高温石英
Loc:京都府京丹後市網野町掛津 琴引浜(双眼顕微鏡下で撮影.非売品)
最近は丹後半島に地質巡りをすることが多く,当地も当然行ってみましたが,駐車場が車でいっぱいで随分歩かないといけない..と現地で言われて,それからずっと行けていません.カメラを携えて旅行ガイド等にゴミ一つ無い砂浜を歩くのもイイかな~と思っていたのですが,このところの疫病に流行でさらに人の集まるところには行けなくなりました.
上の標本は随分前に購入しました.元ラベルに1980年11月3日と記載があって,地名がどういう訳か網野町は旧竹野郡なのに「与謝郡」になっていました.大きさは最大で0.5㎜くらいの粒で耐火瓶に入っていたので,黒色のルースに入れなおしました.
当地の砂は古来より「鳴き砂」として有名なもので,昔行った人に行くと,天然記念物に指定される前は足で踏んでもあまり鳴らなかった..と伺っていた.それを何度も篩にかけて選別した上,超音波洗浄機などで掃除した上に顕微鏡で八面体に近いものだけを選ったとか..とんでもなく時間と手間がかかっている標本だとか.
最近,前述の通り黒色のルースに入れなおしました.その際に顕微鏡撮影しました.以下は顕微鏡下での撮影です.
このルース中に入っている石英は殆ど高温石英でした.文献などには宮津花崗岩からの風化分解で運搬された,だとか,いろいろな説で説明されていた.宮津花崗岩の露出している現場に幾つか行っていますが,花崗岩中に高温石英はほぼほぼ見たことがありませんでした.河川で運ばれた川砂には花崗岩起源の石英砂もあるだろうが,高温石英は豊岡累層の流紋岩や丹後累層の安山岩から供給された可能性が高いと思う.
実際,同町の切畑川沿いの砕石場跡付近の安山岩や同町磯の子午線公園近くの流紋岩質溶結?凝灰岩から八面体の高温石英を見ていました.最後に挙げた拡大写真に,インクルージョンとしてモルデン沸石様の細かい球体が見えた.
疫病がひと段落してなんとか行けるようになったら,鳴き砂の雰囲気だけ見に行ってみようと思う.