壁岩露頭にて
根直不動の滝を辞して,由良川水系を遡りました.河内谷の滝をもう少し探してみようと思って,谷に入りました.在所を過ぎてしばらく南下すると,立ちはだかるように壁岩が見えてきました.手前の橋の名前になっているので,これが壁岩だろう.左岸側の壁岩の向かいにはナメ滝があって,以前にも紹介しました.
滝を少し登って,河原の石を確認すると、二酸化マンガンが.入口付近に一つ,かなり大きなのが,少し欠けていました.少し上の段にも小さな二酸化マンガンがありましたので,上に鉱床があるだろうと思い詰めてみました.
小さな段瀑のある谷.
谷は右岸側から滝を巻こうと思ったのですが,ズルズル滑る斜面の上,急勾配で,左岸に移りました.左岸の上の方からズリと思われる二酸化マンガンに覆われた小石が落ちていて,まださらに上にあるようでした.小さく窪んだところにチップのような二酸化マンガンがちらほらありました.ここの東の方よりさらに大きな二酸化マンガンで染みた石が落ちてきていましたので,尾根を巻いて尾根筋を直登しました.下の岩場から20mくらい登ったところに,マンガンの露頭を見つけました.下の石はここから落ちてきたようです.何も持たずに登ってきたため,カメラ等を取りに戻りました.下りは左岸側から降りてみました.岩場の直下に杣道の跡のような踏み跡があり,容易にくだることができました.
カメラ等を持って,再度,岩場の方から登って行きました.
こんな感じで登って行きました.
滝の上の方で折り返しているところあたりが,鉱石が落ちている小さな窪地です.
杉の木がひっくり返った跡と思われる窪地.ここに二酸化マンガンの細かいのが転がっていました.ここで,尾根の方へ方向をかえて登って行きました.
尾根の方へ.岩場の真上位です.
こちらも杉の木が抜けて窪地になったところです.ここにも多少のマンガンが引っ掛かっていました.出元はまだ上です.
ようやく上が見えてきました.斜面にも二酸化マンガンが落ちています.
ここが露頭です.地衣類や雑草に覆われていましたが,めくると下地は二酸化マンガンの酸化被膜でした.坑口のようなものは見当たりませんでした.明らかに人の手が加わったようで,露頭の二酸化マンガンを稼業して硬い炭マンが出てきて止めたのかもしれません.鉱山名ははっきりしないので「壁岩露頭」としました.
別アングルより.奥に崩れたような跡があってこちらが坑口の跡かと思いましたが,何もありませんでした.ただの土砂崩れの現場のようです.二酸化マンガンは多少ありましたが,露頭より転げてきたものだろう.
土砂崩れの現場.凹地に少し二酸化マンガンがありましたが,露頭寄りの斜面に少しあっただけなので,露頭から転げてきたものと判断しました.
露頭付近の様子をカメラに収めて,下の転石を観察しました.珪岩中の炭マンのようで,品位はかなり低いように感じました.俄かにピンク色を帯びてパイロクスマンガン石が脈になったような貧弱な石はありました.杉の木が抜けた辺りに溜まっている二酸化マンガンから拳サイズの石を2~3点サンプリングしました.現場でも成形できたのですが,足場が悪い上に急斜面なので,滑落や落石の恐れもあるため,下までもって降りて端を欠かしました.
2つは層状になった炭マンで,もう一つはパイロクスマンガン石や菱マンガン鉱・アレガニー石からなる鉱石状の集合でした.
隣のD鉱山と似たような鉱石ですが,肉眼的に硫化がほぼ入っていませんでした.
露頭の再発見で時間を要してしまい,今回はここで終了となりました.