いくつかの研磨した石181
京都府京都市左京区粟田口如意嶽町如意岳の菫青石ホルンフェルスを一面研磨しました.15年くらい前にサンプリングした標本です.大文字山を巡る地学研修コースのうちの花崗岩洞穴があって,洞穴の前に上部からパラパラ落ちてきているホルンフェルスがあってこれをサンプリングしたものです.洞穴自体は花崗岩でしたが,その上にホルンフェルスが乗っかっているようで,風雨や風化によって剥がれ落ちてきてるようです.
花崗岩洞穴.2012年6月26日撮影.
サンプリングしたものの表面を洗いもせずに,パックに入れて永らく放置していました.最近になって磨る石を探しているとこの石が出てきました.処分しようと思いましたが,一度磨ってみることにしました.
(研磨)ホルンフェルスを花崗岩の細脈で切っているらしく,石英質の脈が5㎜ほど下にあるためこれより下に磨ることができませんでした.表面の凹凸はできるだけ取って,中砥に移りました.
程よく風化しているだけあって,かなり磨り易い石でした.磨っているうちにかなりの大きさの菫青石が含まれることに気づきました.一枚目の写真の一番大きな結晶は最大太さ約10㎜,長さ13mmありました.
仕上げははじめ青砥で磨っていましたが,光沢が出ず,中途半端に風化した別の現場のホルンフェルスで擦るように磨ると光沢が出てくれました.
(以下,顕微鏡写真です)
柱面に並行方向に磨っているのに花弁状の模様が出てきました.一本の結晶の柱面に,横から貫入しているような子持ちの菫青石かもしれません.
白色は雲母(ピニ雲母)で,中央に未変質の菫青石が残っていました.俄かに青く,ガラス光沢をもっていました.
柱面に直角に磨れた菫青石ですが,桜石の花弁のような模様は出ませんでした.
こちらも模様ははっきりしません.
白色部は雲母類ですが,それに接する白色鉱物があって,未変質の菫青石かもしれませんが,同定していません.
母岩のホルンフェルスの部分デス.赤褐色―黒色の鱗片状の黒雲母を含んでいました.
結晶の内部を撮影した写真です.緑色の緑泥石様の鉱物が含まれていました.
こちらは菫青石(桜石になっている)の芯の拡大です.形ははっきりしませんでした.
芯の周辺部の拡大です.
黄鉄鉱.菫青石が変質して桜石になったものの端っこのほうに入っていました.どこでもできる鉱物です.