鉱物の顕微鏡写真77
―メルリノ沸石―
産地:Cupaello quarry, Santa Rufina, Rieti, Rieti province, Lazio, Italy.(非売品)
Merlinoite メルリノ沸石
[組成]:(K,Na)5(Ca,Ba)2[Al9Si23O64]・23H2O 直方晶系.
[色]:白色・灰色・無色.
[光沢]:ガラス光沢.
[比重]:2.14~2.27
[モース硬度]:4.5
[劈開]:一方向に良好.
[条痕]:白色.
本邦未産.
顕微鏡写真シリーズ,前回に引き続いて人気の無い沸石グループの鉱物です.ウィルヘンダーソン沸石と同じく,今年の新春交流会で入手しました.沸石は基本的に本邦では人気が無いので,小珍しい海外産の沸石の入手は難しいようで,ミネラルショーとかであまりお目にかかれない.
出ているときに入手しないと,手に入れられないのでこちらも有無をいわず購入しました.サムネイルボックスに入った小さなサンプルで,どういう鉱物か知るのにはちょうど良いサイズです.標本自体は海外の標本会社のものなので,ボックスとの接着が悪いことが多い.そのため一度剥がして再度接着する必要があり,手持ちのゴムでしました.
産地はおそらくバラス用の砕石場で,メルリノ沸石の原産地です.いろいろ調べていると,前回の標本の母岩と同様にアルカリ火山岩に入っているようでした.コッペリ岩(Coppaelite)という岩石で,斑状の黒雲母黄長岩という.透輝石の斑晶とメリライトと黒雲母(金雲母)の石基からなるとか.
改めて母岩を眺めてみると,黄色っぽい部分が目立つ.雲母は入っているのか,いないのか,小さすぎて判別できないのか確認できませんでした.
斑晶の透輝石は黄色っぽいもので,ガラス光沢が良く目立ちます.ほかに沸石の充填している孔の表面に,黒色の二酸化マンガンの染みが入っていました.
メルリノ沸石はコッペリ岩の空隙を充填する白色―無色の針状―柱状結晶の集合をしています.
(以下,顕微鏡写真です.)
かなり拡大すると結晶は柱状のようです.
こちらは別の部分に付いていたメルリノ沸石です.十字沸石のような鉱物を伴っています.母岩の黄色っぽい部分はおそらくメリライトで,やや透明感のあるガラス光沢部は透輝石のようです.