけ日本製にしていました.

 

  分解して掃除したらようやく使えるようになった

 ので,一つ蛍光写真を撮ってみました.

 

 

京都府相楽郡和束町白栖橋西詰の灰水鉛石.

蛍光灯下での撮影です.(非売品)

 

 堆積岩を切る石英脈からのものです.当地付近からは

ほかに弗素燐灰石や輝水鉛鉱などがみられました.

 

こちらは短波紫外線灯下での撮影です.蛍光灯下では,乳白色ー白色

の皮膜状にしか見えませんが,短波紫外線灯下では,上のように鮮や

かに蛍光します.

 

 特筆するようなことはありませんが,短波紫外線灯が復活した

ので書きました.

 

 

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ひさびさの付加体のヤマにて

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 雪が積もる前に,いくつか行っておきたい

 ヤマに強行してみた.冬季以外の季節はヤマビルが

 猛威を振るい,それに阻まれて足が遠のいていた

 鈴鹿山系へちょっと行ってきました.

 

永源寺付近より.奥は雨乞岳.1000mを越える山は山頂部

が白くなっていて,これから行くところももしかしたら雪があるかも

しれない.

 

 パイパス工事で水のほとんどない永源寺ダム湖を東進し

現場の近くまで来た.通り過ぎる在所は急ピッチで冬支度が進ん

でいた.

 国道9号線―1号線―8号線経由で来たため,現場に居れる時

間自体が少なかった.陽の傾きも早く,適当に探索して切り上げ

る予定にしていました.

 

 予想に反して付近の道路に雪はありませんでした.

 

この奥に鉱床があった.

 

 鉱床があった堰堤付近まで上がってみました.

 

 

 こんな状況でした.谷の上部から崩落して,ズリがあったと思わ

れるところは,谷ではなく斜面になっていました.

 

 上部はこんな感じ.

 

 仕方なく,下の川原に転がっていないか探しました.

 

谷の上から土砂が被さり,部分的に抉れていました.

 

 付近は頁岩が多く,塊状の珪岩が滝状になったところに

引っかかっていた.マンガン鉱は2つほどサンプリングすること

ができました.下はその一部です.

 ばら輝石が多く含まれるらしく,劈開の一部の感じが異なって

いる部分があり,パイロクスマンガン石が混じっているかもしれ

ない.

 

 ほかに緑色岩?があり黄銅鉱や閃亜鉛鉱からなるレンズ状

の集合が3か所入った岩が上流から流れてきていた.

 

 現場で少し陽が陰ってきて雪の降りそうな空になってきたので

切り上げました.

 

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真39

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鉱物の顕微鏡写真39

今回は鉱物の紹介ではなく,手持ちの標本の

顕微鏡写真を紹介します.

(以下,顕微鏡写真です)

岡山県美作市白水鉱山のパイロクスマンガン石.(非売品)

 兵庫県から岡山県に入ったところくらいに位置するマンガン鉱床

より産しました.当初は鉄に汚染された見栄えのしない珪酸マンガ

ン鉱がよく見られましたが,探索の結果上のような結晶質のパイロ

クスマンガン石を見つけられました.

 

こちらも上の標本の別の部分についているものです.劈開に沿って

割れたものですが,裏面に結晶面が残っています.

 

 

その次

岐阜県関市洞戸鉱山の珪灰鉄鉱の結晶です.(非売品)

普段は塊状のものが多く,黒色で地味なので見過ごされがちです

が結晶するとどことなく愛着が出てきました.

 

上の写真の拡大写真です.

 母岩は石英と灰鉄石榴石で,石英は結晶して水晶になっていま

す.この水晶の根元をみると形はやや歪ですが,日本式双晶に

なっています.

 

 

その次

鹿児島県日置市日ノ本鉱山の紅安鉱です.この標本を得るため

に学生時代に高速バスで何度も通いました.標本は小さなもので

すが,はっきりと赤色が判別できます.(非売品)

 

産地は上の写真と同じですが,標本店で買い求めた石です.

(非売品)

 

 

かなり拡大しました.

 

 

その次

兵庫県宍粟市宍粟水鉛鉱山の燐灰石です.筆者が地学研究誌

上で報告したサンプルです.報文は白黒写真でしたので,当ブ

ログ上でカラー写真を掲載します.(非売品)

 

別アングルでの撮影.

 

結晶の頭の方から.

 

 知人よりカラーを挙げてほしいと注文がありました.手持ちの

カメラの接写ではこれが限界のようです.母岩はペグマタイトで

黒色部は黒雲母です.

 

 今回は趣向を変えてみました.

 

いくつかの研磨した石107

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いくつかの研磨した石107

 

 京都府南丹市美山町江和 民ヶ谷鉱山の層状マンガン鉱を一面

研磨してみました.この標本は13年ほど前に林道の入口に原付を

おいてから,しばらくあるいて訪問した時にサンプリングした標本で

す.現場は由良川と佐々里川の出合の西約3㎞のところの谷にあ

りました.坑口が上の方にあるようでしたが,先行者の割り跡を参

考にしながらの訪問でした.サンプルは2つ.上の標本と,子芋サ

イズのチョコレート鉱でした.

 

(研磨)標本の裏側が一面に酸化被膜の二酸化マンガンで覆われて

いましたので,この面を一面研磨することにしました.一週間以上前

から削り始めたのですが,やはり珪岩とパイロクスマンガン石の部

分が硬く,時間がかかってしまいました.二酸化マンガンの被膜の

一部が残ってしまうのもアリかと思って残しました.右端にある層状

炭マンの部分が一番軟らかく,先に左側の珪岩部分を磨ってから

層状炭マンの方に移りました.

 層状炭マンは軟らかいのでこちらで左右の高さを調整しました.

層状炭マンとパイロクスマンガン石の境界にテフロ橄欖石やアレガ

ニー石を含んでいるのも,磨っている途中で気づきました.仕上げ

は青砥でしました.

 

(以下,顕微鏡写真です)

パイロクスマンガン石との境界付近.黒色は二酸化マンガン.

 

層状炭マンとテフロ橄欖石の脈との境界.淡いあずき色の斑点の

ような部分はアレガニー石.黒色は二酸化マンガン.真鍮色の部

分は黄鉄鉱.

 

 

層状炭マンの部分です.内部に放散虫がいるような模様が入って

いるような感じですが,ここでは触れません.

 

テフロ橄欖石(青緑色)からなる部分.黒色は二酸化マンガン.

 磨っている途中に黄褐色の脈状のものが現れて,研磨して

いない部分を顕微鏡で確認したところ満礬石榴石でした.

 その右側に菱マンガン鉱(淡いピンク色),さらに外側にパイ

ロクスマンガン石です.

 

各部の説明はこのようになりました.

 

 

 

 

 

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いくつかの研磨した石108

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いくつかの研磨した石108

 

 滋賀県高島市朽木小川 小川鉱山のヤコブス鉱を一面研磨してみ

ました.京都府との県境に坐するイチゴ谷山とかヘラタニ奥とか市後

谷山とか呼ばれる890mの山の東約1㎞の小沢にあった層状マンガ

ン鉱床です.今から十年以上前に原付を駆っていたときにサンプリン

グした標本です.坑口まで上がらなくても谷沿いに鉱石が流出してい

ることが多く,主にこちらはパイロクスマンガン石などの珪酸マンガン

がみられました.

 上の標本は弾数があるため層状の構造が判りやすいものを選んで

一面研磨してみました.

 

(研磨)層状の炭マンなので簡単に磨れると思い,大村砥で一気に磨

り上げました.細かいところはサンドペーパーで補い,仕上げは青砥

でしました.

 

(以下,顕微鏡写真)

アズキ色炭マンの部分です.赤褐色―黒色の筋がヤコブス鉱で,

黄白色―淡紅色部が菱マンガン鉱です.ヤコブス鉱の筋に挟ま

れる赤褐色の不定形塊状はリッベ石(Ribbeite)が含まれるそうで

す.知人に含まれてるよ..と指摘されましたが,良くわかりませ

ん.そこでもっと拡大してみました.

 

白色の脈が菱マンガン鉱.

 

こちらは別の部分の拡大です.これでもよくわからないので,

カメラのズームを使用してもっと拡大してみました.

 

手持ちの機材では限界まで拡大しました.赤褐色の柱状のような

ところがリッベ石かもしれません.

 

こちらはヤコブス鉱の筋です.顕微鏡で観察していると脈が途切れ

途切れになっていました.粒が確認できるかもしれませんので,

更にこの部分を拡大してみました.

 

こちらも手持ちの機材で限界まで拡大したものを撮影しました.

黒いところがヤコブス鉱のようです.白色部は菱マンガン鉱.

 

 

 

 

 

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いくつかの研磨した石109

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いくつかの研磨した石109

京都府京都市右京区京北熊田町西谷 天理鉱山の菱マンガン鉱を

一面研磨してみました.13年ほど前にサンプリングした標本です.

 標本の裏が平滑ではないために不安定でした.ここを一面研磨し

てみました.鉱山名はおそらく宗教とは関係無いとは思いますが近

くに教会もあり,なんとなく関係がありそうに思える.

 あまり熱変成を受けていないらしく,パイロクスマンガン石やばら

輝石などの珪酸マンガン鉱が見られませんでした.

 

(研磨)層状の炭マン鉱なので,簡単に磨れると思い一気に磨りはじ

めました.硬い鉱物が入っていないためか,あっという間に磨りあが

りました.仕上げは青砥でしました.

 

(以下,顕微鏡写真)

 

カリオピライトが混じっていました.中央の褐色部.黒色の筋は

石墨ないし非晶質炭素物質.

 

 

 

特に肉眼で判るような鉱物は入っていませんでした.ただ短波紫外

線灯下で微細な柱状の輪郭でオレンジ色に蛍光する燐灰石が含ま

れていました.

 

この鉱床では,石墨・閃マンガン鉱・黄鉄鉱・石英・クリプトメレン・横須賀石・菱マンガン鉱・方解石・燐灰石・テフロ橄欖石・カリオピライトなどが確認されています.

 

 

 

 


いくつかの研磨した石110

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いくつかの研磨した石110

岡山県井原市芳井町東三原 三原鉱山のベスブ石―石榴石―ホタル石からなるスカルンを一面研磨してみました.上の標本は数年前の布賀の巡検の時にサンプリングしたもので,成形時に出た端材の一部を利用しました.色の異なる石榴石が2種入っていて,おもしろそうなので磨ってみました.ベスブ石はボヤーっとした灰緑色塊状の部分で粒の間に珪灰石や方解石などが充填していました.

上の写真は磨る面の反対側です.

 

(研磨)石榴石が結構入っているので硬いと思ったが,磨っていると案外簡単に磨れてくれました.ただしやはり石榴石のところがモッコリでてしまう.ベースがベスブ石で硬度がある程度あるため,根気よく磨っているとようやく平滑になってくれました.仕上げは青砥でしました.

 

(以下,顕微鏡写真)

 

 

茶褐色の部分が石榴石.灰緑色部がベスブ石.

ホタル石の磨ったものが画像では分かりづらいので,割り面の判りやすい写真を掲載します.赤紫―赤色の部分がホタル石.茶褐色―淡桃色が石榴石.先に淡褐色の石榴石ができてから後で茶褐色の石榴石ができたように思う.この石の母体となった標本名は「クスピディン」です.顕微鏡的なクスピディンが白色部に含まれているかもしれない.

 

部位の説明はこんな感じになりました.

 

 

 

 

 

 

 

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麻生川の渓流と滝

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 麻生川の渓流と滝

 

 先日,ちょっと滝巡りをしてきました.先週に降った積雪の様子も見てきました.国道27号経由で小浜方面に向かいました.綾部市老富町付近まで来ると,すでに除雪が始まっていました.おおい町に抜けると山の上の方は,雪化粧していたものの里のほうは積雪は未だありませんでした.(すでに除雪されて融けたのかもしれない)

 ちょっと出ただけなので,遠出する訳のもいかず,熊川宿から朽木方面に抜けました.その前にちょこっと野尻鉱山に探索に行き,弁柄用の磁硫鉄鉱を掘っていた跡を確認してきました.野尻在所の奥に大規模なカラミの堆積場があって,これの対岸の植林内もカラミだらけでした. 

 半分以上崩壊していますが坑口を2つほど確認しました.母岩はチャートのようで,水酸化鉄の染みたものが多数見られました.弁柄は昭和の終わりのほうまでやっていたらしく,跡地は資材置き場になっていました.舞鶴若狭道が開通してから付近の様子は随分変わったようでした.

 時間が正午を回ったところで,檜峠から麻生の谷に入ってみました.この谷は原付で駆っているときに,上流にある柳谷鉱山と乗鞍鉱山に行っていた記録があって,ハウスマン鉱やヤコブス鉱からなる高品位鉱をサンプリングしたことがありました.

 車を走らせていると,麻生の在所のバイパス道から少し上流に行ったところで,対岸(北岸)に坑口が見えたので,適当に川に下る道を探して,川原に降りてみました.

対岸の坑口.県道より.

 

河原.転石はチャートや緑色岩の類が多い.どこから流れてきたのかはわからないが,結構な数の花崗岩が川原にみられました.

 

上流側.

 

対岸の坑口.マンガンを採掘したのか,炉材珪石を採掘したのかは不明の坑口です.

 

 さらに上流を目指しました.以前までは家屋が数軒あった熊畑や足谷口は更地になっていて,あちこちで水害の跡が残っていました.熊畑の谷の上流に幾つかマンガン鉱床があって,その転石としてマンガン鉱が幾つか見られていましたが,今回は流出したのか全くありませんでした.

 

 木地山の手前で,谷の南岸に滝を2つ見つけたので,寄ってみました.ちょっとした植林を抜けると川原に簡単に降りれました.

 

滝.無名の滝.(下の方に掲載する地図では①の滝になっています) 苔むしていて感じの良い滝でした.高さは目視で10mくらいか.

 

 

 

 

 

 ①の滝から上流に30mほど進んだ南岸にも滝がありました.

 

無名の滝.(下の方に掲載する地図では②の滝になっています)

 

 

こちらは層状チャートの壁を一気に滑り落ちているような滝でした.高さは8mくらいではないかと思います.

 

 河原をぶらぶらしていると,感じのいい淵があったのでカメラに収めました.対象は2つあって,どちらも層状チャートの露頭で苔むしていていい感じになっています.

 (下の方に掲載する地図では①の淵となっています)

 

 

背後の露頭は層状チャート.水が澄んでいて,いい感じの壁紙になりそう.

 

手前の川原に紋様の良い感じのチャートもありました.

 

 もう一つの淵は,①の淵の西,①の滝,②の滝を挟んで,更に西へ行ったところにありました.

(下の方で掲載する地図では ②の淵になっています)

 

こちらも背後の露頭は層状チャートでした.

 

 

 一通り確認して,今回はこれで帰途に就きました.

 

上の渓流と滝の位置図です.いつも通りペイントを使用してフリーハンドで描いていますので,縮尺は無視しています.参考程度に.

 

 

いくつかの研磨した石111

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いくつかの研磨した石111

 京都府船井郡京丹波町長瀬 川谷鉱山の炭マンを一面研磨してみました.以前にも少し触れましたが,京丹波町長瀬にある龍王の滝の手前にある鉱山です.上の標本は13年ほど前に原付で駆っていた時にサンプリングしたものです.当時は鉱山名は判らず龍王の滝旧坑としていました.上の石は成形時に出た木っ端の一部で,これを一面研磨用に残していました.一見,パイロクスマンガン石のようですが,菱マンガン鉱も入っているようです.

 

(研磨)パイロクスマンガン石主体のように見えましたので,非常に硬いことを承知で磨り始めました.予想に反して案外軟らかく,比較的短時間で磨り上がりました.当初は前述のようにパイロクスマンガン石主体と思っていましたが,菱マンガン鉱が以外に多くここに硫化鉱物がたくさん入っていることに気づきました.仕上げは青砥でしました.

 

(以下,顕微鏡写真)

上の写真の中央の黒い筋より下の曇りかがった部分の拡大です.よく見ると黄鉄鉱などの硫化物が鉱染しています.

 

上の写真の一番下の部分の目視で黒い筋に見える部分の拡大です.二酸化マンガンの染みと思っていたのですが,黄銅鉱や閃亜鉛鉱などの硫化鉱物の集合でした.

 

 こちらは研磨石中央の黒い筋の部分の拡大です.黒い線に囲まれた白っぽいところは菱マンガン鉱で,あとで熱水脈が切ったようで研磨面以外の部分の観察で,閃亜鉛鉱や磁硫鉄鉱を含んでいました.

 

その部分の拡大写真です.研磨面以外での顕微鏡観察で,中央の灰褐色部は閃亜鉛鉱であることが判りました.橙色の筋は満礬石榴石のようです.

 

 

 

鉱物の顕微鏡写真40 ―グラフトン石・紅燐石―

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鉱物の顕微鏡写真40 

―グラフトン石・紅燐石―

 

産地は同上.画像内に記入しました.(非売品)

 

Graftonite  グラフトン石

組成:(Fe,Mn,Ca)3[PO4]2  単斜晶系

色:帯紅褐色・淡褐色・サーモンピンク色・暗褐色絹糸光沢.

モース硬度:5

比重:3.67-3.79

劈開:[010]完全

条痕:淡桃色.

名称は原産地のMelvin Mountain, Grafton, New Hampshire, USA.

に因む.

 

Sarcopside  紅燐石(サーコプサイド)

組成:(Fe,Fe,Mg)3[PO4]2  単斜晶系

色:灰桃色・淡赤色・緑色・ラベンダー色・青色絹糸光沢.

モース硬度:4

比重:3.64-3.73

劈開:[100],[001]良好

条痕:白色.

 

 以前にも少し触れましたが,雪入山の燐酸塩鉱物を幾つも入手した時にはよくわからなかった鉱物です.その後に名古屋か大阪で入手した標本に両方とも入っているようなことがラベルにあった標本を入手しました.両者は同じ鉄の無水燐酸塩鉱物で,よく似ている上に一緒に出てくるという,肉眼的にも判別できない鉱物の様でした.

 海外には判別できる標本があるかも..という安易な期待でいろいろ探しては見たのですが,稀産鉱物である上に標本自体が少ないようで,上の標本はようやく入手しました.入手はしたもののどの部分がグラフトン石で紅燐石なのかは肉眼では全く区別ができませんでした.

 なんとか雰囲気だけでもと,顕微鏡観察をして撮影しました.母岩は灰褐色―黄褐色粗粒の石英ないし長石で石英―長石中のペグマタイトより産したようです.

 

(以下,顕微鏡写真)

 

桃色の部分も褐色の部分も拡大すると全体的に入っていて共存はしているようです.二枚目の写真の中央の黒色部は藍鉄鉱でした.

 

 

 さて国産の標本ですが,前述のとおり茨城県かすみがうら市雪入山の標本です.過去の名古屋か大阪で購入したものと記憶しています.ラベルにはグラフトン石,紅燐石ともに入っているような記載でした.(非売品)

矢印の先の鉄礬石榴石のような部分らしい.(非売品です)

 

 

サーモンピンク色の部分も褐色の部分も共存しているように見えました.母岩自体は白雲母と白色の長石,灰白色の石英からなるペグマタイトで,黒色皮膜状や粉末状に見える藍鉄鉱や,緑色皮膜状の二次鉱物などを伴っていました.

 

 

 

 

 

 

 

 

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今回は化石コーナーを少しいじりました.

 

 このほかに レジ横の300円均一も増殖中です.

 

 

営業時間は 10時~18時まで.

毎週月・火曜日 定休日

祝日は営業しています.

 

 

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いくつかの研磨した石112

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 いくつかの研磨した石112

 栃木県鹿沼市引田片山 引田鉱山本坑の黄銅鉱―黄鉄鉱―閃亜鉛鉱石英脈を一面研磨してみました.7~8年前の池袋ショーでサンプル購入した石です.現場にはいったことがありませんが,知人から伺ったら墓地の裏から登って行くところという.上の写真にも下の方に写っているが黒色の頁岩を切る脈のようで,やや肉眼的な黄鉄鉱や黄銅鉱,閃亜鉛鉱などが含まれていました.

 

 研磨面では無い面の拡大です.黄色が黄銅鉱.黒色が閃亜鉛鉱.白色―灰白色半透明が石英.褐色は酸化被膜です.

 

(研磨)脈の部分が比較的広範囲に占めていました.脈の部分に金属鉱物が濃集していましたので,柔らかいと踏み一気に工業砥石で磨り上げました.その後は青砥に代えて,仕上げは愛宕砥石でしました.

 

部位の説明はこんな感じです.

 

 

 

 

 

 

その2

 群馬県利根郡みなかみ町阿能川 阿能川鉱山の黒鉱を一面研磨してみました.数年前の京都ショーでK社でサンプル購入しました.黒鉱をいろいろ販売していたらとりあえず買っておくという風にしていました.黒くて重いキレイな石ではありませんが,いろいろな金属が溶け込んでいて,一面研磨するといろいろな顔を見せてくれるので面白い石です.この石は箱に入れたときに座りが非常に悪かったため,内部を覗くのも兼ねて一面研磨してみました.

 

 

研磨面以外の面の拡大です.白色―灰白色部が重晶石,真鍮色が黄鉄鉱.黄色―橙色は水酸化鉄?による着色です.

 

 

(研磨)白色部は重晶石がかなりの部分を占めているようでしたので,簡単に磨れると思い一気に磨り上げました.予想通り硬い鉱物は含まれていませんでしたので,青砥で仕上げると感じ良くなりました.

 

 

 部位の説明はこんな感じになりました.前述の引田鉱山,この阿能川鉱山も当方は行っていないので詳しくは書けません.ただ磨ったら面白うそうなので手を出しました.

 

 

 

 

 

 

その3

 宮城県加美郡加美町宮崎鉱山の閃亜鉛鉱―重晶石を一面研磨してみました.この標本はいつごろかは覚えてませんが,東北の方と交換か何かをして入手したものだったと思います.塊状鉱を希望していたのですが,結晶の生えているものがあったからとかでした.資料を漁ってみると石膏・ボヤマン(ボヤマンガン)・鉛亜鉛を広く稼業していたようで,上の写真の石から黒鉱のようです.巷には透石膏が出回ってるようです.軟らかいはずと踏んで研磨してみました.

 

 

 

 

 こちらは研磨面以外の部分です.

 

 

 (研磨)重晶石主体のように見えたので,前述のとおり力任せに一気に削りとりました.やや透明感があり鼈甲亜鉛の気(ケ)がある閃亜鉛鉱が自形結晶が埋まっているのか,研磨剤に引っかかってポロポロとれて穴になってしまう.上の写真の中央の黄色い部分は鼈甲亜鉛の取れた跡の穴です.どこまで磨ろうかと思案しましたが,上の状態でやめました.仕上げに青砥と愛宕砥石を使用したのですが,思った感じの光沢が出てくれませんでした.別な手を考えてやってみようと思っています.

 

 各部位の説明はこんな感じになりました.前述通り赤褐色部は鼈甲亜鉛が抜けた跡の凹みに水酸化鉄が被ったものです.

 

 

 

 

 

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いくつかの研磨した石113

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いくつかの研磨した石113

山口県山口市阿東町川井山鉱山の藍銅鉱からなる石を一面研磨してみました.数年以上前にどこかのショーでサンプル購入しました.大きさが小さく,石の側面の真ん中付近に脈状になって入っていましたので,研磨していくと面白い石になるだろう,と思ってやってみました.当鉱床へは,すぐ近くまでは行ったことがありましたが,結局地元の人に聞いても,「向側の山にあった」というのを耳にするくらいでした.

 

(研磨)二次鉱物の塊なので,簡単に磨れてくれる思い,安易な気持ちで磨り始めました.表面はあまり色がきれいではない珪孔雀石に覆われていて,この部分は比較的早く削れました.下の方から藍銅鉱の青色が顔を出し始めるといよいよ硬くなってきました.なんでこんなに硬いのだろうと,研磨を休止して顕微鏡で確認してみると,中に微細な石榴石と石英が入っていました.磨って行くと中から未酸化の閃亜鉛鉱などが出てきて,このあたりで研磨を止めました.あまり磨りこむと二次鉱物の部分だけが削れてしまう恐れがあった.仕上げは初めに青砥で磨ったあとで,研磨チャートで表面を磨りました.やはり硬度の高い石榴石だけが光沢が出ていました.

 

(以下,顕微鏡写真)

鮮やかな青色部が藍銅鉱.緑色が孔雀石.ほかの白色っぽい緑色は珪孔雀石.

 

 

黄褐色部の粒状が石榴石.

 

 

 

 

 母岩は二次鉱物で汚染された凝灰岩のようで,それらを切る細い脈で珪孔雀石が入っていたり,孔雀石があったりしています.そのほかの研磨面以外の部分にはブロシャン銅鉱や褐鉄鉱,水亜鉛銅鉱などが付いていました.

 

 

 

 

 

 

 

 

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 3点 追加更新しました.

 


いくつかの研磨した石114

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いくつかの研磨した石114

 滋賀県東近江市蛭谷町朝日谷鉱山の菱マンガン鉱を一面研磨してみました.今はおそらく積雪で入れないと思います.鈴鹿山脈の西側に位置する層状マンガン鉱床のものです.上の標本は自分の標本用に成形していたら一番いい部分がそぎ落とされてしまった.色彩が鮮やかでしたので,研磨用にまわしました.

 

(研磨)色が随分と鮮やかだったためばら輝石の混入も考えて,すり始めました.はじめは工業砥石で荒磨きしたのですが,思った以上に軟らかく,途中で塩酸で確認したところ全体から発泡しましたので菱マンガン鉱からなっていることがわかりました.仕上げは青砥でしましたが思った光沢が出てくれず,手元にある研磨チャートでも試してみましたが,こちらもうまくいっていません.なにかほかの方法を考えようと思っています.

 

(以下 顕微鏡写真)

菱マンガン鉱が角礫状になった部分です.鮮やかなピンク色は光源の違いで白っぽくなってしまいました.

 

こちらも角礫状の部分.

 

あとから切ったと思われる脈の拡大.母岩と同じ菱マンガン鉱と思われる.

 

肉眼では硫砒鉄鉱?と判断した硫化物です.かなり小さなもので付近に細かい石英を伴っていました.

 

 こちらは閃亜鉛鉱.かなり小さいですが劈開と金属光沢で何とかわかりました.これらのほか石英脈中に菱マンガン鉱と黄鉄鉱を伴うものや方鉛鉱を含むばら輝石などがありました.鉱脈自体を見ていないので,何とも言えませんが一部に鉱脈鉱床があるのかもしれません.

 

 

 

 

 

 

年末年始のお知らせ

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年末年始のお知らせ

 

2018年年末から2019年年始の営業日および休日は以下のようになりました.

は休業日です.

 

 

明日,12月30日はいつもどおり営業しています.

 

 

 

浜横川の緑の石

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 浜横川の緑の石

(表から)

(横から)

 先日に机の上を探していたら,長野県浜横川鉱山のチップのような石が出てきました.二酸化マンガンの被膜の上に修正液で被覆し産地名を記入していました.9年ほど前に訪問した時にサンプリングした石です.前日に小雨が降っていたうえ,当日は曇天でジメジメ,石は濡れていて品位がよくわからず,おまけにでっかいブト(ブユ)に4か所もやられた思い出深い産地です.ずいぶん前からサンプリングした石で,ちょっと気になった石は裏面や側面のわずかに残った酸化被膜に,修正液で被覆し産地名を記入していました.結構整理ができないので,混ざってしまうのを避けるために産地を明確に記入しておくことにしていました.先日に出てきた石を改めて見直すと,緑色の粒がありこれが気になってストックしていたものだと,思い出しました.上の石は大部分がばら輝石です.灰緑色―淡黄色部に見える部分がテフロ橄欖石,黄白色部が菱マンガン鉱,帯紫赤褐色部がアレガニー石です.(非売品)

 顕微鏡で確認すると緑色の粒は2種類あることに気づきました.以下は顕微鏡写真です.

 

 

 

 

手前の草緑色は劈開のようなものが見え,緑泥石のよう.奥の緑色がよくわからない.目視,ルーペ下ではアップルグリーンを呈しガラス光沢をしていました.劈開は小さすぎてあるのかないのかははっきりしません.緑色の重晶石というのが丹波帯の層状マンガン鉱床でよく見かけていますが,これより品は良い緑色にみえました.重晶石ではないように思う.

 

以下は3枚目の中央下についている緑色の粒です.

 

鮮やかさと光沢が鈍く緑泥石のようです.

 

 

 いくつかの文献に浜横川鉱山より「鈴木石」の記載がありました.標本の数は多いらしいことを聞いているが,多くが緑泥石で鈴木石はほとんど無いという話もあとから聞いた.アップルグリーンの部分が「鈴木石」である確証はありませんが,そうだったらいいな~と思っています.

 今回は2種の緑色の粒を確認し顕微鏡観察をしましたので写真に撮ってみました.

いくつかの研磨した石115

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 今年は寝正月でした.

 昨年の12月上旬は暖かかったのに下旬で,一気に寒くなったので

 どこへ行く気もありませんでした.

 

 今日からブログの方は始動です.

 

 

 

 いくつかの研磨した石115

  以前に少し触れました.京都府南丹市園部町 大和谷鉱山のブラウン鉱を一面研磨してみました.当地のサンプルは以前に重晶石を紹介しました.今回はずっと置きっぱなしになっていた当地のブラウン鉱です.標本的にはイイモノではありませんが,こういうものも出たという意味でサンプリングしていました.母岩のチャート質の部分が非常に堅いためにずっと置きっぱなしになってました.磨り残しがまだありますが,すでに出ているブラウン鉱が磨り消えてしまいそうなので,この辺でやめました.

  当地は丹波帯Ⅱ型の堆積岩中の黒鉱鉱床です.京都府採掘鉱区2号で,銅を採掘していました.鉱床上部の坑前のズリに二次帯が発達して様々な二次鉱物が出て口丹波では有名な産地になっています.

  当地のマンガン鉱物は轟石・カルコファン鉱など二酸化マンガンの鉱物に限られて見られましたが,数年前の観察会で見つかって知られるようになりました.観察会のしばらく後にこの石をもう少し見ておこうと思って訪問しましたが,その一週間ほど前に大水があった(多分そうだったと思う)ため石が流出したのか,現場には残っていませんでした.この産出の随分前,筆者がまだ高校生の時に,祠の下で菱マンガン鉱一つを採取していましたが,こちらは分析はやっておらず,またそのサンプルも失くしてしまったのか,探しても見つかりませんでした.

  丹波帯ではブラウン鉱の産出はかなり少なく,数ある京都のマンガン鉱床で筆者が確認したのは,日吉鉱山・細野鉱山・古和木鉱山・地堂鉱山・護法谷鉱山・足谷鉱山などでした.上の標本は観察会の時にサンプリングした内の一つです.実際は比較的大きな石を成形時に半分に割った片割れで,割れた面が比較的平坦だったのでこの面を一面研磨する面に選びました.

 

 (研磨)前述のとおり非常に堅い石で,磨り始めたのはいいものの砥石が負けてなかなか思うように磨れませんでした.以前の回に炉材珪石山の赤白チャートを研磨したよりも研磨しづらい感じがしました.赤白珪石はこの石よりも粒がそろっていて硬い割には早く研磨でしたのだと思っています.上の石はその点からいうと堆積時にいろいろな岩片が入っていて,それが珪化したような感じの石で,粒が不揃いなため平滑にするのに手こずりました.時間をかけてなんとか平滑にはできたものの凹部が残ってしまって,お蔵入りみたいな感じになったためにずっと放ったらかしになっていました.今回のためにもう一度荒砥から磨り直しました.凹部は相変わらず取れませんでした.この際無視して仕上げをしました.仕上げは青砥でなんとか頑張ってみたものの,やはり砥石が負けて砥石ばかり削れてしまい,うまくいきません.荒い大村砥ですこし磨ってから愛宕砥で再度磨りなおすと光沢が出てくれました.本当の仕上げはまだやってません.研磨チャートで多分うまくいくと思っています.

 

(以下 顕微鏡写真です)

 写真中央部の帯青鋼灰色(画像では黒色)の金属光沢部がブラウン鉱です.

 

 一番最初の左端くらいについている部分の拡大です.当初は菱マンガン鉱か方解石などの炭酸塩鉱物を予想していましたが,ばら輝石の類だということです.写真では白っぽく映っていますが,目視ではもう少しオレンジ色っぽい色をしています.(色では確定できないが,南部石か?)

 

 こちらはブラウン鉱の粒の近くを切っている二酸化マンガン様の脈の拡大です.顕微鏡で拡大すると脈の一部が白色のマンガン鉱になっていました.もっと拡大するとカリオピライトかネオトス石のような質感の物質が埋めているところがありました.金属鉱床の近くのマンガンなので,志摩半島の鉄マンガン鉱床のようなREEに富んだ変な鉱物も微細ながら入っているかもしれません.(いや,是非入っていてほしいものだ)

 

 初めの画像の右上の赤色チャート様の部分の拡大です.なんとなく角礫状になっているのが観察できます.暗い灰黄緑色部は緑泥石かもしれない.

 

 画像の中央の目視では黒色部に見える母岩の拡大写真です.細かい緑泥石様の鉱物でできているようです.透明部は石英の様です.

 

 

 

厳木鉱山の針ニッケル鉱

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 昨日,整理していると2001年11月ごろに訪問した,佐賀県厳木鉱山のマンガン鉱石がたくさん出てきました.鉱山については過去にも少し触れました.当地には過去2回程度訪問しましたが,初めて行った頃のサンプルが行方不明で,今回出てきたサンプルは2回目に行ったときのものです.この時に笹原の手前でうろうろしていた時に偶然,上流のダム工事に関わった建設会社の会長さんにお会いして,いろいろ話を伺うことができました.昭和40年ごろに九大の関係者が来ていろいろ調べていったとか いう話を伺いました.登り口等も伺いましたが,現場に行くと入り口はわかりましたが,登っていくと藪になりこれ以上進めない状況になったので,位置だけ地形図で確認して集落の東から出ている林道を伝って尾根から入ると,聴いていた現場と合致しました.時間切れ間近でサンプリングした覚えがあり,そのサンプルもしばらく行方不明でした.当時は鉄道利用で行っていたため,薄暗いなかマンガン鉱抱えて歩いた記憶があります.

 サンプリングした石は二酸化マンガンにひどく覆われていて,内部は緑色の角閃石類を伴った汚い色のばら輝石でした.割れ目が多く,その割れ目にネオトス石が入っていて,ここから割れやすく成型に難儀する石でした.そのうちの一つを写真に撮ってみました.

 

 

 

上の石はごちゃごちゃ入ったサンプルの箱に「黄銅鉱」とラベルを付けていた石です.県内での産出はあまりないようでしたので,小さくてもサンプルとして残していたようです.写真上部の二酸化マンガンが何となく気になり割ってみました.

 

 

 上のように斫りのハンマーで試してみるといい感じで割れてくれました.割れ目をルーペで観察すると,針状の針ニッケル鉱が出てきました.当地の針ニッケル鉱は以前に緑褐色のテフロ橄欖石中に微細なものを確認していました.今回はばら輝石の集合からのものです.

 

(以下 顕微鏡写真)

 

黄銅鉱.ばら輝石中に閃亜鉛鉱に伴っています.

 

こちらは閃亜鉛鉱.

 

 赤褐色板状部がパイロファン石.

 

針ニッケル鉱.かなり小さいです.

 

 それをもっと拡大したものです.下の赤い部分はばら輝石です.

 

 

 当地のサンプルはいくつかありますが,どれも小さく標本にとれるものはありませんでした.

 

 

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