黒色頁岩中の黄鉄鉱ノジュール
先日,滝巡りを兼ねて福井県名田庄の合子谷のマンガン旧坑を訪ねたあとで,手前にある白倉谷に寄った.上の方で工事をやっているらしく,谷に最近流れてきたと思われる,角の取れていない黒色頁岩がある程度見られました.
その一つにレンズ状の黄鉄鉱ノジュールが含まれていたのでサンプリングしました.
サイズ.ほぼ原寸大.(非売品)
丹波帯に限らず各地の黒色頁岩やほかの堆積岩中にちょくちょくみられる鉱物です.現場である程度割った上,レンズとの境界に沿って割り出しました.ノジュールが入っていた黒色頁岩を切る脈に肉眼サイズの黄鉄鉱の結晶が幾つかあって,石英と石膏に伴われる2タイプがありました.石英に伴われるものは薄い空隙に肉眼的な結晶を含んでいて,打撃による衝動で外れて立方体の孔が多数見られました.石膏中のものは粒が細かく,顕微鏡で確認してやっとわかる大きさでした.
以下,顕微鏡下での観察です.
比較的粒の粗い部分の拡大です.
石膏の脈で切られる部分の拡大です.
白色の繊維状の石膏です.それに黒色粒状の鉱物があって,もっと拡大して観察したところ閃亜鉛鉱でした.産状と見掛けから小さい黒鉱のような感じがするがどうだろう.黄銅鉱が含まれていないか探したが,肉眼的にには入っていませんでした.研磨すると入っているのが判るかもしれません.
標本にするために割り出して写真を撮ったので掲載しました.