ちょっと期間が長くなっていますが、前回の続きです。
四国巡検の2日目は朝から市之川鉱山へ。過去2回訪れていましたが、そのうち1回が日没後に更に1回がジャジャ降りの日に来て、収穫も何もなかった。
昔、馬車で鉱石を搬出していた細い道を辿り、公民館のある(字)白目へ。小広い駐車場の脇に停めて身支度をしていると、公民館の館長とうまく出会えた。交渉役がうまく話をしてもらい、資料館の中と鉱脈露頭、更に水晶の採集できるズリに案内してもらえることになった。
初めて学校内に入った。
千荷坑。主要坑口の一つ。ちょうど対岸に選鉱所と事務所があった。
露頭付近の川原。下流を見ている。左岸の植林の中に社宅があったとか。
その後、川原に降りてアンチモン鉱脈の露頭に案内された。この露頭に行くには何度か川を渡るようだったが、筆者は長靴など用意していなかったためにいつも通り、素足になってまだまだ冷たい水の川を渡った。対岸の川原には竪穴もあって案内なしに入るのは少し怖いかもしれない。
昔は橋があって対岸に渡るのも苦労は無かったそうで、対岸に事務所と選鉱所があったそうだ。あとは運動場の前まで軌道で運んで、馬車による運搬に頼ったとか。
左岸に道らしきものがあることを質問したら、鉱山稼業時に社宅があったとか。露頭は川の横で、確かにアンチモン特有の黄色い染みのようなものが吹いている露頭だった。奥(上流側)に内部の見える坑口があるようでそれも同時に見に行った。
坑口の前に幾つかズリ石のような石があったが、鉱石らしい石は見当たらない。黒色片岩ばかりだ。
一度戻って、車で採集できる地点まで案内された。新規の林業用杣道に沿っていくつかのカーブを越えると確かにズリっぽい地形が目に入った。杉林は枝打ちされていたが、下に枯れていない花芽をつけた枝が散乱していて歩くごとに黄色の粉末が宙を舞う。花粉の薬は事前に服用していたが、こんな状況では採集どころではなく、くしゃみの連発でズリに一番上まで這い上がって、風上でうろうろしていた。
ここのズリは水晶が採集できるらしい。輝安鉱は?と尋ねたが、小さなものは何人か見つけているが・・・と仰る。とか言っても下で探すこともできず、ズリの上にある坑口の前で、何とか輝安鉱を・・・と坑口の延長線上を探していると、やっとのことで輝安鉱を見つけることができた。
市之川鉱山の輝安鉱(Stibnite)。中央の銀白色部。割った瞬間から錆びてきて、割れ面が虹色に錆びるところもあった。母岩は黒色片岩を貫く黄ばんだ石英脈。
この鉱山ではまともに輝安鉱を採集したことがなかったので、気分を良くした。その後は塊状のものもあって、メタ輝安鉱と思われる赤い染みのようなものを伴ったものがあったが、種類が少なく次第に飽きていった。
みんなは、飽きもせずによく集中力がもつなぁ~なんて思いながらズリ下の杣道で見ていた。
後で見つけた輝安鉱を見せると少々驚いているようだった。規模が大きい鉱山なので探したらあるだろうと思うようになった。とはいえ明治期に産したような立派なものは到底望めないが。
採集がひと段落して、公民館に戻る。いろいろ話してここに所蔵されている輝安鉱の一本剣を見せていただいたり、ちょっとした珍事故の間に資料をいただいたりした。
結局、当初は一時間から2時間程度で切り上げるつもりが、昼過ぎまで遊べた。内容次第では一日遊べるところのように思う。
鉱山へは、10トン車が入るらしいのだが、離合ができるくらいの幅がないところが多く、対向車が来ないかハラハラしながら運転しなければならなかった。市街からもう少しアプローチが良ければ、行きやすいだろう。
鉱山を辞して、やや遅い昼食になった。一人で来るときは面倒がってコンビニ弁当を食うか、食べないかの2つに一つなんだが、いいところがあるらしいので、そこによっていく。
関川川原より東赤石山(標高1707m)を望む。エクロジャイトとかダナイトはこの山の東部にある権現谷から流れてくるそうだ。ちょうど写真中央あたりに赤石クロム鉱山があった。
帰り際に関川の川原に寄って、結晶片岩類を小一時間観察した。川原は以前になんかの写真で見たような広いところではなく、石もあまりなかった。エクロジャイトと滑石片岩をいくつか拾って、今回はこれで引き上げることになった。
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