石の話
2020年秋
田 倉 山
京都府福知山市夜久野町・兵庫県朝来市山東町
3
~田倉山火山の火口縁に沿う林道の転石より~
火口跡の標識のところより,林道沿いに少し登ったところにあった転石を研磨してみようと思い,一つサンプリングしました.当地の火山岩類は田倉山溶岩と衣摺溶岩と小倉溶岩の3つがあって,多孔質な玄武岩と緻密な玄武岩がみられます.田倉山山頂付近は多孔質のスコリアでできていて,黒色緻密な玄武岩は少ないようでした.今回は黒色でやや緻密な玄武岩を見つけたので,表面を顕微鏡撮影しました.
展望台付近や火口跡内に見られる一般的なスコリアです.橄欖石と少量の斜長石が含まれていました.
こちらは黒色でやや緻密な玄武岩の表面を拡大した写真です.思った以上に斜長石が含まれていました.
斜長石.長いものでは1㎜くらいありました.周囲に輝石や磁鉄鉱などが取り巻くものもありました.
玄武岩の割れ目や孔に充填するように入っているノントロン石(Nontrinite)です.黄色っぽくなったもの以外に白っぽいものがあって,クリストバル石の表面をコーティングしたようなものもありました.
磁鉄鉱です.風化面にシャープな普通輝石のような結晶が入っていて,普通輝石と思っていたのですが,強い磁力があって磁鉄鉱でした.大きさは最大0.5㎜くらいで,大きな粒は含まれていませんでした.
普通輝石です.この普通輝石は周囲の個体よりはるかに大きく,1.5㎜ほどありました.周りにノントロン石のような鉱物を伴っています.
田倉山附近の鉱物で今のところ金雲母だけを見ていません.もう少し探索してみようと思います.