鉱物の顕微鏡写真93
―フランケ鉱―
産地:大分県豊後大野市緒方町九折 豊栄鉱山(非売品)
Franckeite フランケ鉱(フランキー鉱)
組成:(Pb,Sn)6FeSn2Sb2S14
結晶:三斜晶系.結晶は脆く,板状.しばしば曲がった
結晶がある.葉片状・球状・ロゼット状集合体に
なる.
色:黒色~鋼灰色.錆びると虹色を帯びることがある.
モース硬度:2.5~3
比重:5.88~5.9
劈開:{010}に完全.
条痕:灰黒色.
次はフランケ鉱にしました.少し前に2価の錫の量比でインカ鉱とポトシ鉱に細分化されていたのが,元に戻ったという話を聴いた.またラベルを書き直さないといけなくなり,ついでに顕微鏡下で撮影しました.
以前にも少し触れましたが,標本の産地の豊栄鉱山へは,学生時代に土砂降りの時に訪問しました.その後は知人のお供で荷物持ちに訪問したくらいです.のちに「フランケ鉱」という名前のラベルの付いた標本,と「ポトシ鉱」という名前のラベルの付いた標本を一つずつ入手しました.
錫の硫塩鉱物で,銘柄標本ですがあまり出回ることが無いようです.母岩は細かいですが結晶面のたくさんついたギラギラの黄鉄鉱や黒色の閃亜鉛鉱,石英,炭酸塩からなっています.結晶は板状でしばしば曲がったものがあります.
脆い鉱物で息を吹きかけたら飛びそうなくらい結晶が薄く,かつホコリが着き易く掃除がし辛い標本です.入手したらホコリが着かないように丸箱等に入れるのが得策だろう.
(以下,顕微鏡下での拡大です)
鋼灰色の板状に見えるところがフランケ鉱です.ほかは黄鉄鉱と白色は炭酸塩鉱物です.
結晶が曲がっている部分を拡大しました.中央やや右上に曲がった結晶が観察できます.
黄鉄鉱の結晶面の上にへばりついたフランケ鉱の集合です.黄銅色のガサガサした微細な集合は黄錫鉱です.
かなり小さいですが,自形結晶もありました.背後はクトナホル石―アンケル石系の炭酸塩鉱物です.
こちらは「ポトシ鉱」のラベルが付いていた標本です.中央やや上にロゼット様の集合体をしています.
(以下は,標本についていたそのほかの鉱物の拡大写真です.)
黄鉄鉱.標本中に占める量が最も多いのが黄鉄鉱です.細かい結晶の集合になっているため,光に反射してギラついて見える.
黄白色―白色板状のクトナホル石―アンケル石系の炭酸塩鉱物です.
他の鉱物よりも小さいサイズの水晶もついていました.背後の黒色は閃亜鉛鉱.水晶と閃亜鉛鉱との境界付近にいる黄銅色は黄錫鉱.
フランケ鉱か黄錫鉱かはっきりしない鉱物もついていました.色だけを見ると黄錫鉱ですが,結晶の頭や繊維状の集合からみるとフランケ鉱なのかな~と思わせる鉱物です.判別できませんでした.