鉱物の顕微鏡写真87
―藍 閃 石―
産地:Rio Oremo, Chiavolino, Pollone, Biella province, Piemont, Italy.(非売品)
Glaucophane 藍閃石
[組成]:□Na2Mg3Al2[OH|Si4O11]2
[結晶]:単斜晶系,柱状結晶,繊維状などの集合になる.
[色]:灰白色・帯紫灰色・濃青灰色・濃青色.
[光沢]:ガラス光沢.
[モース硬度]:5~6.
[比重]:3.1
[劈開]:{110}二方向に完全.{001}一方向に明瞭.
[条痕]:淡い灰色~青灰色.
[原産地]:Syros island, Syros, South Aegean, Greece.
次は藍閃石にしました.初めて四国に渡った時に,高越鉱山の青色片岩も他と合わせて見に行きました.露頭っぽいものは見ていない..というより転石があったのを断片的にしか覚えていません. その後も,高圧変成岩の出ている現場でよく見る角閃石です. 広域変成帯の結晶片岩中によく見られ,青色片岩相を構成する鉱物の一つです.結晶片岩に伴われるヒスイを探すときに,この石が入っているものを参考にしています. 藍閃石の組成を分解すると,
「2ひすい輝石+1滑石」になり,ひすい輝石を産する圧力があると判断できます.産状は結晶片岩類のほかに,アルカリに富む片麻岩中(loc:Tiburon peninsula,Marin couty, California, USA.) にも産するそうですが,本邦にはこの手の産状は無いようです.
上の写真の標本は15年くらい前に購入した標本です.150㎜×60㎜というやや大きなサイズの標本でした.見た目黒っぽく,短柱状の黄鉄鉱がやたら目に付く標本でした.
(以下顕微鏡下での観察です.)
多少,紫色味がかかっています.
赤色―黄褐色の細かい粒はルチルとのことです.
白色は曹長石です.
やや緑色っぽい部分を含んでいます.
黄鉄鉱です.自形結晶ですが,短柱状に見えました.黄鉄鉱の周辺は他の部分よりもまわりの藍閃石の粒が細かいように感じました.
以下,国産の標本です.一応,藍閃石の標本神居古潭変成帯,三波川変成帯,三郡変成帯,琉球のトムル層などの標本がいくつかあるのですが,いざ写真を撮るとなるとフラットボックス群に阻まれて,なかなか出てきません.出てきた標本だけ写真に撮りました.
産地:徳島県吉野川市山川町楠根地 高越鉱山(非売品).
前述の高越鉱山の藍閃石です.粗い部分を探して撮影しましたが,結晶までは見えませんでした.
産地:島根県江津市中向井(非売品).
藍閃石のラベルが付いていましたが,「クロス閃石」としておいたほうがいいかもしれません.全体に青色味がかかっていて,緑色の緑簾石や曹長石などを伴って含んでいました.