鉱物の顕微鏡写真97
―パラ輝砒鉱―
産地:大分県杵築市山香町向野地蔵峠北斜面 向野鉱山(非売品)
Pararsenolamprite パラ輝砒鉱(パラアセノラムプライト)
[組成]: As
[結晶系]:直方晶系.針状が脈状に集合.
[色]:銀白色・帯緑銀白色.錆びにくい傾向にあるよう.
[光沢]:金属光沢.
[モース硬度]:2~2.5
[比重]:5.88
[劈開]:{001}に完全.
[条痕]:黒色.
2001年に大分県の向野鉱山から発表された日本産新鉱物の一つです.このころ筆者は学生で丁度,草本旭鉱山や溝部鉱山などの諸鉱山から,東の馬上や向野付近に移動する少し前でした.上の標本は発表直後かそれから半年近く経ってから入手しました.向野鉱山へは過去4度,卒業後にも1回行きました.輝安鉱やミアジル鉱を目的に訪問していたのですが,当時から自然砒は少ない印象でした.
その自然砒の一部を置換したような出方で脈状に入っている鉱物がパラ輝砒鉱でした.にわかに緑色味を帯びた銀白色で,金属光沢をしています.
この脈の上盤には黒くくすんだ上,錆び切った自然砒や,帯青鋼灰色金属光沢の輝安鉱などが伴っています.
以下,上のサンプル以外の顕微鏡下での拡大写真です.
青っぽく写っている銀白色針状部がパラ輝砒鉱です.
光源の加減で青っぽく写ってしまいました.ギラついている繊維状―針状部がパラ輝砒鉱.黒色でぼやけている部分が自然砒.