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いくつかの研磨した石179

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いくつかの研磨した石179

 新潟県糸魚川市青海川のひすい輝石岩を一面研磨しました.先日に知人より恵与いただいた石で,すでにカットされていました.いわゆる黒ひすいと呼ばれている岩石と緑閃石との境界付近が観察できる石で,さぞかし研磨したらキレイだろうと思って研磨しました.ひすい輝石を含む石は随分前に大佐山の標本を一面研磨しており,このときにひすいを研磨するのは懲りたのですが,また磨ってみることにしました.

 

(研磨) 非常に硬いことを前提に磨り始めました.予想通り硬く,研磨していた砥石が負けるようで,カッター傷が消えるくらいまで,レンガで削り,これでもうまく行かないので,コンクリートブロックで削りました.そのあとに大村砥で荒砥し,中砥ぎに移りました.

 工業用の#400の砥石で少し様子を見ながら磨って行き,そのあとに#800に替えて研磨しました.最後に,#1000の砥石で中砥ぎを終えました.角閃石を主とする部分はひすい輝石や長石からなる部分よりかなり軟らかく,こちらが先に削れました.一部に滑石が入っているのかと思うくらい低硬度の鉱物があって,ここが優先的に削れて無くなっていました.

 仕上げは,初めに青砥でしました.やはり砥石が原石に負けるので,研磨チャートで擦りあげたあとで,中途半端に風化した泥質ホルンフェルスで研磨しました.少し光沢が出てくれたところで,黄色の砥石で仕上げしました.

 

 

(以下,顕微鏡下での観察です.)

 

 

緑閃石(Actinolite)を主とする部分の拡大です.白色部は曹長石か?

 

こちらは緑閃石と白色部との境界付近を拡大した写真です.

 

 

これら2枚は別の境界付近の拡大写真です.黄白色粒状の鉱物があって,はじめは石榴石かな~っと思っていましたが,硬度が低いようでベスブ石のようです.カルシウムを含む鉱物ですが,緑閃石もカルシウム主成分なので,共通成分の鉱物があることから,入っていても不思議ではないだろう.左下の黄褐色の部分は小さすぎて判別できませんでした.

 

 

白色部の拡大です.黒色部は石墨とのことです.白色部の一部がチタンの混入によるものなのか,俄かに紫色味を帯びていました.

 

 

こちらは石墨の拡大写真です.斜め方向から拡大してみると,やはりこの部分が凹部になっていました.光沢の良い白色部は長石類のようです.

 

で,ひすい輝石は・・・.たぶんこれがひすい輝石.脈のように緑色部を切っていて,そこから僅かに分泌するように入っている部分の拡大です.

 

 石墨を含む黒ひすいに入っているというバナルシ長石は肉眼ではほぼ判別がつかず,短波紫外線灯でけっこう強く赤紫に蛍光しました.短波紫外線灯下で長石の部分以外を観察したところ緑閃石の集合の一部に橙色柱状の輪を示す鉱物が入っていました.普通なら燐灰石と判断するのですが,いろいろなバリウム鉱物やストロンチウム鉱物を産している現場なので,ちょっと想像できませんでした.案外簡単な鉱物なのかもしれません.

 

 

 

 

 

 


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