Quantcast
Channel: 天然鉱石専門店 ミネラルショップ たんくらのブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1632

いくつかの研磨した石222

$
0
0

 

 

 

 

 

 

 

いくつかの研磨した石222

研磨面.

未研磨面.

 

 福井県大飯郡おおい町名田庄内挙原合子谷 中畑鉱山合子谷鉱床のカリオピライトからなる低品位層状マンガン鉱を一面研磨しました.先日の滝めぐりの前に少し行った現場で,坑口までは上がらずに手前にある鉱石溜まりでサンプリングしました.中畑鉱山は本坑や立山坑といった主力鉱床は隣接する小浜市上根来および中ノ畑にあり,境界にある遠敷端の高(標高748m)と呼ばれる山を挟んで,名田庄側にもいくつか小規模な鉱床が続いているようです.

 低品位鉱石を構成するカリオピライトは低変成度の鉱床によく見られ,変成度が上がるにつれて,テフロ橄欖石やばら輝石になっていくそうです.変成度の高い珪酸分の多い鉱床でも,鉱石の割れ目に発達したネオトス石の二次鉱物で産することがあって,ネオトス石と思っていたものが,分析するとカリオピライトだったという話はよく耳にします.褐色のカリオピライトに挟まれるように入っている白色っぽい色の鉱物は菱マンガン鉱で,鉱脈型に産するような華やかな結晶質の菱マンガン鉱ではなく,白色塊状で,灰色や灰褐色,石墨などを混入すると黒っぽい色のものまでありました.これらの鉱石鉱物を切るピンク色の脈はパイロクスマンガン石で,繊維状に見える石英を伴っています.

 

(研磨)もともと人頭大の鉱石だったのを小割して標本サイズにしました.そのうち比較的平坦に割れたものを選び,層状が上手くでるような石で研磨を始めました.菱マンガン鉱は軟らかいので苦にはなりませんでしたが,凹部がしつこく残ってしまいました.仕上げは以前に行った東床尾山の黄色砥石の木っ端で磨ると光沢が出てくれました.

 

(以下,顕微鏡下での観察です)

 

 

 

灰褐色―黄褐色―茶褐色部がカリオピライトです.カリオピライトに挟まれる淡紅白色―灰白色部は菱マンガン鉱.低品位鉱石を切る灰白色―灰色で半透明の部分は石英,鮮やかなピンク色はパイロクスマンガン石.それに伴う若干光沢が鈍く,やや発達した劈開が観察できる鉱物は菱マンガン鉱でした.

 

 

低品位鉱石中に点々と入っている黒色部を拡大しました.黄銅鉱のようです.黒色部はこの写真では判別できませんでした.

 

別の黒色部の拡大です.細かい黄銅色は黄銅鉱で,左の方に比較的輪郭のはっきりした黄鉄鉱を含んでいました.

 

黒色鱗片状に見えた鉱物は劈開が観察でき,閃亜鉛鉱のようです.もっと拡大しましたが,ぼやけてしまってこれくらいが限界のようです.

 

こちらは未研磨面の拡大写真です.テフロ橄欖石が入っていると思って撮ったのですが,一部に完全な劈開があって,重晶石と思えるような鉱物を伴っていました.光沢の強い緑色っぽい部分は石英でした.

 

 

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1632

Trending Articles